悩みながらも成長していく紗倉の姿と、彼女を陰から支えていた真野君のカッコ良さが印象的でした。 そんな真野君にも辛い過去があって。紗倉は確かに真野君に救われたのだけれども、救われたのは、真野君も一緒だったのですね。 手を取り合い、新たな一歩を踏み出す二人の姿が良かったです。
誰が戻るかについてはわりとすんなり決まるのですが、過去に戻るための方法が犯罪スレスレというかアウトなので、葛藤を抱えながらも5人は各々の役割をこなしていきます。順調に事が進むと思った終盤、しかしまさかの事態が起こって? 終盤まで息をつけない、スピード感のある展開が見事でした。 ネタバレ回避でぼやかしますが、未来のために犠牲になった一人が迎えた結末は、なんとも物悲しいものでした。 最後にささやかな救いはあるのですが、どうにかして彼女への想いが報われてほしかったですね。 (ここだけちょっと心残り)
人の声に耳を傾けること。自分の思いを言葉にして伝えることの大切さを、彼らの姿を通じて強く感じました。 伏線の回収が実に見事で、いつもの三秋先生らしい物悲しい雰囲気に包まれた傑作だったと思います。
しかけも面白いけど、それぞれが独自の調査で現場に残されている違和感を紐解いていく過程が、いや、さすがによく出来ているなと唸るしかありませんでした。 いやあ、それにしても、犯人候補二人の供述が二点三点しすぎだろうと少し苦笑い。(気持ちはわかる) 私ですか? 決め手が「それ」なのはわかったのですが、結局犯人はわからず袋とじを切りましたとさ(笑)
秋田県在住のライト文芸作家です。▶著作:「3日戻したその先で、私の知らない12月が来る」アルファポリス文庫、「僕と彼女の、繰り返される夏」Bookbase、「冴えない俺とミライから来たあの娘」「咲夜。人の寿命が見える私と、来年までに死ぬ彼の話。」Story出版など。
受賞歴▶第5回ライト文芸大賞【大賞】受賞、第7回ホラー・ミステリー小説大賞【謎解き賞】受賞、ほか。
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