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全て、妙齢の女性であるというだけで突きつけられる胸苦しさが、全て登場した。脈絡のない好意と逆ギレ、無許可の容姿の格付け、客寄せパンダに使われる自分の身体、全てが生々しかった。私の中には、激昂する真帆子もいるし、取るに足らないと割り切る葵もいるし、ただただ忍ぶ啓久の母もいる。しかし、心の底から理解したいとする新夏だけはいないかもしれないと感じた。理解されにくい誠実さは諸刃の剣だと思う。啓久はどうかこれからも、日に日に厚みが増す罪の自覚を抱えていて欲しい。

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間違いなく私は「普通じゃない人間を裁判するのが趣味」な側の人間だ。裁判にかけられる側の、自分とは異なる人間の思考過程を根掘り葉掘り読めるから、本が好きなんだったと思い出した。白羽さんの「お口直し感」もたまらない。登場人物が皆、互いに相手の差異を際立たせていて、あっぱれだった。

コンビニ人間 (文春文庫む 16-1)村田沙耶香

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あらすじ・内容

ナイス ★27

コメント(0)2025/03/18

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真夜中に突然、枇杷のシャーベットに支配される『妊娠』というのはやはり得体が知れない。まだ一度もお目にかかれていないものに対して、大の大人たちが心を揉み、振り回される。姉が口にしたグレープフルーツのジャムは、背徳以上のどんな味がしたのだろう。

妊娠カレンダー (文春文庫お 17-1)小川洋子

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あらすじ・内容

ナイス ★2

コメント(0)2025/03/17

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子供は力がなくて、そして人の目が気になって、事を成し遂げることができない。大人も大人で、守るものがあって事を始めることができない。ナナコの面影を自身に重ねていた葵が、小夜子とやり直していく将来の姿が気になった。もう会うことはないけれど、ずっと自分の人生に気配を感じるような、湿度の高い女友達に出会えることはかけがえのないことだと感じた。

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下村さんのように軽快で、心地よくて、自分の心のバランスを取れているようで上手くは取れていなくて、惹かれるような人、いるよなぁと感じた。職場の先輩だなんて素敵じゃん。栞紐の色が綺麗なグリーンで、とてもよく似合っていた。

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恩田陸さんが書く不穏な子供たちが好き。期待されてミッションを課せられた子も、人との関係性を構築するのに難がある子も誰も彼も、特に救われはしないお話。

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結局ぎょらんを口にした者と口にしなかった者の違いは、残された側として心の整理がつき始めていたか否かだろう。ぎょらんの色や雰囲気の描写も人によって異なる。私はぎょらんを口に含まずにいられるだろうか。やり切ったと思えることはないだろうが、後悔がないように大切な人を大切にしたいと思った。

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私はZ世代の端くれなのに昨今の「推し文化」にどうしても馴染めず本作品をなんとなく敬遠していたが、結論から言うと読んでよかった。推しに生かされてる、というのはこういうことなのか。まさに今時の感性や温度感を、その“今時”じゃない層に伝えきる比喩表現力や文章力がすごい。事前情報で若いと聞いていたのに。著者紹介文を見ると私の一つ下だった。そうか、私がもう若くないのか。