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2024年2月の読書メーターまとめ

ががが
読んだ本
10
読んだページ
4112ページ
感想・レビュー
9
ナイス
87ナイス

2024年2月に読んだ本
10

2024年2月のお気に入られ登録
2

  • achagi
  • ミノムシlove

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ががが
都会で暮らす語り部のところに故郷のおじから知らせが届く。弁のたつ居候が家での権力を掌握し、傍若無人の限りを尽くしているという。急いでステパンチコヴォ村に帰った私は、異常なパワーバランスの働く実家のゴタゴタに巻きこまれる。深いテーマのある作品ではないが心理描写は一級品。ことあるごとに「侮辱された」と喚き、相手の罪悪感を利用して倫理的優位に立つフォマー、他人をネガティブに捉えまいとし、なんでも自分が悪いのだと決めつけて折り合いを付けようとするロスタネフ、この突き抜けた性格の両者の衝突はもはや一周まわって喜劇。
ががが
2024/02/16 05:44

「かわいそうなおじ!」という言い方がもはや笑いを誘うくらいにおじはお人よしだし、「私はこの例えに固執しますぞ」とやたらにメタファーを駆使するフォマーからはペダンティックな効果が抜群。「ここは精神病院じゃないか」というセリフも何度か出て来るが、「むしろ伏魔殿だろ」と思うくらい身を寄せる客人も計略を巡らせている。注も痒い所に手が届く感じに付されており、特に獄中でドストエフスキーが採取したと思われる民話的な言い回しを集めた「シベリアノート」を踏まえた表現はロシア語学習者としてかなり心を引かれる。

が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
9

ががが
洞穴で精神修行をしていた聖者が下界に戻って自分の言説を撒き散らして放浪する話。物語としては分からない部分が多いので「聖書を下敷きにしたキリスト教の否定」という、辛辣な皮肉の効いた構成なのだと無理矢理納得して読んだ。世界観はむしろ神話か寓話かのよう思え、アフォリズムの要素が強い。現代の、しかも非キリスト教文化圏にいる個人としては「神は死んだ」と言われても衝撃を受けないが、今の世で例えると「推しは死んだ」「人権は存在しない」くらいの爆弾発言で、社会の基盤を成している価値観に対する挑戦だったのかもしれない。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
ドストエフスキー『罪と罰』の原書。何度も邦訳を読んでいるから最後まで密度を落とさずに読み通せたが、しんどいとこもあった。主人公が錯乱してる第2部は言動が支離滅裂に思えて読みにくい。逆に第4部第4章の聖書を読む有名な場面は読みやすくて感動する。ポルフィーリーとの駆け引きは引き込まれるが原語だと分かりにくい、ただし第6部第2章は別。ルージンは文体が整いすぎててむしろ嫌悪感が増す。一度の読書では消化不良で、繰り返し読みたいけど、これだけ集中して読める機会はもうこの先ないかもしれない。死ぬ前に読めてよかった。
ががが
2024/02/28 16:17

詳細を note 記事にした。 https://note.com/zgagaga/n/n4a9d400fcf65

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ががが
検索ワードを得るための観光のススメが本書のテーマ。ネットによってアクセスできる情報量が飛躍的に増えた。それは間違いない、しかし検索しなければ欲しい情報にたどり着けないから、あらかじめ言語化できるくらいイメージの固まってるものしか実は手に入れることができない。人間の思考は環境による影響が大きいため、場所を変えれば検索する言葉も変わることを自身の体験も交えながら分かりやすく説明する。旅することの意義を改めて説得された気分だ。コロナや円安でずいぶんとご無沙汰だが、次に旅行に行くときはこの本を道連れにしたい。
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ががが
都会で暮らす語り部のところに故郷のおじから知らせが届く。弁のたつ居候が家での権力を掌握し、傍若無人の限りを尽くしているという。急いでステパンチコヴォ村に帰った私は、異常なパワーバランスの働く実家のゴタゴタに巻きこまれる。深いテーマのある作品ではないが心理描写は一級品。ことあるごとに「侮辱された」と喚き、相手の罪悪感を利用して倫理的優位に立つフォマー、他人をネガティブに捉えまいとし、なんでも自分が悪いのだと決めつけて折り合いを付けようとするロスタネフ、この突き抜けた性格の両者の衝突はもはや一周まわって喜劇。
ががが
2024/02/16 05:44

