なんだか前向きに生きる指南書のような内容だけど、それほど押し付けがましくはなく、ストーリーも感動的で泣ける話が詰まっていて、素直に読むことができた。特にエピローグで語られる「起こった直後は『最悪』と思っても、時間が経って考えてみると『むしろ良かったんじゃないか』って思えることばかりですからね、人生なんて。」という考え方はこの物語を端的に表していて良かった。

「終活」と言っても一般的な、いつ死ぬかわからないけれどその時のために身辺を整理しておこう的な物語ではなかった。後半の2編は確実な死を認識して自身が一番気になっているここと、やり残したことをするのだが、それがなんとも言えぬ結末で、心を打つ話でした。前半の2編は死を意識したあるいは家財の整理などにまつわる話だが「終活」では無いかな。しかし4編とも落ちのどんでん返しが素晴らしく、読み応えがあった。最近読んだ短編集の中ではお勧めの作品。「中毒」の意味はよくわからなかったけどネーミングの妙かな。ある意味うまい。

ある作家の基に集まってきた5つのホラーな話。それぞれ呪に起因するかと思われる不条理な現象に悩み、お祓いや御札に救いを求める。一時は解決に向かったかと思われるが、結局は関係者たちは死に至ってしまう。それぞれの現象について謎解きらしきものはあるのだけれど死の原因や呪の正体は明かされぬまま。やはり怪異現象だけに理由などないのだろうとフラストレーションが溜まったまま読んでいたが・・・。最終話で語られる５話の共通点。個人的にはオチがあってやや腑に落ちたのだが、それも作者の想像に過ぎないところがまた怖さなのか?

なんだか前向きに生きる指南書のような内容だけど、それほど押し付けがましくはなく、ストーリーも感動的で泣ける話が詰まっていて、素直に読むことができた。特にエピローグで語られる「起こった直後は『最悪』と思っても、時間が経って考えてみると『むしろ良かったんじゃないか』って思えることばかりですからね、人生なんて。」という考え方はこの物語を端的に表していて良かった。