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●三章それぞれのタイトルが秀逸。二文字が表す不穏な雰囲気●<ささやかな超人>たちの苦闘。超能力者の若者がいたらどういう風に行動するか。いじましさと勇気のリアルさが作者の真骨頂。岩明均「七夕の国」を彷彿●「PK」で提示された謎が章を追って明らかになる構成は良いが、残すべき謎まで解いてしまったか。無理やり感＆説明しすぎとも●世界の相貌を謎のまま娯楽作品にしているのは村上春樹。その主人公たちはあまりにも超然としている。伊坂幸太郎の主人公は超然とし切れない。そこが良いところなのだが。

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●辞書編纂の世界に光をあてた事がなによりの手柄。高校書道部を扱った漫画「とめはね！」も感心したが、こちらも唸る●途中で時間を大きく経過させたことで、奥深さが出た。俗な西岡を配し主人公の潔癖が際立つ。仲間が集まってくる構成も含め、これが娯楽小説の技●装丁の工夫など、小説の如く編集者も楽しんだのだろう。作品の質が周りを動かす●勤め人のユートピア小説とも。時間をかけ形にする仕事…ゴールに誇りの待つ仕事…ほぼ、無い●エッチなワードをひく、というシーンが冒頭近く出てきてニヤリ。そこからですよね、辞書をひく行為って。

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●家族に囚われること…が陰鬱に極端に、的確に描かれている●主人公の判断停止、家族の家族に対する搾取。これは全ての家族に当てはまる。家族は必然的に崩壊し新たな家族を生み出す●太宰の「斜陽」と重なる人物構成。「斜陽」は滅びゆく定めの家族が滅ぶ過程を小説の技で描いた●本作の母弟は滅んでいるという自覚がない。滅び「ゆく」という時間の流れの欠落。そして主人公の判断停止も無時間に埋没する。この無時間の絶望こそ、現在の我々●冥土とは死後に魂が行く場所＝未来だが、本作で巡るのは過去。時間が歪んでいる間は滅ぶ事すらできない

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●「箱庭」の中の風景から始まる短編集。さらっと書かれた軽い作品集だが、朱川節は楽しめる●指輪・本・蕎麦・プリン・ギター・ラッパ・Automatic…日常のモノに託される「怪奇と哀しみ」●日々の暮らしの中に住む八百万の神とも。まさに日本を描いているということ●本作品で述べられた「旅人」の概念は、スティーブン・キング小説世界を統べる「ガンスリンガー」=次元を超えた善悪の戦いの概念に通じ、朱川世界をまとめる鍵になる可能性もある。

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●花森のアートワークの特徴とは？●「無駄の無さ」＝作品に対する作者の考えが明確であり、隅々にまで行き届いている、「心地よいリズム」＝パターンの反復と飽きさせない工夫、そして「体温」＝奇をてらわず丁寧に作り込む●これはそのまま「良い家庭のありよう」●家庭の中身は問わない。それぞれの構成員が家庭という作品と真摯に向き合い、工夫しながら日々を暮らしていくこと●花森の作品は古びていない。的確に掃除された家に、爽やかな風が吹き込むごとく●これがモダンというものなのだろう

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●世界を短い言葉で切り取る短詩形。コツは「説明を排する」こと。平凡な言葉・出来事を輝かせる、シンプルで強力な「言語ナイフ」を得た二人の子供●互いを最良の読者として得た喜びが流れ出る●タイトルの句を選んだセンス。作者たちか、編集者か。「日常」が勝負だということを高らかに宣言●「あの猫は跳ねられるかもしれないせきしろ」「ケバブに自信持ちすぎ　又吉」…良い●又吉の作文「ファーストキスが太宰の命日」。ありうべき嘘として秀逸

カキフライが無いなら来なかったせきしろ,又吉直樹

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あらすじ・内容

ナイス ★3

コメント(0)2012/07/23

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●東日本大震災・福島原発事故をどう表現するか。作者は速度を第一に考えたのだろう●以前に書いた小品に放射能汚染の状況を書き加えるというアイデアは、効率良く知的●「自然」「父」「野生と知性」など多義的な意味を担う主役のクマ。背景に汚れが加わると、浮かび上がるクマの姿はまったく違ってくる。地と図の変化で錯視が生じる如く●俳句の季語は原発事故後に意味を変えてしまった…とはある若手俳人の言葉●昨日と変わらないはずの人間と、一瞬にそして永遠に変わってしまった環境。ここから作者も我々も物語を生きていくしかない

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●ドミニカの熱量そのまま…豊饒な語りとイメージの重層。注釈も面白い●オスカー一族も独裁者も強烈なエネルギーに突き動かされる●力の源はセックス。性の交わりは悲劇を暴力を呼び、そしてオスカーの最期の救済も呼ぶ●オタク的アイコンの中で、キーイメージは「指輪物語」●究極の独裁者を『現在』に蘇らせるためには、冥王サウロンと重ねることが必要●性が払拭された「指輪物語」原作を、作者は補完するつもりではなかったか●「ひとつの指輪」に封印された冥王の力は、セックスなのだ。独裁者トルヒーヨは指輪を奪還した冥王である