「かわいそうなおじ!」という言い方がもはや笑いを誘うくらいにおじはお人よしだし、「私はこの例えに固執しますぞ」とやたらにメタファーを駆使するフォマーからはペダンティックな効果が抜群。「ここは精神病院じゃないか」というセリフも何度か出て来るが、「むしろ伏魔殿だろ」と思うくらい身を寄せる客人も計略を巡らせている。注も痒い所に手が届く感じに付されており、特に獄中でドストエフスキーが採取したと思われる民話的な言い回しを集めた「シベリアノート」を踏まえた表現はロシア語学習者としてかなり心を引かれる。

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ががが
邦訳(邦題:ホモ・デウス)がおもしろかったので、英語版も読んでみた。やはり引き込まれるのは「データ教」のところだが、全体を通して伝わってくるのは、人類が歴史から制約を受けるのは逃れられず、少しでも歴史から解放されるためにそこから学ぶことがあるはずだという歴史学者としての矜持のような気もする。この本を読んでいると、自分が大切にしている価値観が実は歴史の産物に過ぎないと何度も思い知らされる。文体については、内容は難しいが表現は平易なので、多読の教材としては優れたものになり得るだろう。
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ががが
ウィトゲンシュタイン『哲学探究』の解説書でありながら、この書物で展開する思考と戦った著者の書評のように読んだ。原典は人のTLを順に読んでいくような形式的難解さがあり、その全体を貫くテーマを本書は上手く説明している。「言語の意味とはその使用である」と聞いて個人的に思い出すのは、留学時、新しい語を習う際、その語の意味を理解しているかを例文を作って示すように求められたこと。相手が日本語を解さないのだから、その語を母語に変換できるのではなく、その語を正しく運用して「理解した」と現地では見なされる。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
社会で出回る何気ないフレーズに潜む思惑を炙り出す一冊。私も「誤解を招いたとしたら謝罪する」のような文言に対して「え、それ謝ってなくね?」と思ってしまうクチなので、本書の分析はなかなか痛快だった。社会言語学で扱うとおもしろいかもしれない。言葉というのは、自分が伝えようとする思考や感覚を相手に分かる形式に落とし込まなければならないが、自分側に寄せればただ己に酔ってるような文になり、相手側に寄せると紋切型になる。よく使われる表現に頼ると思考が停止しやすい。推敲や内省をしなくなった結果がこれかもな。
ががが
2024/02/07 22:29

著者のメタファーがけっこう独特でおもしろく、そのたとえのまま論が展開していくので、そういった読みにくさはあると思う。「ジャイアン=アメリカ」の例えがなぜか死ぬほど笑えた。

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ががが
どちらかと言えば文法で悩んだときに便覧として使う参考書だとは思うが、通読も可能なフランス語の文法書。発音については割愛されており、一冊目に手に取る本ではないが、豊富な例文と丁寧な解説で初級者にも分かりやすく、発展的な事項はコラムのように扱って中級者以上に配慮するなど「入門から上級まで」という文句に偽りはない。p191の動詞の叙法の関係を一目で分かるように図で展開するところなどは非常にエレガントで、一通り文法を整理したい人には間違いなく推せる。
ががが
2024/02/06 13:56

統語論的色合いが強くなっていく後半になるにつれて読み通すのがしんどくなってしまったが、それはこの本のせいではなく単に自分が知識不足が原因。もっとフランス語の文法書を読みたいけど、現段階では実際の文をあまりごちゃごちゃ分析せず読むということを増やした方がいいか。

が「ナイス!」と言っています。
ががが
著者が読んだ古典の紹介。自分が既読の作品の考察は興味深く、未読の作品は読んでみようかなという気にさせられる。「自分はあの傑作を読んだのだ」という感覚は、傍目にはただの自己満足に見えてしまうのだけど、作品に圧倒されての読破というのは、もはやひとつの経験であり、向き合った時間や喚起された思索はかけがえがない価値を持つので、古典が人生を豊かにするのは間違いない。年を取ると初読のハードルが高くなるというのが地味に効いた。気になる古典はすぐ読まねば。時間ができたらそのうちとか言ってるとお迎えの方が先に来る。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/07/22(4313日経過)
記録初日
2011/05/14(4748日経過)
読んだ本
1219冊(1日平均0.26冊)
読んだページ
347052ページ(1日平均73ページ)
感想・レビュー
1006件(投稿率82.5%)
本棚
4棚
職業
無職
現住所
愛知県
外部サイト
自己紹介

語学と読書が好きなフリーター32歳

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