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4月の読書メーターまとめ

曲月斎
読んだ本
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感想・レビュー
9
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354ナイス

4月に読んだ本
9

4月のトップ感想・レビュー!

曲月斎
本書の述べる通り、高等教育を自力でするにはまず教員の確保が必要で、明治の世に国家の人材養成のために作った機関というのが描かれる。と同時に、旧制高校、講座制、学位制度、大学特別会計など、旧7帝大という存在の特権的な地位を改めて実感する。予算があってこその高等教育、である。旧帝大>旧官立大>私学という序列……。ただ一方で、複線式の高等教育制度だった戦前と6334制に統一された今の学制と、どちらが良かったのか。巻末に取り上げられているが「研究大学(RU)」の芽は今後の「大学」像として求められるのではないか……。
曲月斎
2017/04/22 21:38

本の中で、「金融界だけは東京高商(一橋大)と慶応義塾が多くを占めていた」とありました。さもありなん、かと。

が「ナイス!」と言っています。

4月のトップつぶやき!

曲月斎

「張作霖:爆殺への軌跡一八七五‐一九二八」(杉山祐之、白水社)を読み始める。躍動感があって面白い。久しぶりに書、措くを能わず、という感じ。

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4月の感想・レビュー一覧
9

曲月斎
軍記物といっても平家物語や保元、平治物語と比べて影が薄い太平記。近代的な歴史学が移入する前、江戸時代までは貴賤、老若男女を問わず享受されていたことを説くのが眼目。「戦国と宗教」で筆者が説いたように、単に儒学や仏教の因果論だけではない「天道」の導くところが、歴史の帰趨に反映すると展開するのが、太平記が広汎に享受された理由と見立てる。と同時に、物語が成立した室町期は「日本国」「日本人」という概念が定着した時期。国民意識の形成に影響を与えたと見る。大津雄一の「平家物語の再誕」にも通じる「享受史」は興味深い。
曲月斎
2017/04/30 21:53

本書の最終章で、勝俣鎮夫の時間意識の変異の話が興味深い。中世後期までの日本人は「過去をサキ、未来をアト」と呼び、今は、「未来がサキ」になっている。その変化がちょうど太平記の成立時期に当たる。この話、「世界の辺境とハードボイルド室町時代」(高野秀行&清水克行)にも出てくるのだけど、元ネタの本「中世社会の基層をさぐる」に触手が伸びるわけで……。

曲月斎
2017/04/30 21:56
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曲月斎
尊氏像を、発給した文書から探る1冊。中でも領地を与える際などの「袖判下文」(冒頭に花押が据わった文書)と「軍勢催促状」、所領安堵の「下文」など、文書の性格、書式、時期、、年号、書き手などを分析して、尊氏と弟直義、その次世代の義詮と直冬といった人物の内心や権限、役割を探る。倒幕の挙兵から南北朝、観応の擾乱と、時代が移る中で、発される文書の性格、権能が変わっていく。現存する文書を解析した功は興味深いが、同時に、未発見の文書の山が有り得るのでは、という気持ちが起こる。門外漢だからか。ま、「悪魔の証明」だけど。
曲月斎
2017/04/27 00:25

筆者曰く、太平記や梅松論などの2次資料は極力排した、そうだ。こういう試みも文書を入力→検索→並べ替え、という作業ができる今の時代だからこそ、と思う。ひと昔前なら、史料を読み込んで頭に刻み込むか、カードを取るかが精一杯。この上、崩し字をスキャン、テキスト化するようになったら、上に記したように、どこかから、文書がごっそりと出てきそうな気がしてしまう。

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曲月斎
本書の述べる通り、高等教育を自力でするにはまず教員の確保が必要で、明治の世に国家の人材養成のために作った機関というのが描かれる。と同時に、旧制高校、講座制、学位制度、大学特別会計など、旧7帝大という存在の特権的な地位を改めて実感する。予算があってこその高等教育、である。旧帝大>旧官立大>私学という序列……。ただ一方で、複線式の高等教育制度だった戦前と6334制に統一された今の学制と、どちらが良かったのか。巻末に取り上げられているが「研究大学(RU)」の芽は今後の「大学」像として求められるのではないか……。
曲月斎
2017/04/22 21:38

本の中で、「金融界だけは東京高商(一橋大)と慶応義塾が多くを占めていた」とありました。さもありなん、かと。

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曲月斎
1939年生まれの筆者が書いた本書は33人登場して10人が見ていない演者。昭和の能楽師を語る上で、万六銕や新、長は欠かせないのだろうけど、選から外した役者に惜しい人が多い。例えば茂好、一次。紙幅を考えると差し替えても良かった気がする。「私の観た」の一句をタイトルに入れればいいのだから。振り返ればこの本に登場する役者の多くを観てきた仕合わせというか。一方で自分自身が観た印象を併せると、能狂言の評の本で、どうしても印象批評の域を出ない気がするのは残念。藝系とか空気とか。戦争という大事を挟んだ昭和の世だけに。
曲月斎
2017/04/20 00:19

本書は毎日新聞の書評欄を見て選択。文面として坂元雪鳥~大河内俊輝~堂本正樹といった能評の系譜に連なる。長年、読んできた世界故の安定感と、どこか衒学趣味的な世界から脱し切れていない歯がゆさと。

曲月斎
2017/04/20 00:19

註:「万六銕」初世梅若万三郎、54世梅若六郎、六世観世銕之丞のこと。歌舞伎でいう「團菊左」みたいなもの。/「新」下掛宝生流の10世家元。夏目漱石の謡の師匠。/「長」松本長のこと。宝生流の16世家元九郎知栄に後継者として指名されながら辞退。長男が俳人の松本たかし。/「茂好」森茂好のこと。下掛宝生流のワキ方。/「一次」田中一次のこと。笛方森田流の囃子方。

