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2025年11月の読書メーターまとめ

曲月斎
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2025年11月に読んだ本
9

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2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

曲月斎
筆者は元住友銀行員。本書は国内外を舞台に活躍したバンカーの疾風怒濤の日々を綴っていく。朝鮮、台湾の両発券銀行のほか、外為専門の横浜正金銀行、満洲での満州中銀、汪兆銘政権下の中国儲備銀、内蒙古の蒙疆銀行等々の他、沖縄、樺太、東南アジア、南方でも、銀行は最後まで稼働した。決済が出来なければ市民も商売も況んや軍も活動が止まるからだ。接収間際の中国大陸での正金による紙幣の回収や、沖縄・広島・長崎・樺太でのバンカーの粉骨砕身には頭が下がる。曰く「戦争が終わってもバランスシートは残る」は名言。戦争は全て金次第だから。
曲月斎
2025/11/28 13:15

新書である以上、一般読者向けの前説も必要で、その部分に紙面を割かざるを得ないのは事実。望蜀の嘆ながら、もっと金融界に絞った方が興味深かったろう。時系列で話を進めているので、どうしても、朝銀や台銀などの記述は前後する。また樺太の北海道拓殖銀行、広島、長崎、沖縄でのバンカーの動きや、最後にものを言った正金の動きなど、先々を読みながら、大蔵省本省や日銀との折衝を繰り返した苦労のほどは並々ならぬ。

曲月斎
2025/11/28 13:18

本当は、日本国内の日銀、朝鮮・満洲に流通した朝銀、戦後も職務を円満に引き継いだ台銀、そして欧米の窓口となった横浜正金。それぞれの正史はあっても、横串に刺しての記述がある本は少ない。入門書ながら、その点に価値がある。ただ、紙幣の価値を維持するためのからくりや、国民党の発行した法幣の問題など、書き込んでほしい分野も残った。

が「ナイス!」と言っています。

2025年11月にナイスが最も多かったつぶやき

曲月斎

昨晩から読み始めた「帝国の隠し方ーー大アメリカ合衆国の歴史」(ダニエル・イマヴァール、名古屋大学出版会)が面白い。ルーズベルト大統領が「屈辱の日」の演説で、日本軍が真珠湾を、オアフ島を奇襲した、と述べたことから、本は始まります。 実はマレー半島や、米国が事実上、植民地化していたフィリピン、グアムなどにも同時に日本軍は侵攻しています。でもフィリピンやグアムを並列せず、オアフ島に絞って訴えた。「米国」に奇襲してきたんだぞ、と。 で、読んだのはまだここまで。 456頁、1頁2段組み、719g。重い。手首が痛い。

昨晩から読み始めた「帝国の隠し方ーー大アメリカ合衆国の歴史」(ダニエル・イマヴァール、名古屋大学出版会)が面白い。ルーズベルト大統領が「屈辱の日」の演説で、日本軍が真珠湾を、オアフ島を奇襲した、と述べたことから、本は始まります。
実はマレー半島や、米国が事実上、植民地化していたフィリピン、グアムなどにも同時に日本軍は侵攻しています。でもフィリピンやグアムを並列せず、オアフ島に絞って訴えた。「米国」に奇襲してきたんだぞ、と。
で、読んだのはまだここまで。
456頁、1頁2段組み、719g。重い。手首が痛い。
mitu
2025/10/15 18:15

曲月斎さんこんばんは。456頁とは大部ですね。祖父の伯父さんが、山本五十六だそうですが、いつかと思いつつ伝記も読んだことがありません。読了なさったら、レビューを拝見したいと思います。

曲月斎
2025/10/25 15:46

レビュー入れました。全文はコメント欄に分割掲載してあります。

が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
8

曲月斎
筆者は元住友銀行員。本書は国内外を舞台に活躍したバンカーの疾風怒濤の日々を綴っていく。朝鮮、台湾の両発券銀行のほか、外為専門の横浜正金銀行、満洲での満州中銀、汪兆銘政権下の中国儲備銀、内蒙古の蒙疆銀行等々の他、沖縄、樺太、東南アジア、南方でも、銀行は最後まで稼働した。決済が出来なければ市民も商売も況んや軍も活動が止まるからだ。接収間際の中国大陸での正金による紙幣の回収や、沖縄・広島・長崎・樺太でのバンカーの粉骨砕身には頭が下がる。曰く「戦争が終わってもバランスシートは残る」は名言。戦争は全て金次第だから。
曲月斎
2025/11/28 13:15

新書である以上、一般読者向けの前説も必要で、その部分に紙面を割かざるを得ないのは事実。望蜀の嘆ながら、もっと金融界に絞った方が興味深かったろう。時系列で話を進めているので、どうしても、朝銀や台銀などの記述は前後する。また樺太の北海道拓殖銀行、広島、長崎、沖縄でのバンカーの動きや、最後にものを言った正金の動きなど、先々を読みながら、大蔵省本省や日銀との折衝を繰り返した苦労のほどは並々ならぬ。

