性癖が人と違うということは、こうも人を孤独にしてしまうのか。性癖の一致だけじゃなく、趣味とかで他者と心から繋がることは出来ないの？仲良くなっても、結局心を開けないからその場だけの友人になってしまう？ この社会が、異性のカップルから誕生した家族から成りたってしまっているものだから、人間関係の前提が「異性愛者である」ことになってしまっている。そこから取り残されてしまった人たちの苦悩を考える機会になった。

梨木香歩さんの作品が好きなので読んでみた。梨木さんは多方面に博識で勉強家で本当に尊敬。旅先でのエピソードも素敵。中にはバツの悪いシーンもあるが、それを含めて自分の心に響いてくる。梨木さんは言葉というものを深く愛していて、最大限に誠実に向き合っていることが伝わってくる。自然の中で生きる人間、人の中にある自然、人の中で人が生きるという事。こちら側とあちら側。綿々と繋がっていく物語。梨木さんの物語をこれからもじっくり読んでいきたいと思った！

性癖が人と違うということは、こうも人を孤独にしてしまうのか。性癖の一致だけじゃなく、趣味とかで他者と心から繋がることは出来ないの？仲良くなっても、結局心を開けないからその場だけの友人になってしまう？ この社会が、異性のカップルから誕生した家族から成りたってしまっているものだから、人間関係の前提が「異性愛者である」ことになってしまっている。そこから取り残されてしまった人たちの苦悩を考える機会になった。

その昔、自分が思春期に読んだ時にはとても響いたのだけど、今回はあまり響かず、主人公の思想が難しいと感じてしまった。今の自分は孤独ではなく、日々の忙しさのなかで自己と向き合う事も無いからだろうか。とはいえ、共感できる考え方もあった。自分の内部に存在しないものによって震わせられることはない。もし激しく怒ったり、悲しんだり、感動する事があったなら、その事象(物でも人でも)の中に自分の一部を見出している。

妻鹿さんのことがあまり語られないところがリアルで良かった。妻鹿さんの考えていること、生活、その後のこと。本当のことは本人にしかわからない、けど、もしかしたら主人公との一件が妻鹿さんの何かを動かしたかもしれない。山を歩き回る妻鹿さんの目に映る何かを変えたかもしれないと思う。そういう心と心のぶつかり合いって、大人になったらあまり無いことだけど、有っても良い。あと、主人公はもっと妻子を大事にしてもいい。。。