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曲月斎
本文269頁の本で169頁までが筆者の未見の役者の話。列伝体ではあっても筆者の知識の集積を編輯した体裁。1次資料といいづらく、出典の明記も少ない。1955年生まれの筆者が取り組む主題としては厳しい気がする。75年以前が没年の役者になると、実際に見ていても運びが弱い。勢い文末を丸めるような文体で上品だけど、全体的に歯切れが悪い。同趣向の1冊として1960年生まれの中川右介「歌舞伎 家と血と藝」(講談社現代新書)の方が見立ての藝が行き届いていて出来がいいと思う。役者同士の聯関の説明が分かりにくいのも残念。
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曲月斎
鬼平というと白鸚。高麗屋のニンに合っていた。丹波哲郎、萬屋錦之助と挟んで長く続いたのが当代の播磨屋。本書は4代目の話が軸。ただ背景の理解が欲しいところ。2章、序章を前にして1章の聞き書き部分を中に挟んだかも。元々「必殺」ものを撮影していた松竹京都に残っていた映像の職人衆が新生・鬼平を支えた。仕事の聞き書きは貴重で脚本、殺陣から記録まで、職責への自負が行間に覗く。4代目のシリーズが映像的にも今の時代で受け入れられ、長く続いた謎解きになったかどうか。アナログ時代からデジタル化。時代劇もその例外ではなかった。
曲月斎
2017/04/17 00:51

読み通すには同じ筆者の「なぜ時代劇は滅びるのか」や、梨園の藝風の話となると中川右介の「歌舞伎 家と血と藝」くらいは抑えておきたい1冊になる。主人公も去ることながら、実は脇を固める役者、敵役の存在などが、出来を左右するような気がする。よく書いている1冊と思う一方で、テキスト解析書を読んでいるような気分にもなったのは事実。

曲月斎
2017/04/17 11:49

聞き書きの中に、「吉右衞門の旦那」という表現が出てくる。確かに梨園の大名題、そういう風格があるのは分かる。演劇というチームプレーの中で、そういう存在と認識されるのは事が円滑に運ぶ上で、重要な要素だったような気がする。最終篇で菊之助が登場したのは、確かに将来への布石なのかもしれない。

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曲月斎
日本史の教科書なら1行にも満たない出来事が約350ページの本になった。1875年に奉天海城で生まれた張作霖を主人公に、日清、日露の戦役から清朝崩壊、軍閥の割拠、国民党の北伐を前に躍動した跡を辿る。2000年代以降に主に刊行された中国側の資料を読み込み、日本側の資料と付き合わせて描き出した物語、前半は講談を聞くような快感があり、後段はソ、日など外国勢力の思惑と各軍閥の絡み合いを描いて倦むことない展開。1928年の爆殺まで、精緻な細工ものを見るような楽しさがある1冊。行間にひとかどの人物像が浮かび上がる。
曲月斎
2017/04/09 01:00

筆者は読売新聞中国駐在編集委員。平板な評価ではなく、事実の積み上げで張作霖の姿を描きだした。ただ惜しむべし。地図が少なすぎるのは難点。せっかくの1冊、満州から山海関、長江流域と話が展開するのだから、もっと手まめに入れた方がよかった。改めて「中国革命を駆け抜けたアウトローたち―土匪と流氓の世界」(福本勝清、中公新書)の併読を勧めたい。人口爆発を起こした清朝末からの時代、こういう人物が出現する背景は十二分にあったのが見えてくると思う。

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曲月斎
田口はプロ生活を始めた頃を知っているし、その後のMLBでの経験談も愛読してきた。書きぶりには一目どころか井目風鈴くらい置いているものの、本書はちょっと物足りない。テーマはファーム制度の話か、日米の比較なのか、2軍監督1年生としての経験談なのか。焦点が絞り切れていない感じが残った。もっと自在に書いていいのだし、筆者ならできるはず。何しろ、あの仰木彬やT・ラルーサの下でプレーした選手なのだから。もっと歯切れ良く書けたはず。プロの世界を一般社会まで敷衍しようという試みが本書の内容を半煮えにしたような気がする。
曲月斎
2017/04/10 20:43

この硬さ、知人に指摘されたのですが、長年の「個人事業主」が、初めて「他人に雇用される」という立場になった、というのもあるかな、と。

曲月斎
2017/04/10 20:44

この硬さ、知人に指摘されたのですが、長年の「個人事業主」が、初めて「他人に雇用される」という立場になった、というのもあるか、と。いかにもきまじめな田口らしい話ですが。

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曲月斎
冊封制度は中国に臣下の礼はとっても、内政外交は自主的にできる「属国自主」の概念。植民地とは東アジアでは似て非なるものと受け止められてきた。礼を基本とする儒教を国教とした朝鮮は中国本土の王朝が明から清にと変わった中、自身が正統で天朝を引き継ぐものとしての自負が膨らむ。一方、18世紀にこの地を訪れた帝国主義を掲げる西欧列強には不可解な慣習だったろう。本書は朝鮮のそんな歴史的背景を踏まえた上で19世紀以降の変化を解析した点が今に続く事情の理解に役立つ。筆者の一連の著作を併読すると立体的に見えてくるものがある。
曲月斎
2017/04/05 23:16

筆者の本で、一番手軽に読めるのは「中国の論理」(中公新書)だと思います。こちらもおすすめ。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/06/25(2895日経過)
記録初日
2005/01/01(4531日経過)
読んだ本
1409冊(1日平均0.31冊)
読んだページ
381054ページ(1日平均84ページ)
感想・レビュー
1337件(投稿率94.9%)
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