曲月斎
2025/11/28 13:18

本当は、日本国内の日銀、朝鮮・満洲に流通した朝銀、戦後も職務を円満に引き継いだ台銀、そして欧米の窓口となった横浜正金。それぞれの正史はあっても、横串に刺しての記述がある本は少ない。入門書ながら、その点に価値がある。ただ、紙幣の価値を維持するためのからくりや、国民党の発行した法幣の問題など、書き込んでほしい分野も残った。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
能舞台の撮影を専らにした吉越立雄の写真集。1923年生まれで能楽書林の仕事から携わるようになったのが37年。2冊目の写真集になる。1998年刊。登場するのは昭和を飾った名人上手が中心で、白眉はやはり書名の「直線の美」の縁ともなり、表紙を飾る観世寿夫だろう。勿論、自分で観ている田中幾之助、松本惠雄、友枝喜久夫、桜間道雄などの姿もある。若き日の観世暁夫も。今とは異なり、大型、当時の6500円もする本を買う層が一定居たということ。今とは能狂言を支える人口の差を考え込む。何かが変わった今の世とは違う世界の様子が。
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曲月斎
筆者も今年は77歳。数多くの本を上梓した中で、総括の意を込めた1冊と拝する。関東大震災の時の甘粕事件から始まり、華盛頓体制と陸軍の軍縮の話へ。この頃の記憶が昭和に入っての反動に繋がるとの見立て。中でも3章昭和期エリートの成績・昇進・派閥と、4章の昭和陸軍軍閥史は出色。皇道派と統制派という色分けで単純化しがちだが、国政に影響を及ぼす人事の動きはある意味で限定的で、陸士~陸大という経歴が必ずしも大きな影響を残したともいえぬという分析は興味深い。途中、多くの書籍の紹介があり、巻末は書評の章。今後の道案内になる。
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曲月斎
「幕府」という言葉が内包する概念を問う1冊。1192造ろうが、鎌倉幕府の成立と言われなくなったように、実は征夷大将軍に任官しているか否かではない。その用例を吾妻鏡や公家日記に求め、新井白石の「読史余論」や頼山陽の「日本外史」に探り、田口卯吉の「日本開化小史」や重野安繹の「国史眼」に飛び、果ては南北朝正閏説や吉野朝の登場、「東国国家論」対「権門体制論」に及ぶ。単なる戦場のテントから「幕府」という一語の背景にある日本史の捉え方を問い直す1冊になっている。白石や田口の歴史観が興味深い。
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曲月斎
ちょっと期待したものとは異なる内容。国内の40~50歳代を照準に、2拠点生活や、I・J・Uターンなどの手引きにしようという1冊。筆者は2010年に起業して、上記の啓蒙をする会社を立ち上げたという。ただ、この15年の間に、地方は急激に人口減少が進んでいる。本書を読みながら、提示されている仕事の姿が成立しうるのかという疑問が浮かぶ。自伐型林業や自然工法、伝統工法による建築、無農薬農業、ゲストハウス経営……。いずれも既に立ち上げている人は何とかだと思うけど、新規となると投資に見合うリターンがあるかどうか……。
曲月斎
2025/11/13 17:52

筆者は「ホワイトカラー」「ブルーカラー」ではない「アースカラー」という概念を提唱し、人間的な成熟を求める。一昔前の「若者、よそ者、変わり者」からは進歩しているのか、衰退がそういう道を示さざるを得なくなったのか。いずれにせよ、背景には補助金の存在が透けてみえる気が。

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曲月斎
終着駅は「鉄道の終端にある駅、終点」という語釈が通常。ただ、東海道本線は神戸が終着駅になるけど、今は通過地点に過ぎない。列車の終点といった意の書名であります。例えば大月、籠原など。都会に広大な電車区を備えることは土地利用から考えて不効率なので、どんどん郊外に追いやられてきました(田町などはいい例)。外房線の上総一ノ宮、内房線の君津などは「ここまではJRとして路線をキチンと維持しますが、その先は止まることも多いですよ」という意味になっているような。昨今、旅客の利便より、経営効率が優先した結果の終着駅?
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曲月斎
「古事類苑」みたいな本。京を中心に「名水」の水源を訪ね、由来、来歴、現状をルポしていく。目新しいのが水質の分析をすることで、就中、「茶の湯」の名水とされるものは①ミネラル分の少ない軟水②重炭酸カルシウムを中心にミネラルバランスがとれた水ーーとなるそうだ。①だと香りが立ち、②だと水色がよくなる、ただし硬度が上がると泡立ちが悪くなるそうだ。「名水」を中心にしたまちづくりも紹介、名水は名が伝わることで存続する訳で、2筆者の底意は伝わる。ただ、熱心な悉皆調査には敬服するけど、何か他の情報で知り得るものが多い。
が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
昭和天皇実録が出、1936~44年に侍従長を務めた「百武三郎日記」が公になった。初代の宮内庁長官を務めた田島道治の「拝謁記」は49年に始まり、68年の没年まで続く。侍従武官を務めた坪島文雄の41年から3年半の日記も。旧来の平和を愛した昭和天皇像とは違い、最大の関心事は「皇統の維持」であり、「大元帥」「元首で統治権を総攬する」意識だ。米軍が占領した沖縄への私見をGHQに伝えた「沖縄メモ」や、現憲法の9条がありながら、武装も望む。すべては「万世一系」のため。資料の要点を摘出した本書は大筋を最初に押さえる1冊。
曲月斎
2025/11/02 14:27

政治との距離感について、君側を固めた歴代宮内庁長官の動向をまとめた「宮内庁長官 象徴天皇の盾として」 (井上亮、講談社現代新書)も併読することを勧めたい。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/06/25(6008日経過)
記録初日
2005/01/01(7644日経過)
読んだ本
2233冊(1日平均0.29冊)
読んだページ
604921ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
2160件(投稿率96.7%)
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職業
専門職
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千葉県
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