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2025年10月の読書メーターまとめ

桜もち 太郎
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2025年10月に読んだ本
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2025年10月のお気に入り登録
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2025年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

桜もち 太郎
熟柿って造語だと思っていたが、実際にある言葉だった。物語に出てくる土居さんのスマホに入っている辞書には「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」らしい。この物語はこの「熟柿」という言葉二文字が全てだということを最後のくだりで理解できた。27歳のかおり夫婦が叔母の葬儀の帰り道でひき逃げをしてしまうところから物語は始まる。刑務所で子供を産み、その後に離婚。それが物語のプロローグといってもよい。一人の女性と息子、巡り合うための長い道のり。二人の未来が見える終わり方にほっとした。→
桜もち 太郎
2025/10/20 18:12

→人生は何があるかわからない。あの時の後悔、それにより人生が180度変わってしまったかおり。誰にもその可能性はある。彼女は責任を背負い生きてきた。夫は責任から逃れた。だけれども熟柿(じゅくし)のように待てば願いはかなうし、そうじゃないとあまりにも切なすぎる。運命なんて言葉では表しきれない物語を読んだ気がした。物語の展開も自然で重い話なのに心にスッと入ってきた。今年ベストの作品かな。良書。

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2025年10月にナイスが最も多かったつぶやき

桜もち 太郎

ようやく涼しくなってきました。身体も少しは楽になってきたかな。9月に印象に残った一冊は、辻仁成著「オープンハウス」でした。30年前の物語にヒリヒリしました。皆様、今月もよろしくお願いします。2025年9月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3782ページ ナイス数:467ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/223491/summary/monthly/2025/9

が「ナイス!」と言っています。

2025年10月の感想・レビュー一覧
14

桜もち 太郎
舞台はお嬢様女子大。「けむたい後輩」とは14歳で作家デビューしたものの、鳴かず飛ばずの栞子の後輩である真実子のこと。主人公である真実子が純粋に先輩を追い求めているが、これが結構うざったい。親友である美里が諫めるにもかかかわらず、栞子に近づく。肺の悪い真実子の前でもお構いなく煙草を吸う栞子。どっちもどっちという感じで読み進めるが、最後の最後で立場が逆転。「けむたい後輩」から「けむたい先輩」に。どちらが特別な存在か、普通ではだめなのか、真実子の言葉は痛快だったが、それにしてもなぁって感じの終わり方だった。
桜もち 太郎
2025/10/31 19:03

モラトリアムの世代から現実社会に身を置き格闘する真実子と美里。それに対する栞子と黒木との比較が終盤際立っていたかな。

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桜もち 太郎
舞台は西日本最大の歓楽街である福岡県博中州だ。主人公は中州で生まれ、様々な境遇により無戸籍児である蓮司。親と呼ばれる人間からの児童虐待や育児放棄をされ続けるたった6歳の子供。当然住民票もなく学校へも通えないし、蓮司自身通うつもりもない。中洲の人々のかかわりの中で成長していくしかない。そのなかでポイントとなる人物・緋真(ひさな)という同じ年の少女。緋真が彼を支えていく。そしてもう一つ、博多祇園山笠という祭り。彼は単なる祭りととらえず、神事として心に刻む。終盤の展開は意外だった。少し切れのない作品だったな。
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桜もち 太郎
最新作の「熟柿」からきた作品は7編の短篇集。どの物語も語り手は私である小説家。作中様々な噂が蔓延している。「悪い噂はインクの染みのように広がる。ただし噂の人物に一番近い者には一番遅く伝わる」のが噂の本質らしい。何かとても怖い気分になる。心に残ったのは百貨店勤務の男と女優の物語である「輝く夜」だ。二人の高校時代、真夜中に入った学校のプール。きらきらとした宇宙船のように舞い降りてきた米軍のヘリコプター。二人にとって『人生が最高に輝いた時』だ。自分にとって最も輝く瞬間は何だったかを考えさせられた。想像できない。
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桜もち 太郎
透き通るような物語だった。フランス人女性ヴァレリーが角膜移植をする。その日から東洋人の幻影が見えるようになる。幻影を求めて東京に行くヴァレリー。そこで出会った写真家のナツキ・マサト。元の角膜の持ち主であった恋人だ。希望について、絶望について、生きることについて、死ぬことについて、魂の輪廻について・・。何千枚ものナツキの恋人だった女性の写真。それを最後まで二人で見ていく。出会いから死までのすべてを。「かつて彼女が愛した人。いつか、私が愛する人」、ふたりはブリュッセルで必ず再会すると思う。幸福な結末を望んで。
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桜もち 太郎
熟柿って造語だと思っていたが、実際にある言葉だった。物語に出てくる土居さんのスマホに入っている辞書には「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」らしい。この物語はこの「熟柿」という言葉二文字が全てだということを最後のくだりで理解できた。27歳のかおり夫婦が叔母の葬儀の帰り道でひき逃げをしてしまうところから物語は始まる。刑務所で子供を産み、その後に離婚。それが物語のプロローグといってもよい。一人の女性と息子、巡り合うための長い道のり。二人の未来が見える終わり方にほっとした。→
桜もち 太郎
2025/10/20 18:12

