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2024年10月の読書メーターまとめ

曲月斎
読んだ本
8
読んだページ
2592ページ
感想・レビュー
8
ナイス
285ナイス

2024年10月に読んだ本
8

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

曲月斎
角田文衛が「平家後抄」の衝撃は忘れがたい。女系を辿る意味は承知していても、本書にある遊牧民の世界での女性の位置、意味の壮大さには驚く。レヴィ・レート婚(寡婦が死亡した夫の兄弟と結婚する慣習)が複雑な人間関係を作って行く。長征ともなれば妻が同行するし、子供の栄達にも尽力する。オルドス千戸の末裔である筆者の口調は、モンゴル出身力士が語る自慢話にも似て、お国ぶりが偲ばれる。夫への服従もこの膂力あればこそ、と思う。騎力・腕力・射力でも体力でもない、女性たちあって婚姻策や闘争があればこその欧亜に広がる版図、だった。
曲月斎
2024/10/10 20:51

余談ながら、塩野七生が描くカテリーナ・スフォルツァの逸話を思い出した。ジローラモに攻められ、捕らえられたものの、一度、身柄を放されるや、城外で人質になっている子のことはさておき、城館の屋上に立ってスカートを捲り上げ「子どもなどここからいくらでも出てくる」と叫んだという話。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
8

曲月斎
エラリー・クイーン研究の第1人者によるミステリの構造解析である。ミステリは作家と読者の“共犯関係”で成立する分野。相手のことを念頭に置いての小説であり、トリックや倒叙形式など、委曲を尽くしての知恵比べである。筆者は「トリックデータベース」という概念を挙げる。これは先行する事例があるとか、そういう知識がない相手には書きにくいとか。確かにミステリという分野は、好悪がそういうところに起因するのは事実。創元推理文庫でエラリー・クイーンを読み漁ったり、EQマガジンってあったなぁ、とか。「翻訳権独占」ってあったなぁ。
曲月斎
2024/11/01 01:32

個人的には「変格探偵小説入門――奇想の遺産」 (谷口基、岩波現代全書) みたいな結構を期待してたんですけどね……。

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曲月斎
西ローマ帝国の崩壊が中心だが、かつて世界史の授業で、ゲルマン民族の席捲で、西ローマ帝国が崩壊したと習ったものだが、ゲルマン民族など周縁地域での民族の勢力が勃興→帝国本体が周縁から得ていた財源が細る→本書でいう陶器や、武器、或いは兵士の教練が行き届かなくなる→ゲルマン民族などがローマ化する→総体として従来の生活が成り立たなくなる、という展開らしい。今の日本だって、国民の実収入が大きく目減りしている現下、大差ないような気もする。繁栄は累卵の上にあることは間違いない。言い変えれば中間層の崩壊、ということか。
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曲月斎
不潔って何だろう。遺灰や汚水が流れるガンジス河はインドの方々には「流れている水だから清潔である」ということになる。また、イスラムの方々は礼拝前に腕や顔を丁寧に洗浄して清浄な体になろうとするのに対し、洗礼を行うキリスト教にあっては受洗できれいな体になっているのだから、沐浴も洗髪も必要のないことなのだといい、王侯貴顕も異臭を放ち、悪臭が魅力と理解されていたというのだから驚く。コレラ、ペストの猖獗も、瀉血も手伝った梅毒の流行も、「清潔」の概念の差か。筆者は比較文化、医学史家。「ばっちい」と思う機序の差は大きい。
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曲月斎
ヒット作を支える「職人」を見事に点綴している。音響効果の柴崎憲治は「この世界の片隅に」で背景に入る音を作った人物。波音、爆撃音、何げない背景の音をアナログとデジタルを融合して作りだした。また分業制の行き届いた世界で、それを統括した柘植伊佐夫。高画質になる中、必要が出てきた分野だ。新しい動きでキャスティングをする奈良橋陽子。日米双方に世界を広げるための架け橋役は極めて属人的。昔なら互いの分野が近く、統括する立場も居た「撮影所システム」が機能したが今はない。ならばとこれらの職人の活躍が今を支えているのが新鮮。
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曲月斎
角田文衛が「平家後抄」の衝撃は忘れがたい。女系を辿る意味は承知していても、本書にある遊牧民の世界での女性の位置、意味の壮大さには驚く。レヴィ・レート婚(寡婦が死亡した夫の兄弟と結婚する慣習)が複雑な人間関係を作って行く。長征ともなれば妻が同行するし、子供の栄達にも尽力する。オルドス千戸の末裔である筆者の口調は、モンゴル出身力士が語る自慢話にも似て、お国ぶりが偲ばれる。夫への服従もこの膂力あればこそ、と思う。騎力・腕力・射力でも体力でもない、女性たちあって婚姻策や闘争があればこその欧亜に広がる版図、だった。
曲月斎
2024/10/10 20:51

余談ながら、塩野七生が描くカテリーナ・スフォルツァの逸話を思い出した。ジローラモに攻められ、捕らえられたものの、一度、身柄を放されるや、城外で人質になっている子のことはさておき、城館の屋上に立ってスカートを捲り上げ「子どもなどここからいくらでも出てくる」と叫んだという話。

が「ナイス!」と言っています。
曲月斎
辞典・事典へのフェティシズムが有るのかも知れない。この本はたまたま「チコちゃんに叱られる」で採り上げられていて、何の必要がある訳でもなく手を伸ばした1冊。例に挙がる隠語・俗語には古語に由来するものが少なからずあるのは興味ふかいし、勿論、通読するために買った本でもない。手元に置いておいたら楽しいだろうな、という1冊。拾い読みでも十分楽しめた。釣られて日本の古本屋で「研修資料 隠語符牒集」(1947年)も買ってしまったけど、この2冊は自分で遣うことはない本だろう。でも時々、こういう本に手を伸ばしたくなる。
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曲月斎
今回の総選挙、大きな争点は筆者が提起した「裏金問題」であるのは間違いない。国会議員の収入(というか実入り)というのは、実に抜け穴だらけで、裏金を作ろうと思えばいくらでも可能なのがよく分かる。端緒たりえたのは、小選挙区制の導入にある訳で、筆者は比例代表制の導入を主張する。しかも議席数の配分についても興味深い。もう一つ。三権分立といいながら、行政の下に、立法の府国会も従属、司法も人事権を元に従属する構図に成っているのは、如何にも処置なしの思い。今、国民ができることは投票権の行使と不正に対しての批判の声。
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曲月斎
ユーラシア大陸全体に領土を広げた国の始祖チンギスの一代記である「元朝秘史」を読み解いた1冊。覚えにくい人名に加えて、挿入される地図も少なく、ともかく大変。今回は詳細なことは飛ばして、チンギスの人となりや行動を追うことに絞って読み進めた。気候が厳しく、多くの部族が割拠する中、国を建てていくということは如何にも大事であるし、そういう人間的な魅力に満ちているのは何となく理解できた。それと後にノモンハン事件の舞台となるハルハ川流域がこの時代から紛争の舞台となっていたというのは、何となく興味深い話。実に東奔西走。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/06/25(5629日経過)
記録初日
2005/01/01(7265日経過)
読んだ本
2151冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
582149ページ(1日平均80ページ)
感想・レビュー
2081件(投稿率96.7%)
本棚
32棚
性別
職業
専門職
現住所
千葉県
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