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2024年10月の読書メーターまとめ

碧衣
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2024年10月に読んだ本
10

2024年10月のお気に入られ登録
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2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

碧衣
再読。サイダーの製造工場で薬指の一部を失った私が辿り着いたのが弟子丸氏の標本室だった。元女子専用アパートだったそこには数多くの有機物と無機物の標本が保管されている。そんな標本を作製する弟子丸氏がくれた黒い革靴はまるで私の足の皮膚と癒着しているように馴染んでいる。それは何かのマーキングのようだ。過去の見えない弟子丸氏は人類や爬虫類のように標本技術師という種類の生き物に見えてくる。標本室という巣に入り込み、標本になり得るものを決して逃さない術を本能的に理解しているような…そして靴音は巣の一番奥へと入っていく。
碧衣
2024/11/01 13:16

もう一編の「六角形の小部屋」。無性に気になる中年女性がいた。背中の治療のために通い始めたスポーツクラブのプールで被る水泳帽のてっぺんに毛糸の飾りが乗っていることと、もがくように泳ぐ姿以外は至って平凡な見た目なのに。そんな彼女の後を付けた先にあったのが語り小部屋だった。背中の痛み、元恋人への憎悪、偶然と運命、意識の沼について“私”が語る言葉をすべて吸い込む小部屋は何をもたらしたのだろう。愛すべき番人との突然の別れの戸惑いと悲しみだけを残しただけだろうか。決してそれだけではないことを願いたい。

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2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

碧衣

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2024年10月の感想・レビュー一覧
10

碧衣
再読。サイダーの製造工場で薬指の一部を失った私が辿り着いたのが弟子丸氏の標本室だった。元女子専用アパートだったそこには数多くの有機物と無機物の標本が保管されている。そんな標本を作製する弟子丸氏がくれた黒い革靴はまるで私の足の皮膚と癒着しているように馴染んでいる。それは何かのマーキングのようだ。過去の見えない弟子丸氏は人類や爬虫類のように標本技術師という種類の生き物に見えてくる。標本室という巣に入り込み、標本になり得るものを決して逃さない術を本能的に理解しているような…そして靴音は巣の一番奥へと入っていく。
碧衣
2024/11/01 13:16

もう一編の「六角形の小部屋」。無性に気になる中年女性がいた。背中の治療のために通い始めたスポーツクラブのプールで被る水泳帽のてっぺんに毛糸の飾りが乗っていることと、もがくように泳ぐ姿以外は至って平凡な見た目なのに。そんな彼女の後を付けた先にあったのが語り小部屋だった。背中の痛み、元恋人への憎悪、偶然と運命、意識の沼について“私”が語る言葉をすべて吸い込む小部屋は何をもたらしたのだろう。愛すべき番人との突然の別れの戸惑いと悲しみだけを残しただけだろうか。決してそれだけではないことを願いたい。

