凄絶を極める中学生シュウジの物語。進学校に通う高校生の兄が壊れ、寡黙な父が失踪し、生き甲斐の兄を手放した母が壊れかけた。リゾート開発のとん挫した彼の暮らす町の未来にも暗雲が垂れ込む。親友だった幼馴染とのけんかをきっかけに中学校でも孤立した彼の生きる気持ちを支えるのは、未来を嘱望されたが町を去った美少女ランナーのユリとヤクザの情婦となったアカネとの思い出だけなのか。穴ぼことなった彼の目に映る景色に想いを馳せて物語は下巻へと続く。

シュウジは「ひとり」なりました。ひとりにならざるを得なかった月日はあまりに短く過酷でした。救いがたい境遇を抜け出す道は極めて険しく、彼を本当のひとりにしてしまいました。疾走は彼を救う術だったはずですが、背負った荷は重過ぎて疾走を続けることはできませんでした。エピローグに神父が彼に語り掛けた言葉に望みを見出したいのは、残された彼とつながる教会の「家族」だけではありません。なぜなら、結末を急いだ読者の私たちの祈りに他ならないからです。

凄絶を極める中学生シュウジの物語。進学校に通う高校生の兄が壊れ、寡黙な父が失踪し、生き甲斐の兄を手放した母が壊れかけた。リゾート開発のとん挫した彼の暮らす町の未来にも暗雲が垂れ込む。親友だった幼馴染とのけんかをきっかけに中学校でも孤立した彼の生きる気持ちを支えるのは、未来を嘱望されたが町を去った美少女ランナーのユリとヤクザの情婦となったアカネとの思い出だけなのか。穴ぼことなった彼の目に映る景色に想いを馳せて物語は下巻へと続く。

遺伝子からみた日本人のための病気予防の解説書です。伝統食「和食」の効用を日本人の遺伝子レベルの研究成果からひたすら平易な言葉で説明してくれます。巻末にまとめられた多数の参考文献が著者の医学に対する真摯な態度を表しています。食生活を中心とした生活習慣の改善が同じゲノムを持つ我々に如何に大切かを丁寧に解き明かしてくれます。