→人生は何があるかわからない。あの時の後悔、それにより人生が180度変わってしまったかおり。誰にもその可能性はある。彼女は責任を背負い生きてきた。夫は責任から逃れた。だけれども熟柿(じゅくし)のように待てば願いはかなうし、そうじゃないとあまりにも切なすぎる。運命なんて言葉では表しきれない物語を読んだ気がした。物語の展開も自然で重い話なのに心にスッと入ってきた。今年ベストの作品かな。良書。

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桜もち 太郎
高校までが青春の第一章のような気がする。周囲を圧倒する美貌を持ち合わせた主人公の槙島朱里ダイアナ、あだ名は頭文字をとって、「マッド」。いかれているという意味もあるらしい。周りからの羨望のまなざし、嫉妬、反感、男子からの媚びの感情。どれだけ美しいねんと思う。物語は彼女と、二人の友達、一人は幼馴染の忍、もう一人は首席で答辞を読む馬淵さんを中心に進む。この馬淵さんがいい味を出していた。感動的でズキンと胸にくる答辞。荒れ狂う青春、波乱の時、誰もが過ごすあの時代。第2章の青春に向けて旅立つマッドが清々しかった。
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桜もち 太郎
冒頭の「もうひとり、彼女ができたんだ」との同棲相手からの告白で物語は始まる。その彼女とは別れたくはないという和佐、混乱する由麻。9年と半年と半月、二人の恋は長すぎたんだろうな。男としてほかの女に目移りするのはわかるけれど、やはりケジメは必要なのではないだろうか。派遣社員として働いていた由麻に正社員採用の話があり、こんな男はほっといて仕事に邁進した方がいいよと思いながら読み進める。それにしても本当に好きな人は側にいても案外気が付かないものかもね。まあ二人にとってはいい終わり方だったのだろう。
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桜もち 太郎
死んだ周(あまね)に縁のある者たち4人が、彼の遺言である「僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな」との希望を叶えるため、フランスからサハラ砂漠まで旅をする物語。結末は決まっているため、その過程を読まされるわけだが、今一つ胸に来るものはなかった。周の同性愛者、姉、友人二人、そしてもう一人、周の魂の声の群像劇。物語の盛り上がりはやはり幼馴染で、周が思いを寄せていた浩介の生死を分けるエピソードくらいかな。鳥取砂丘さえ行ったことのない自分だが、サハラの雄大さは何となくつかめた。砂漠、何となく怖く感じた。
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桜もち 太郎
「俺の女房と関係を持ってほしいんだ。あいつに愛される存在になってもらいたい」40歳になろうとする芹沢秋声が、友人の大吾から仕事の資金援助を受ける条件として言われた言葉だ。大吾の妻である冬と秋声の寝取られ物語といいたいところだが、三人の「運命」と壮大なSMチックな物語となっていく。秋声はアルゼンチンまで冬を求めて再会する。そして彼らを追い詰める大吾。すべては大吾のプレイの中での話になっていく。「サディストの究極の快楽は、自らを死に至らしめること」、大吾にとって死は本望だったのだろう。快楽と苦悩の物語だった。
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桜もち 太郎
600ページを超える本の厚みと内容の重さ。13歳、中学生の久乃(ひさの)と綸(りん)は自分たちが仄かな恋心を持っていることに気が付く。それを揶揄するクラスメイト。京の街の閉鎖性、常識という狭い考え、卒業時に最悪の別れ方をした二人。32歳の二人、東京での再会。荒んだ綸の風貌に戸惑う久乃。やがて関係を深めていく。「激しく煌めく短い命。なぜわからなかったのだろう。どれだけ長生きしても、人生は短い」、だから形にとらわれずに生きる決意をした二人。レズビアンにもいろいろな形がある。彼女たちの行く先の明るさを感じた。
