「かわいそうなおじ!」という言い方がもはや笑いを誘うくらいにおじはお人よしだし、「私はこの例えに固執しますぞ」とやたらにメタファーを駆使するフォマーからはペダンティックな効果が抜群。「ここは精神病院じゃないか」というセリフも何度か出て来るが、「むしろ伏魔殿だろ」と思うくらい身を寄せる客人も計略を巡らせている。注も痒い所に手が届く感じに付されており、特に獄中でドストエフスキーが採取したと思われる民話的な言い回しを集めた「シベリアノート」を踏まえた表現はロシア語学習者としてかなり心を引かれる。
著者のメタファーがけっこう独特でおもしろく、そのたとえのまま論が展開していくので、そういった読みにくさはあると思う。「ジャイアン=アメリカ」の例えがなぜか死ぬほど笑えた。
統語論的色合いが強くなっていく後半になるにつれて読み通すのがしんどくなってしまったが、それはこの本のせいではなく単に自分が知識不足が原因。もっとフランス語の文法書を読みたいけど、現段階では実際の文をあまりごちゃごちゃ分析せず読むということを増やした方がいいか。
語学と読書が好きなフリーター32歳
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「かわいそうなおじ!」という言い方がもはや笑いを誘うくらいにおじはお人よしだし、「私はこの例えに固執しますぞ」とやたらにメタファーを駆使するフォマーからはペダンティックな効果が抜群。「ここは精神病院じゃないか」というセリフも何度か出て来るが、「むしろ伏魔殿だろ」と思うくらい身を寄せる客人も計略を巡らせている。注も痒い所に手が届く感じに付されており、特に獄中でドストエフスキーが採取したと思われる民話的な言い回しを集めた「シベリアノート」を踏まえた表現はロシア語学習者としてかなり心を引かれる。