無駄にフェロモンを振り撒くコンビニ店長ミッちゃん．嫌なやつかと思いきやこれが天然な心優しい男．そんなコンビニ周辺で起こる悲喜交々が実に軽快にテンポよく楽しく描かれています．女子中学生2人の友情話や偽のじいちゃんとの二人三脚練習話などのエピソードもジーンと心に響きます．光莉さん家族もなかなか素敵．次巻（本巻に比べてかなり薄いのが残念…）もあるので続けて読もう．

読み応えある一冊でした．筆頭家老の黛家の三兄弟それぞれの個性が存分に描かれその生き様がぐいぐいと読者に迫ってきます．藩内での権力争いに巻き込まれ大切な身内を失ったことでその後の人生をどう切り抜けていくか，そして兄弟の絆がいかに尊いものか年月を超えて指し示す，怒涛の最後まで読者を離しません．解説にあるように素晴らしい作家さんだと思います．

幕末からの激動の時代を生きた商人の勘七の誠実で着実な生き方を見ながら遠い時代に思いを馳せました．小僧として店に入り未熟ながら努力し学びながら立派な商人に成長した彼には周りに有能なサポート役達がいてくれたことが幸いでした．幼なじみの存在も大きくて最後のシーンはとてもよかったです．

如月父娘に対する挑戦状ともとれる一連の犯行になかなか策がとれず翻弄させられる十一係．ゲームのように拉致を繰り返す犯人には怒りを思えます．それにしても塔子の成長はめざましい．直感の塔子に観察眼の鷹野のコンビは最強．意外な犯人だったのはまあいつものことで，犯罪被害者の心の闇は察して余りあるのです．

とても良かった．魔王の姉が最強．こんなに正直に生きられたら．赤ちゃんをめぐる祖母と母の話は最後に思わぬ真相に唖然．書簡のやり取りだけの話もそれぞれの人生を浮かび上がらせる手法が絶妙．もっともっと読みたいと思わせてくる作家さんです．

みんなが好人物で読みやすい．林太郎との距離の取り方は絶妙．「てえへんだ」の直助が持ち込む問題に真面目に向き合う安次郎ですが友恵との今後はどうなるのか．

アンソロジーで知ったシリーズ．人を診る医者から獣医に転身した凌雲先生，腕はなかなかですがあんまり好きじゃないかな．お美津にもっと優しくしてほしい．いい奥さんなんだから．物言わぬ動物の心情を理解するのは至難の業．

川越の街が守人にとってより身近なものとなってきた本作．人とつながることが苦ではなくなってきてむしろつながることで自分の将来が見えてきたそんな感じです．月光荘と普通に会話しているのが面白い．人が集う月光荘もなかなか楽しそう．

隠居の歳から茶店を開いたさゆさんの奮闘記．年の功ならではのお節介過ぎない振る舞いは絶妙なもの．お団子もおにぎりも美味しそう．伊織くんは好青年すぎて好感度100%．そして俊一郎との再会に胸ときめかせるさゆさん，頑張れ．表紙の絵はいくらなんでも婆さん過ぎでしょ．

アンソロジーからこちらに．大奥ものはドロドロしいのが多い中，これはどのお話も清々しくてしかも胸に響きます．いろいろな事情や思惑から大奥入りした女性たちの素直で強くしたたかな生き方が共感を呼びます．それにしても家斉公の艶福家ぶりはたいしたのもだ…

薬丸さん，すごいものを書いてくれた．あまりに重い…　拘置所の職員さんのとてつもなく苦悩を伴う仕事，長く続けられる人はいないのでは…？罪は赦せなくとも人は赦せるのか．倒れるまで追い詰められた宗佑だがそれでも最後まで逃げずに向き合えたことで少しは心の平安が得られるのでは．ただ，真里亜は宗佑に丸投げするばかりでちょっと自己中，あまり好きになれないタイプ．

不思議な聴診器は摩周湖先生の手に．治験で癌を克服したふたりの女性それぞれの抱える事情．貧困のため将来が見えない桜子が風俗で働くのは是が非か．裕福な代議士のクズ夫と離婚せずになんとか自分の道を見つけようとする貴子．摩周湖先生も聴診器のおかげで自身の気持ちを口に出せるようになり最後の母親との会話は心温まりました．

