メフィスト賞作家の描くデスゲーム。この人は、あらすじだけで読ませようとしてくる天才だ。もし書店で、あらすじだけ読んで買うことをすれば、間違いなく著者の小説を選ぶに違いない。文体も非常にコミカルで、台詞で世界観や人間関係、感情表現をしている。もちろん本作もミステリィで、最後まで読めば納得と衝撃の展開。このオチを思いついただけでも勝ち確定なのに、それを見事に一冊の本として書き下ろしてしまうのだから、感嘆の声を上げるほかない。

　森博嗣の文体は、計算されて出来ている。とても軽やかで人間味のある台詞や地の文。理系作家ならではの専門用語も繰り広げられ、リアリティに満ちあふれる。論理性と知性が融合した、純粋なミステリィ。森博嗣は、前作の「すべてがFになる」で、本格に新たな旋風を巻き起こした。天才の描く天才。完全で綻びのないF。さて、本作も「F」に負けず劣らず、上質な出来映えとなっている。シリーズを通したS（犀川）＆M（萌絵）の関係は必見。思考によって語られる詩的で素敵な文章を、ぜひ味わってほしい。

メフィスト賞作家の描くデスゲーム。この人は、あらすじだけで読ませようとしてくる天才だ。もし書店で、あらすじだけ読んで買うことをすれば、間違いなく著者の小説を選ぶに違いない。文体も非常にコミカルで、台詞で世界観や人間関係、感情表現をしている。もちろん本作もミステリィで、最後まで読めば納得と衝撃の展開。このオチを思いついただけでも勝ち確定なのに、それを見事に一冊の本として書き下ろしてしまうのだから、感嘆の声を上げるほかない。

第二十一回メフィスト賞受賞作。西尾維新・舞城王太郎・北山猛邦らゼロ年代を代表する作家の一人、佐藤友哉。以前から気になっていた作家であったため、これを機に読了。伏線と叙述トリックは見事な手さばきで、卓越した文章力が窺える。序盤からきっちりとゼロ年代特有の空気が敷き詰められていて、悲惨と陰湿を融合させた救いようのない展開。タイトルも偶然と運命で編み出された奇跡の産物。常人に書ける代物じゃなく、オリジナリティに満ちあふれた作品となっている。珍しく解説が必見レベルなので、読了後にぜひ読んでみて欲しい。

洋画をそのまま文字として流し込んだ小説。若気の至りと破壊と暴力と、とにかく最初からクライマックス。ミステリィと勘違いして読んでも、全然楽しめるようになっている。