
2025年10月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3936ページ ナイス数:88ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/151288/summary/monthly/2025/10
注目したいのは、作中唯一感情移入できる役割のホロヴィッツの描写。非常に丁寧で感嘆する。常に敏感にポリティカルコレクトネスを意識し、殺害現場に慣れない姿はリアル。ホーソーンに塩対応されながらも、最終的には行動を共にするけなげさ。文芸フェスこそ自分の出番とばかりに張り切るが、ホーソーンに全部持っていかれる場面はもはやベタなコメディといっていい。張り切ると失敗する、調子に乗ると間違える。そんな少し情け無い姿を、我々はメタ的に受け止めざるを得ない。少々鈍重に描いても、それも全て作者の掌の上にいる。
ミステリーとして一級の上に、メタ小説になっているところがすごく面白い。私ことホロヴィッツが見聞きしたことは全て記載されており、フェアな謎解きチャレンジにもなっている。続きが楽しみ。
「この階層化プロセスは、エジプトにおける複雑化成因の考察においても極めて示唆に富む。専業的狩猟者が経済的かつ宗教的優位性をもつ点である。ただし、渡辺氏の説では、定住した狩猟採集社会が対象であり、ヒエラコンポリスのナカダ文化は農耕社会である。 農耕という生産経済にどっぷり浸かった社会から特殊狩猟集団が出現したとは考えにくく、かれらの来歴はそれ以前に求められなければならない。」
「ヒエラコンポリスの地に狩猟民が定着した理由を考えたい。その一つに、立地面での好条件が挙げられる。(中略)その砂漠ルートの起点がヒエラコンポリスであったといえる。エリート墓地を涸れ谷に築いたのも、この砂漠ルートを意識してのことであろう。表玄関を入ったさきに、巨大で色彩豊かなエリート墓や列柱施設が立ち並ぶ。(中略) このように、狩猟民を始祖とするかれらエリートたちは、砂漠と南方のナイル上流を掌握し、そこで捕獲した特異な動物を用いた儀礼をつうじて、権力とイデオロギーの制度化をはかった、というのが私論である。」
・見えない惑星(郝景芳)ほらのような、不思議な惑星の話の数々。アイデア小ネタ集みたい。・コールガール(糖匪)これも良かった。単なるパパ活かと思いきや、小一は車の中で犬に仮託した掛けている何かや世界を見せる。・蛍火の墓(程婧波)夜と一体になった母と、昼と一体となった王女の話。魔術師のもたらす宇宙規模のロマンス。・円(劉慈欣)三体から抜粋。荊軻が秦の三百万の兵を持って巨大な人間計算機を作る話。
・神様の介護係(劉慈欣)老年期を迎えた神の文明は、二十億人の神とともに、かつて生物の種を蒔いた地球に帰還する。後に示唆される他の惑星との抗争は、三体を彷彿とさせるハードさ。
話が出来すぎてあると思うほど、ヤバい人ばかり出てくる。以下引用。 「この三人、同じ時期に同じフロアにいたんやで。ホンマ動物園みたいな階で有名やったわ」 「まともな人間いないんですか」 「たまにおる。十年間、前借りもしないでコツコツと五百万貯めた奴がおったんや。S建設だけで五百万やで。そいつ突然辞めたと思ったら、三ヶ月後一文無しで帰ってきよった。全額競馬につっこんで溶かした言うとったで」 「全然まともじゃないじゃないですか」 「部屋でシャブ打ってる奴と比べたらまともや。そんな奴ぎょうさんおるんやで?」
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