砂穴の家に閉じ込められ、そこに住む女と同居することになりながらも、なんとかして脱出を試みる男の話。だんだんと男がこの環境に…。 今まで出会ったことない”生命の怖い部分”を感じた。今だに余韻が抜けない。

中世は神仏の影響が強かった時代。そんななか、寺社焼き討ち等の「神威超克」が頻繁に行われ、その際に起こる神罰仏罰などの葛藤を正当化するための方便がいくつかあった。本著のような、中世人の心性に迫る研究は、これからもっと進みそうですね。

中世人の中にあった「徳政」の意識、「ものの戻り現象」について論じている。当時の法観念・慣習・権力者（安達泰盛や亀山上皇）の徳政について、勉強になった。『中世法制史料集』を中世人に渡したら、裁判で百戦百勝するだろうと書いているのは笑った。

砂穴の家に閉じ込められ、そこに住む女と同居することになりながらも、なんとかして脱出を試みる男の話。だんだんと男がこの環境に…。 今まで出会ったことない”生命の怖い部分”を感じた。今だに余韻が抜けない。

若は全然見れていませんが、気にはなっており読みました。北条氏の残党が時行以外にも各地にいたということや、時行は初期は、鎌倉を奪還することだけでなく、持明院統から皇子を迎えいれ、将軍として擁立計画を立てていたことなど、新発見が多かった。

放送大学のテキスト。簡単な研究史、民俗学を語る上で必要な要素が簡単にまとめてあるので入門に良き。「ハレとケそしてケガレ」「海民と山民」「カミとヒト」の項目は興味深く読みました。

歴史家の仕事、歴史家は史料がどう見えているのか、実際に論文を書く上で、歴史家が意識していることは何かがわかった。論文の組み立て方については、丁寧に説明してくれていて、大いに参考になりますね。ランケ史学とマルクス主義についても触れています。

『蒙古襲来絵詞』を読み解いていく内容がメインでした。竹崎季長と安達泰盛のことが好きな人必見。竹崎季長のことをここまでしっかり扱っている一般書はこれぐらいかも。

「無縁」の世界を堪能。戦禍から逃れるため、山林や寺社に逃れたりすることや、遍歴する職人たちの存在等から、「無縁」の原理というのがよくわかった。「有縁」「有主」による「無縁」の取り込みは、中世後期から近世への転換点の一つですね。