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2025年11月の読書メーターまとめ

どんぐり
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2025年11月に読んだ本
12

2025年11月のお気に入り登録
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  • Aya Murakami
  • Mark

2025年11月のお気に入られ登録
4

  • Aya Murakami
  • yun.88.yu
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  • 虫食い侍

2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

どんぐり
長崎県・対馬で、20年以上にわたり「JA共済優績ライフアドバイザー全国表彰式」(通称:LA甲子園)で表彰され続けてきた男が、車ごと海に転落して亡くなった。2019年2月のことだった。現場の状況から、自殺とみられている。彼の死後、職場の机の引き出しからは契約者名義の印鑑や共済金の不審な契約が見つかった。自宅や家族名義で契約された共済は200件近くに及び、同じ建物や車、人を何重にも保障対象にしていた。なぜ彼は自殺に至ったのか、その闇に迫るノンフィクションだ。→
どんぐり
2025/11/05 21:58

不正を許した組織の構造、共済金の請求システム、営業の歩合制とノルマ主義、そして日本のムラ社会の縮図が浮かび上がる。不正を重ね、行き詰まり、破綻していった男の末路。彼は何を求めていたのか。LA甲子園も、ドンペリのタワーを築くような虚飾の舞台に見えて、どこか気味が悪い。

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2025年11月にナイスが最も多かったつぶやき

どんぐり

第6回須賀敦子翻訳賞授賞式 イタリア語作品の優れた翻訳に対して隔年で贈られる須賀敦子翻訳賞。第6回の受賞作品は、ダーチャ・マライーニの『わたしの人生』(新潮社)。翻訳者は、マライーニ作品の多くを訳している望月紀子さん。きょうは、その授賞式に参加。

第6回須賀敦子翻訳賞授賞式
イタリア語作品の優れた翻訳に対して隔年で贈られる須賀敦子翻訳賞。第6回の受賞作品は、ダーチャ・マライーニの『わたしの人生』(新潮社)。翻訳者は、マライーニ作品の多くを訳している望月紀子さん。きょうは、その授賞式に参加。
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2025年11月の感想・レビュー一覧
12

どんぐり
自分の感情を切り離して相手を理解し、集団のために役立てることが感情労働である。代表的な職業には看護や介護がある。この感情労働を脳科学ではどのように捉えられるのか。本書では、感情とは何か、意識的にコントロールできるものなのか、どのようにコントロールできるのか、そして「コントロールするもの(意識)」と「コントロールされるもの(感情)」の関係を問い直している。脳科学や人工知能研究という新しい視点から感情労働を再考している点が特徴だ。→
どんぐり
2025/11/30 08:55

特に〈SNSは、感情労働の最前線?〉の章はSNSやAIの登場とともに現代特有の感情労働を論じており、示唆に富み興味深い。感情は自分ひとりの中で完結するものではなく、他者とのつながりの中で生じるという点は押さえておきたい。

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どんぐり
第二次世界大戦中、日本に滞在していたイタリア人一家は、父親がファシズムに反対していたため、名古屋郊外の天白収容所に強制収容。著者は当時7歳で、過酷な環境に置かれた。収容所は劣悪でシラミとノミ、夏は酷暑、冬は厳寒、食料は極端に不足し、子どもは配給対象外だったため、少女は飢えに耐えかねて庭を這う蟻を食べるほどだった(蟻は蟻酸という毒がある)。戦争終結後も一家はしばらく置き去りにされ、自由はあったが生活は不安定だった。→
どんぐり
2025/11/29 05:52

後年、著者はこの体験を振り返り、戦争の残酷さ、独裁国家の危険性、そして人間が極限状態で文化や理性を失っていく過程を問いかけている。マライーニの著書の翻訳を手がけている望月紀子は、本書で須賀敦子翻訳賞を受賞。

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どんぐり
「朝日新聞では、1970年代コンゴでの日本企業の鉱山開発に伴い1000人以上の日本人男性が現地に赴任し、そこで生まれた日本人の子ども、日本人医師と看護師が毒殺したことを報道したことがありますか?」というX(旧ツイッタ)に投稿された奇妙なメッセージ。本書はそこから端を発したアフリカ特派員の取材活動をとおしたノンフィクション。日本人による「嬰児殺し」はBBCの誤報によるものだが、当時現地に駐在していた日本人労働者とコンゴ人女性との間に生まれた50から200人の子どもたちが置き去りにされたことは事実である。→
sabosashi
2025/11/22 11:53

おお、コンゴ。。。ロジャー・ケイスメントのコンゴ!

