
本当は、日本国内の日銀、朝鮮・満洲に流通した朝銀、戦後も職務を円満に引き継いだ台銀、そして欧米の窓口となった横浜正金。それぞれの正史はあっても、横串に刺しての記述がある本は少ない。入門書ながら、その点に価値がある。ただ、紙幣の価値を維持するためのからくりや、国民党の発行した法幣の問題など、書き込んでほしい分野も残った。
昨晩から読み始めた「帝国の隠し方ーー大アメリカ合衆国の歴史」(ダニエル・イマヴァール、名古屋大学出版会)が面白い。ルーズベルト大統領が「屈辱の日」の演説で、日本軍が真珠湾を、オアフ島を奇襲した、と述べたことから、本は始まります。 実はマレー半島や、米国が事実上、植民地化していたフィリピン、グアムなどにも同時に日本軍は侵攻しています。でもフィリピンやグアムを並列せず、オアフ島に絞って訴えた。「米国」に奇襲してきたんだぞ、と。 で、読んだのはまだここまで。 456頁、1頁2段組み、719g。重い。手首が痛い。
曲月斎さんこんばんは。456頁とは大部ですね。祖父の伯父さんが、山本五十六だそうですが、いつかと思いつつ伝記も読んだことがありません。読了なさったら、レビューを拝見したいと思います。
新書である以上、一般読者向けの前説も必要で、その部分に紙面を割かざるを得ないのは事実。望蜀の嘆ながら、もっと金融界に絞った方が興味深かったろう。時系列で話を進めているので、どうしても、朝銀や台銀などの記述は前後する。また樺太の北海道拓殖銀行、広島、長崎、沖縄でのバンカーの動きや、最後にものを言った正金の動きなど、先々を読みながら、大蔵省本省や日銀との折衝を繰り返した苦労のほどは並々ならぬ。
本当は、日本国内の日銀、朝鮮・満洲に流通した朝銀、戦後も職務を円満に引き継いだ台銀、そして欧米の窓口となった横浜正金。それぞれの正史はあっても、横串に刺しての記述がある本は少ない。入門書ながら、その点に価値がある。ただ、紙幣の価値を維持するためのからくりや、国民党の発行した法幣の問題など、書き込んでほしい分野も残った。
筆者は「ホワイトカラー」「ブルーカラー」ではない「アースカラー」という概念を提唱し、人間的な成熟を求める。一昔前の「若者、よそ者、変わり者」からは進歩しているのか、衰退がそういう道を示さざるを得なくなったのか。いずれにせよ、背景には補助金の存在が透けてみえる気が。
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新書である以上、一般読者向けの前説も必要で、その部分に紙面を割かざるを得ないのは事実。望蜀の嘆ながら、もっと金融界に絞った方が興味深かったろう。時系列で話を進めているので、どうしても、朝銀や台銀などの記述は前後する。また樺太の北海道拓殖銀行、広島、長崎、沖縄でのバンカーの動きや、最後にものを言った正金の動きなど、先々を読みながら、大蔵省本省や日銀との折衝を繰り返した苦労のほどは並々ならぬ。