この人物が齢を重ね、立場を変えるたびに増えていく新たな嘘を次々と暴く｡400ページ超にわたって同じことを繰り返しているだけともいえるが、それでも最後まで読ませる筆者の力量に感服｡この人物に嘘の質が近しいのは、トランプ元大統領ではなかろうか｡自らの就任式に際して報道官に「過去最多の人々が集まった」と嘘をつかせ、それを「もう一つの事実」と語って恥じない姿が彼女に重なって見える。ま、遍く政治家とは嘘つきである、というだけかも知れないけど。

2015年当時のイスラエルに関する分析などなど｡元外交官なので、その分析が拠って立つ 視点は「日本の国益」｡特定の国家の国益と人道が一致するという価値観を正当化するために、自らの信仰心を強調する語り口に閉口する。ただ「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」という考えがイスラエルの国是であるという説明は、中東問題を理解するための補助線として有効だろう。

こんなに甘ずっぱい感情には縁がないので、何を感じればいいのか理解できなかった。ハマる人にはハマるのかもしれませんが。

この人物が齢を重ね、立場を変えるたびに増えていく新たな嘘を次々と暴く｡400ページ超にわたって同じことを繰り返しているだけともいえるが、それでも最後まで読ませる筆者の力量に感服｡この人物に嘘の質が近しいのは、トランプ元大統領ではなかろうか｡自らの就任式に際して報道官に「過去最多の人々が集まった」と嘘をつかせ、それを「もう一つの事実」と語って恥じない姿が彼女に重なって見える。ま、遍く政治家とは嘘つきである、というだけかも知れないけど。

パレスチナ関連の本を続けて読んだので、今回は反対側に関する本を｡モラルの底が抜けたようなイスラエルの残虐性はどこからくるのか｡その淵源にシオニズムという思想があるなら、それってなんなのよ｡そういう根源的な問いに答えるのは本書の役割ではなかった。1999年執筆の古い本（911より前！）｡イスラエルとアラブ諸国との先行きにとても楽観的だ。その見通しの正誤は問題ではない｡過去における考察と現実との落差がなぜ生まれたのか。未来にいる我々はそこに思いを致す必要があるだろう。