どんぐり
2025/11/22 20:00

sabosashiさん、『ケルト人の夢』はまだ読んでないんですよ。

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どんぐり
『教員不足』に続いて読む学校教育に関する注目の一冊。世界の教育の潮流は、従来のコンテンツ(学習内容)を中心とする「コンテンツ主義」から、能力育成を重視する「コンピテンシー主義」へと移行しつつある。その中で重要視されるのが、OECDが提唱する「キー・コンピテンシー」であり、これは「異質な人々から構成される集団で相互にかかわり合う力」「自律的に行動する力」「道具を相互作用的に用いる力」の3つの能力を指す。単なる知識習得ではなく、知識・スキル・態度・価値観を組み合わせて活用する力を育てることが求められている。→
どんぐり
2025/11/22 07:48

さらに、OECDのEducation2030プロジェクトで策定された「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」も紹介され、日本の教育が目指すべき方向性をわかりやすく示している。

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どんぐり
キリンが好きで研究者になることを決意し、東京大学総合博物館で解剖を学び、数多くのキリンを解剖して博士号を取得するまでの約9年間の物語。研究テーマは「首の長いキリンが、なぜ首を自由に動かせるのか」という問いから始まる。そこから「ノミナ=Nominaを忘れよ」という教えに従い、筋肉や神経の名前にとらわれず、目の前の構造を純粋に観察する日々が続く。やがて「キリンが首を動かすときは、頸椎だけでなく第1胸椎も動いている」という発見に至る。この第1胸椎は定義上胸椎だが、機能的には“8番目の首の骨”として働いている。→
sabosashi
2025/11/17 10:01

すべては眼の付け所なんでしょうか。すみません、キリンは美味しいか、なんてことはやはり書いてないのかな?

どんぐり
2025/11/17 19:32

sabosashiさん、キリンの味は書いていませんでしたよ。

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どんぐり
分子生物学者・福岡伸一による、生命にとって「時間」とは何かという根源的な問いを投げかけるエッセイ集。生命は分解と合成を繰り返し、エントロピー増大に抗いながら秩序を保つ――その「動的平衡」という概念を軸に、生命が存在するがゆえに生まれる時間について論じる。本書の特色は、科学論にとどまらず、文学や芸術との対話を試みている点にある。手塚治虫『火の鳥』、坂本龍一の時間論と記憶、村上春樹のデタッチメント(回路を閉ざすこと)とコミットメント(壁の外へ出ること)、カズオ・イシグロの儚さなど、多様な作品を通じて、→
どんぐり
2025/11/17 04:32

時間と生命の関係を多角的に照射する。とりわけ、デタッチメントとコミットメントの概念は、小川洋子『サイレントシンガー』にも通じるものだ。生命とは「輝きであり、美であり、驚きである」という著者の言葉が、深い印象を残す。

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どんぐり
教員不足の実態に迫る論考。本書が指摘するその最大の原因は、年度当初から配置されるべき正規雇用教員が確保できず、臨時的任用教員への依存が過度に高まったこと。さらに、教員免許更新制度の導入と撤廃に至る政策判断の誤りや、国の行財政改革や教育改革によって教育現場に過大な負荷がかかっていることも問題として挙げられる。「子どもが好きで教員になったのに、子どもより書類に向き合う時間が増え、専門性を生かす授業への挑戦の余力も失われた。経済的安定も長時間労働によって割に合わず、家庭生活との両立も困難になった。→
どんぐり
2025/11/13 23:08

激務に追われる教員の姿は、子どもの憧れの対象にもなりにくい」という指摘は、現場の深刻さを象徴している。子どもたちを教育する教員が疲弊していては、この国の未来は危うい。医療の専門職にも同様の問題があることを考えると、構造的な課題であることに納得させられる。

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どんぐり
森と沈黙が一体となった聖域“アカシアの野辺”に暮らす人々。森の入口には『魂を慰めるのは沈黙である』という言葉が掲げられ、鉄の門と門番小屋が静かに佇む。門番を務めるリリカは、無言を抱えた人々の代わりに歌う存在であり、その声は森の音の隙間をひそやかに潜り抜け、沈黙と抱き合うように響く。物語には、角を絡ませたまま死んだ二頭の羊が登場する。一冬をかけて、一頭と頭部は人形の輪の中で、胴体は池のほとりで骨となる。絡み合った角は、切り離せない絆と孤独の象徴であり、沈黙の中で生と死が交錯することを示している。→
どんぐり
2025/11/12 23:04

