アイコンの写真は昔いた犬で、名前をドリーという。
バーニーズマウンテンとゴールデンレトリーバーのMIXで、黒い毛並みに胸と手足の先だけが白かった。まるで靴下をはいているみたいに見えた。
好物はスペアリブの骨。泳ぐのが好きで、大きな湖に連れていったときは中央まで泳いでいき、なかなか戻ってこなかった。
家族に似た背格好の人を散歩中に見かけると、いつも駆けよろうとした。
近所には仲の良いレリーというゴールデンレトリーバーがいて、2匹が遊んでいるときは体格がお互いいいだけに迫力があった。
山道を散歩していたら、迷ったすえに、知らないゴルフ場に出たことがあった。金網の向こう、広い広い空間に興奮したドリーは、リードを振りきると、中へと走っていった。
不法侵入するわけにもいかず、外から必死に呼んでも戻らないので、「置いていくぞ!」と帰るそぶりを見せたところ、あわててドリーは戻ってきた。
何回か散歩中にリードを振り切られたことがあったけど、この「置いていくぞ!」は毎回効果てきめんだった。遠くからこちら目がけて大急ぎ。大型犬で、体重が50キロ超あったので、走る足音もドカッドカッと大きかった。
まさか置いていくわけがないのに、いつもいつも大急ぎで戻ってきていた。
ばかだなぁと笑って迎えると、彼は心底嬉しそうに尻尾を振っていた。
ドリーの思い出を家族と話すとき、いつも「いいやつだったよ」という締めくくりになる。
いい犬ではなく、いいやつ。別に弟のように思ってたとか、そういう感覚ではないけど。なんとなく。
いいやつだったよ。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます