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九段 理江(1)100%九段 理江著者グラフ上位10名
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大福
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ネタバレ主人公マキナの言葉がクール。彼女が見るのはChatGPTとアンドロイドのような美しく若い男性、あとは建築物。徹底した清潔感に満ちていてノイズが捨象された空間で、彼女も非人間的な姿になろうとする。ここにあるのは心の通ったやり取りが生まれない世界。内在化された検閲によってマキナも塔の中に住む人間もみな不自由。マキナは自分が作った建築の中に人が出たり入ったりする感覚が気持ちいいといい、人間からより洗練された美的な存在に昇華しようとする(人間から超越しようとする)が、最後は思考する人間にひき戻される感じか。
0255文字
大福
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現実と抽象、二つの世界の往還物語。抽象の世界はここでは死の世界、描かれる抽象画は死を描くもの。抽象画の奥に見える「スバルフォレスターの男」は死に神か。「二重メタファー」は『1984』での「二重思考」に近いと考えると「矛盾により生きる意志を無力化するもの」というイメージ。免色はカント的な理性と規律で鉄壁の防御を築きギリギリ自分を保つ。騎士団長は「二重メタファー」などの最上位のイデア「二重性」そのもののイデアか。「二重性」それ自体は悪ではない。ただ生きるためには「二重性」に挑む必要がある。勇気をもらえた感触。
0255文字
大福
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いったん全体の状況がわかるように話が進んだ後、もう一度個別の状況を詳しく広がっていく。物語が少しずつ浮き上がってきて深くリアルになっていく印象。初めはただ粗野な男たちが少しずつ立体的な顔を持つ人間として浮かび上がる。人間が生きる時には土の上で這いつくばるようにして生きる。土地にしがみついて生きることは、生き方として一つの誠実さであるような気がしてくる。ただし誠実に生きるということが美しいというわけでも望ましいというわけでもない。だれもがなんとかして生きようとしているその生き様をまざまざと見せつけられる。
0255文字
大福
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「あなたは」と過去の自分に語りかける文体。主人公も読者の側に立つ。物語展開を求めるとつまづくけれど、少女が一気に話す感じのありあり感。ディテールがものすごく細かいのだけれど、場面や話の全体像は見えにくい。場面を映像で浮かばせる描写ではなく、主人公の心象や主観的視点が多いからか。この意味で読者にサービスしない文章。場面が唐突に途絶えたり入ったりする感じも、日常のキリのなさのようなものを感じる。死を間近にした人間が過去を思い出しながら日常を書き起こすような感触。生を肯定するための営み。
0255文字
大福
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世界への気づきが濃密な言葉で語られる。死にゆく年老いた奴隷を前に、彼は残酷ではなく安らぎを見る。「僕が辛かったのは、一人の人間が死ぬことによって、一つの未知の世界が滅びることだった」には、生の価値に対する彼なりの答えがある。人間と世界は対立図式でも包括図式でもない。誰かが生きて感じ取ることで、世界には独自の価値が生まれる。生の上で尊厳を奪われようとも、この人間が見た世界には独自の価値がある。彼はこの奴隷の見た景色を想像し、生の無条件の価値を発見して、この亡骸の頭を古い宝箱と形容する。言葉がビシビシ響く。
0255文字
大福
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高校生の自意識のあり方が絡みそうで絡まないやり取りにリアリティがある。表面上だけのやり取りには「踏み込んではいけない」という強い禁止を含んだ現代的なモラルを感じる。登場人物たちが危険と感じるのは、距離が近すぎること。適切な距離を保つことが問題となっている。説明しすぎの部分は頭でっかちな主人公の思考と思えなくもない。ただし現代の高校生の感じから距離のある読者は、解説があることで心地よく読めるという部分もあるか。表現や行動の剰さや繊細さ、言葉の大きな思考と下手な振る舞いのズレには、高校生のリアリティを感じる。
0255文字
大福
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日本の家族がファンタジーのような物語環境で動く。世代を越えた親子関係の繰り返しは物語の忰という感触。進むうちに話が深くなり広がって一つの大きな物語空間が出来上がる。この意味でバルザックのようでもあるし、古典神話のようでもある。甲一が人物を導く。もちろん日本とオリエンタル的な空間のズレ、現代だけど古典的な人物の動きはうまく処理できない感じもある。また途中の繰り返しで眠くなる部分もある。けれど、読後感が素晴らしい。こうやって人間は生きてきたのだろうという深い納得。キャラクターの感触の細かさにもリアリティあり。
0255文字
大福
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文藝春秋にて読了。物語の中心にいるはずの二谷が自分を出すのは一人でいる時だけ。内側が潰れたまま表面を固めて大人になった感触。二谷は傍観者であり続ける。物語が動くのは彼の自我がはみ出す時。二谷は芦川さんと押尾さんの間に位置するが、どちらも二谷の内側には一切触れない。登場人物は関係しているようで全員孤立している。会社の支店という小さな枠組みの中でそれぞれが大人のふりをしているだけ。二谷は文学の中に内面の呼び水がある気がしている。昔の文学ゼミ仲間からの何気ないメッセージだけに救いを感じる。
0255文字

読んだ本
233

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読書データ

プロフィール

登録日
2012/08/02(4647日経過)
記録初日
2012/06/02(4708日経過)
読んだ本
233冊(1日平均0.05冊)
読んだページ
70197ページ(1日平均14ページ)
感想・レビュー
103件(投稿率44.2%)
本棚
16棚
性別
現住所
東京都
自己紹介

好きな作家は村上春樹。
特に『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』

最近では津村記久子さんと中村文則さん。

ちょっと古いところでは横光利一。

アメリカ文学だとポール・オースター(和訳)
特に『ムーンパレス』
……英語で挑戦してみたい、なぁ。と思いつつ時間は過ぎて行く。

芥川賞系も好きです。
SFも並行して読んでいこうと思っています!

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