「無言でいるもののためでなければ、歌うことができない」と語るリリカ。沈黙と歌、死と再生が交錯する世界に、透明な光を宿した小川洋子の筆致が際立つ。外界のざわめきから切り離された沈黙の聖域。生命と時間のあいだにある記憶。美しい小説だ。

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どんぐり
「9歳の花嫁」のケニアをはじめ、イスラム過激派ボコ・ハラムの犠牲となった「自爆ベルトの少女」のナイジェリア、星座の位置がわからなくなるほど星が多く輝く「世界で一番美しい星空」のナミビアなど、アフリカの現実と魅力を描いた34編。アフリカの大自然への畏怖、そして「一度仕事に出たら、もう二度と帰れないかもしれない」紛争地帯を取材してきた元特派員によるエッセイだ。表紙カバーの写真は、全身に赤土と牛脂を混ぜ合わせた「オカ」を塗ったナミビアの辺境で暮らすヒンバ族。→
どんぐり
2025/11/11 23:13

カーボベルデ出身の歌手セザリア・エヴォラの話も登場し、まさに“沸騰する大陸”アフリカを体感できる一冊。

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どんぐり
コンパクトに向かって呪文を唱えて魔法少女に変身する遊びを描いた表題作「丸の内魔法少女ミラクリーナ」をはじめ、「秘密の花園」「無性教室」「変容」の4編を収録。なかでも面白いのは「無性教室」。この作品では、ショートカットとトランスシャツの着用が義務づけられた学校で、生徒たちは校則によって「性別」を表すことを禁じられている。学校にいる間は、どちらでもない性として生活することが求められ、友情や恋愛においても、相手が男か女かを確認できないまま人間関係を築いていく。→
どんぐり
2025/11/09 08:37

生徒たちは、そんな校則からの解放を密かに願いながらも、日常を淡々と過ごしている。現代社会におけるジェンダーの揺らぎや、個人のアイデンティティの曖昧さを鋭く描き出す村田沙耶香の独創的な世界観と、現実と幻想の境界を巧みに行き来しながら強い印象を残す。

が「ナイス!」と言っています。
どんぐり
長崎県・対馬で、20年以上にわたり「JA共済優績ライフアドバイザー全国表彰式」(通称:LA甲子園)で表彰され続けてきた男が、車ごと海に転落して亡くなった。2019年2月のことだった。現場の状況から、自殺とみられている。彼の死後、職場の机の引き出しからは契約者名義の印鑑や共済金の不審な契約が見つかった。自宅や家族名義で契約された共済は200件近くに及び、同じ建物や車、人を何重にも保障対象にしていた。なぜ彼は自殺に至ったのか、その闇に迫るノンフィクションだ。→
どんぐり
2025/11/05 21:58

不正を許した組織の構造、共済金の請求システム、営業の歩合制とノルマ主義、そして日本のムラ社会の縮図が浮かび上がる。不正を重ね、行き詰まり、破綻していった男の末路。彼は何を求めていたのか。LA甲子園も、ドンペリのタワーを築くような虚飾の舞台に見えて、どこか気味が悪い。

が「ナイス!」と言っています。
どんぐり
2023年度のアラブ小説国際賞を受賞した本作は、オマーン出身の作家によるものでありながら、南米のマジックリアリズム小説を彷彿とさせる幻想的な世界観をもつ。井戸で溺死した女性の胎内から、腹を裂かれて生まれ落ちたサーレム・ビン・アブダッラー。彼は地中の水脈の音を聴き取るという不思議な能力をもち、「水追い師」として村を干ばつから救う存在となる。やがてその能力は「呪われた力」として恐れられ、彼自身も水の音に囚われるようになっていく。最後には、水を栓で塞ぐように地底へと消えていく。→
どんぐり
2025/11/01 06:47

オマーンでは、水と信仰、そしてジン(精霊)の存在が深く結びついている。水に生かされ、水に苦しめられるサーレムの人生は、オマーンの自然と文化を象徴している。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/12/18(4738日経過)
記録初日
2004/01/09(8004日経過)
読んだ本
5965冊(1日平均0.75冊)
読んだページ
1748098ページ(1日平均218ページ)
感想・レビュー
2112件(投稿率35.4%)
本棚
13棚
性別
血液型
A型
職業
クリエイター系
現住所
神奈川県
外部サイト
自己紹介

画像を変更(2016.9.25)。実家からチャリで10分、安田侃の作品が点在する公園。夏、本を読むお気に入りの場所。

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