あと父親が教会長まで務めているのに、常に著者の実家が困窮していたのは、やっぱり献金のせいなんだろうね。その辺はきちんと描かれてなかったというか、子どもには解らなかったんだと思うけど。
女装と性遍歴が中心の前半生から、宗教的回心を経てシャムへの布教の旅や著述家としての活動など、後半生への振り幅がデカすぎて笑う。ともあれ戦乱や政争とは縁遠いのに波瀾万丈な生涯は一読の価値があるおもしろさ。
母親ゆずりの社交性に、研ぎ澄まされた美意識、音楽や演劇の才能もあり、さらに著述家としてもそれなりの成功を収めるというマルチな才能と複雑なパーソナリティを持つ人物だったようで、どこにいてもすぐ取り巻きができたりシャム国王に気に入られたりと、人間として魅力的だったのだろう。
張保皐の部下に武寧軍出身のソグド系武人がいる設定も個人的には好きなのだが、そのキャラは商業を得意としない設定なのが残念。海のネットワークに内陸のソグドネットワークを繋いでさらに壮大な構想が描けたろうに、ソグド人設定がまったくいかされてないのが非常に残念。
湖南省博物館で馬王堆の軑侯夫人の解剖された内臓を見たあとの昼食で、細切りにされた水牛の胃袋を見て食が進まなくなった話や犬肉になじんでしまった話など、現地での衝撃体験がやはり面白い。自分は大阪の韓国料理屋でポシンタンを食べたとき、狗肉の臭みが受け付けなかったのだけど、著者は最初から美味しく食べれたそうで、犬種や調理方法が違うのか、それとも多彩な食体験を重ねた著者にとっては抵抗が少なかったのか…。
最初から子のできない信者夫婦の養子にするため子どもを産んだりと、財源となる信者を再生産するためのシステム構築だけは達者で非人間的な統一教会の教義はほんとうにどうかしている。しかし韓国の清平に教会の精神病院まであるのは、著者のようにメンタルをやられてしまう人が多いことを前提にしているんだろうなあ。
あと父親が教会長まで務めているのに、常に著者の実家が困窮していたのは、やっぱり献金のせいなんだろうね。その辺はきちんと描かれてなかったというか、子どもには解らなかったんだと思うけど。
最近は本を読むより買う方が楽しくなってきました。
東洋史関係のブログもはじめました(上記URL)。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
最初から子のできない信者夫婦の養子にするため子どもを産んだりと、財源となる信者を再生産するためのシステム構築だけは達者で非人間的な統一教会の教義はほんとうにどうかしている。しかし韓国の清平に教会の精神病院まであるのは、著者のようにメンタルをやられてしまう人が多いことを前提にしているんだろうなあ。