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桜もち 太郎
「目の前の弱者ひとりを救えないやつが言う弱者救済に、どんな価値があるんだ」、活動家2世が親に対して吐いた言葉。活動家とは物語では左翼政党の共政党のこと。もちろんあの政党のこと。幼いころから父親が選挙に立候補し負け続けている豊田家。無理やり党員にさせられた娘の千秋、兄・健二の心にのしかかる父親の存在。「ほくほくおいも党」は、そんな活動家2世の救済の場だ。選挙で戦い正義を語ることは悪いことではない。しかしその陰で複雑な感情を持っている人はいるんだろうな。活動家2世に宗教2世。なかなか語られることがない物語。
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桜もち 太郎
35年前の純文学。厭世的な16歳の僕は校舎の屋上から飛び降りようとしていた。その時「鷲の羽のような巨大な翼と赤い星のマーク」が目の前に飛び込んで、自殺に失敗した。ソ連から亡命してきたミグ25。その日から僕の心は亡命という2文字に囚われる。人間は何のために進化しているのか、進化のゴールには何があるのか?神の存在は完全なのか?なぜ答えを探そうとする?何に不満があるのか?30歳になった彼の苦悩が滲み出てくる。みんな去って行く、自分はどこに向かうのか?何もなかった青春に意味はあるのか。生きる意味を問いかけられた。
が「ナイス!」と言っています。
桜もち 太郎
「R18文学賞」優秀賞の「溶けたらしぼんだ」を含めた短篇集。「人を愛するとき性というのは切っても切れない」確かにそう思う。どの作品もよかったが、「植物姉妹」がベストだった。白花(しろか)と黒花(くろか)姉妹の物語で、姉である白花は、ある事件がもとで植物状態に。日々死に近づいていく白花のもとに通う黒花と白花の恋人だった心さん。そして黒花の恋人の毒(どく)というあだ名の男。どんなに深い悲しみも、死んでもいいと思うくらいの幸せも、いつかは風化していく。そんな様が描かれて良かった。R18出の作家は当たりが多い。
が「ナイス!」と言っています。
桜もち 太郎
2002年に書かれた幼いころから学生時代までのエッセイ集。彼の書く小説は繊細で、静かでそれでいて心が揺さぶられる。しかし幼いころの彼は粗暴、というか悪人だ。大人を怒らせることの天才だったのかもしれない。高校、大学(中退)時代の彼は、人望がなく、変わり者、そのくせ自分には何かあると信じていたらしい。そして「音楽」「作家」「映画監督」そうそうたる夢を叶えていく彼。「きっと何かがある」との彼が持っていた確信は本物だったのだろう。読み終えて、自分には持っていないものを随分っ持ってるなぁ、との羨望だけが残った。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/05/22(4953日経過)
記録初日
2003/05/22(8241日経過)
読んだ本
3254冊(1日平均0.39冊)
読んだページ
892311ページ(1日平均108ページ)
感想・レビュー
2965件(投稿率91.1%)
本棚
14棚
性別
職業
専門職
自己紹介

読書が好きです。でも読んだ内容はすぐに忘れてしまいます。致命的です。だから附箋をはりながら読んでいます。いろんな作家を幅広く読もうと思うのですが、結構、偏ってしまいます・・・・。一応司書教諭の資格は持っていますが、全くいかせてません。
人生最高の書籍は、夏目漱石の「こころ」、遠藤周作の「沈黙」です。べたですね。

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