初期の直球的なプロレタリア文学も悪くはないが、そこから一歩進展させ、党への批判すら辞さない姿勢から生まれた弱者に向けられた視線が鋭い中期後期作品がいい。特に戦争体験から自己欺瞞を暴く「虚偽」と、性的な拷問を受けた女性を見つめた「 疵あと」に凄みを覚える。

ダライ・ラマらしからぬ露骨な愛や欲望を詠うものが多く、背徳的な喜びに溢れる。これはもうチベットのルバイヤートだと思う。六世自身がかなり異端的で、さらにはそもそも六世が詠んだものは少ないらしいのだけれども。

初期の直球的なプロレタリア文学も悪くはないが、そこから一歩進展させ、党への批判すら辞さない姿勢から生まれた弱者に向けられた視線が鋭い中期後期作品がいい。特に戦争体験から自己欺瞞を暴く「虚偽」と、性的な拷問を受けた女性を見つめた「 疵あと」に凄みを覚える。