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碧衣
再読。リボン、鈴、切手、エメラルド…かつて存在したそれらはある日、目覚めた時に消滅している。それらに関する記憶も感情も喪い、やがて人々はそれらが存在していたことすら忘れてしまう。どんなに愛着があったものだったとしても分け隔てなく徹底的に。そして、ついに人間そのものの消滅が起こりはじめてしまう─。消滅はいつ頃から始まったのか。消滅する人々と、しない人々の違いはどこにあるのか。声を奪われた私と声だけが残った私。ふたつの消滅を迎えた先に長かった冬が終わり、春が訪れるのだろう。彼は私達を覚えててくれるだろうか。
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碧衣
ここ数年、韓国ブームも相まってか書店でも目立つ位置に韓国の小説が置かれているのを見掛けて、その度に何かしら読んでみたいと思い手に取ったのが本書だ。SFを読み慣れてないので専門用語が出て来ると進みは遅くなるが、読みにくさを感じないのは物語そのものに惹き込まれるからだろう。人類が宇宙に行き来出来る最先端科学の世界でも格差や差別、偏見や孤独はなくならい。分かり合えなかった母娘がいる一方で意思疎通が出来ない異星人同士でも通じ合える。私もリュドエラの惑星を見てみたい。私の中にも「彼ら」がいるのか確かめたくなる。
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碧衣
“私”の家の庭に入り込んだ猿の群れと、それとは別のなにか。インフルエンザ治療薬タマミフルを製造したQ製薬会社が買い取った一軒家。通称「タマミフルの家」の噂。近隣の神社で行われる奇面祭に用いられた「忘却の面」と深泥丘病院の地下にある「追憶の面」。この二つの面に対する“私”の言動はこの本全体のコンセプトのように思える。たとえ死後とは別の世界に行こうとも、場所も時空も超えて旧いホテルを行き来しようとも、猫密室や猫柱に遭遇し、自身が巨鳥や怪魚になろうともすべてを曖昧にする。それで何が困ろうと言わんばかりに。
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碧衣
朝靄の中、誰もいないはずの廃神社で聞こえる鈴の音。いつ頃出来たのか記憶にない蟹料理店で出された自分だけが知らない珍味コネコメガニ。今回も“私”だけが何も知らない。覚えていない。前作よりも気味悪さが増したと思ったら突然、ホラー映画見立て殺人事件なんてパロディじみた展開に呆気に取られ、ただでさえ夢みたいな話ばかりなのに夢十夜みたいなのまでお出しされて途方に暮れる。しかし、50か所も切断された“何か”と遺跡の洞窟、そしてラジオ塔に何かしら繋がりを感じた。だけどそれも曖昧にされそうな気がしてならない。
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碧衣
足と脚、現れると表れる、イモリとヤモリ、陰と影、絞ると搾る、使用と利用など似ているけど意味が異なることばを集めた本書。芸術的な物に使う「制作」と実用的な物に使う「製作」。確かに町工場とかで○○製作所と書かれている印象がある!ホラー好きとしては客観的に使う「恐い」と主観的に使う「怖い」の違いが分かってなかったのは結構悔しい。本のレビューを書く時にこうした似ていることばに出くわして、どちらを使うか迷うことがあったので本書の内容を今後に活かしたいと思うが、それまでに覚えていられるか自信がない(笑)
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碧衣
昨今はファストファッションや100均など安くてもそこそこ良い物が買えて、私自身プチプラという言葉が大好きなので本書に出てくる6千円のカステラや50万円の羽毛ふとん、129万円の机などには思わずギョッとしてしまう。だけど希少な素材を使って職人の手間が掛かっている物が高価になるのは当然だと思うし、時間の経過が価値を高める盆栽の考え方は良いなと思った。かまぼこ作りに国家資格があることや包丁9千円が安い扱いなのに驚いた。こういう本を読むとこだわりのある物を手にしてみたくなる♪手軽に始められるのはバナナかな。 ​
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碧衣
昭和60年代生まれの私は昭和の記憶はないに等しいけれど、幼少期を過ごした平成初期に残る“昭和”に懐かしさと愛着を感じる。「昭和のガム」の板ガムは子供の頃しょっちゅう食べてたし、公園の回転遊具で遊んだ記憶もある。よく運動神経の良い男の子が柵の外側に掴まって遊んでたりしてたけど普通に危ないよな…。平成は清潔さや利便性の進歩を感じるけど、昭和のポストや車、ロマンスカーなどのデザインは見る者をときめかせる魅力がある。東京タワーとスカイツリーの時代を象徴する二つのランドマークは素晴らしい対比だと思った。
碧衣
2024/10/07 20:32

みうさん、すみません、“60年生まれ”ではなく“60年代生まれ”と敢えてぼかして書いています。紛らわしくてすみません💦昭和の終わりと平成初期に幼少期を過ごしてきた世代だから朧げでも懐かしく感じるものがあるのかもしれませんね。

みう
2024/10/07 21:23

あらほんとだ💦こちらこそすみません、しっかり読んでなくて🤦‍♀️🙇🏻‍♀️時代の比較や変遷は、面白いですよね😄

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碧衣
ヴォウアルスクの少年少女殺害の容疑で100人を超える“異常性癖”を持つ者達が捕らえられ、その中には自ら死を選んでしまう者まで出て来てしまう。望む正義とかけ離れた現状に落胆しながらも協力者を得て、今も各地で子供を殺し続ける犯人を追うレオとライーサの身にも危機が迫る。信用していた人物からの裏切りに遭いながら、見ず知らずの者の善性に助けられる。恐怖が統べる社会でも失われないものに僅かながら希望を感じた。しかし、すべてが明かされ政権が変わっても根幹が変わっていないソ連、そして現在のロシアには薄ら寒いものを感じる。
碧衣
2024/10/05 13:38

前半のほぼ孤立無援状態のレオが民警の署長ネステロフと拳で語り合った後に協力関係になる大事な場面がどこかおかしくて少し笑ってしまった。

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碧衣
スターリン体制下のソビエト。線路の上で発見された少年の遺体は不幸な事故として片付けられた。どんなに不審な点があろうとも、この国では殺人など起こる訳がないのだから─。国家保安省の捜査官のレオは部下の策略によって立場を追われてしまう。彼が権力を失うのと同時に妻ライーサとの不和が浮き彫りになっていく。真の理想を掲げる国家の歪な真実。恐怖で人々を支配し、都合の悪いものを排除する社会は彼らが打倒したナチスと何が違うのだろう。移転先の片田舎で発生した少年少女の死の真相を独自で追うレオの運命と夫婦の行方が気になる。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/06/07(4554日経過)
記録初日
2012/06/15(4546日経過)
読んだ本
846冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
224893ページ(1日平均49ページ)
感想・レビュー
846件(投稿率100.0%)
本棚
14棚
性別
血液型
A型
現住所
千葉県
自己紹介

碧衣(あおい)という者です。
常に読みたい本に飢えている本好きです。

好きな作家さんは小川洋子、恩田陸、梨木香歩、村上春樹、吉本ばなな など。
好きなジャンルはホラー、ミステリー、児童小説、食に関する本(小説、エッセイ問わず)。


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