守人の人脈もじわじわと広がっていき彼はもはや孤独なんかではない．そしてついに家と話せる先輩の老婦人に出会うことができて自分を肯定できるようになりつつあるのではないかな．宿のリーフレット作りに参加して書いた文章がこれからの彼の将来探しに役立ちそうな予感．

平九郎も炙り屋も虚もみんなすごい剣を使いハラハラドキドキが止まらない…　平九郎も痛手を負いそんな身体で村に駆け込み頼禅（めちゃめちゃ強い！）に助けられる．玄九に三千両で依頼したのは妻子探しでしょうか．玄九なら頼りになりそうですね．あ～，今村さんの時代物はホント読み応えあります．

いきなりの自殺志願者集団のあまりに自己中な面々にイライラしてしまい読むのをやめようかと思いました．でもレビューが悪くないので読み進めることに．ひとりの赤ちゃんを保護したことからその4人がしだいにひとつ目的のために考え行動し必死に生き延びようと足掻く様子は感動的ですらあり心を動かされました．最後の展開も盛り上がりきれいに終結して，三郎の未来を一緒に応援したくなりました．

ハズレがない．大奥，駕籠かき，摺師に花魁など色々な人のお仕事小説．そして動物病院を題材にした時代ものは初めてで，その発想に驚きました．この医者夫婦は何やら事情を抱えているようでそれを知りたくて出典本を読もうかと．宮部さん作品で締めくくられた作品集， 大満足の一冊でした．

これ，シリーズものですか．陰陽師，結界，亡者に虜となんだか警察ものらしからぬワードのオンパレードにびっくり．最強の女子高生まで出てきて警視庁の結界修復に乗り出します．今野さんはホント色々と描ける作家さんですね．

とても面白く読みました．ちょっとボタンをかけ違えたことから服役することになってしまった女性たちの事情が明らかになるにつれて彼女たちはむしろ被害者であるという認識に変わっていきます．出所後の支援こそが重要なのですね．解説をあの村木さんが書かれていて内容に説得力がありました．

前作があまりに面白かったのでどうしても期待大でその分ちょっと物足りない．ツギさんと赤じいの人の良さがかなり前面に出ていてそれはそれで魅力的．女子高生の交友関係の難しさ面倒くささが全開で自分の昔を振り返る．続編はどんな展開なのかな．

警察小説が多い佐々木氏の異色の短編集．朗読用に書かれたというものも何編か．多くは語られず余白の多い作品集ですがなんとも心の深いところに沁み渡るような印象です．「分別上手」の清掃員の女性の最後の切り返しに思わず唸ってしまいました．

無駄にフェロモンを振り撒くコンビニ店長ミッちゃん．嫌なやつかと思いきやこれが天然な心優しい男．そんなコンビニ周辺で起こる悲喜交々が実に軽快にテンポよく楽しく描かれています．女子中学生2人の友情話や偽のじいちゃんとの二人三脚練習話などのエピソードもジーンと心に響きます．光莉さん家族もなかなか素敵．次巻（本巻に比べてかなり薄いのが残念…）もあるので続けて読もう．

なんだか最近の巻は危なっかしいことばっかりで読むのがちょっと…　でも読みたい．使いようによってはすごく役立つのに当人の自覚が足りないばかりにその力を無駄にしてしまうのは残念至極．さてまた六条教授の新たな企みが．どうなることやら．

酒問屋の麻さんと婿の鶴次郎さん，仲が良くてなにより．相手を常に褒めるのが秘訣ですかね．ご近所さんのちょっとしたトラブルをうま～く解決に導くのが得意なふたり．周りの人たちもみんな味方で万事うまくまわるのが読んでいてストレスなし．

幽霊ネタのお話．死んだはずの男女が心中？みんなが頭を捻る，根岸奉行の推理も進む．幼馴染の五郎蔵の口を割らせ謎が解ける，とまあ安定の読み物です．