その地に栽培に適した野生種が多く存在していたからだ。ユーラシア大陸は東西に長く、アフリカ・アメリカ大陸は南北に長い。食料生産の伝播の速度に差が出た。伝播は東西で速く、南北で遅い。東西は環境が似ているので速いのだ。家畜に適した大型哺乳類はユーラシア大陸に多かった。家畜は序列性のある集団を形成する種が大量に飼育できる。しかしそういう種は感染症を持つ。家畜の感染症が人に感染するようになった。天然痘・インフルエンザ・麻疹等だ。病原菌は宿主との共存へ進む。だが未感染の民族には脅威だ。新大陸で大感染の不幸がおきた。
2023年11月の読書メーター 読んだ本の数:7冊 読んだページ数:2516ページ ナイス数:144ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/307059/summary/monthly/2023/11
人間性への信心を獲得する。自由意志こそ最高の権威となった。世界全体の性質が変化した。ニーチェは「神は死んだ」といった。中世は「知識=聖書×論理」だった。それが「知識=経験×感性」に代わった。経験して感性を研き、更に経験する。そして無知から啓蒙へと続く。人間至上主義にも社会主義的なものや進化論的なものが派生した。だが21世紀に残っていたのは自由主義的な人間至上主義だった。他のものは新しいテクノロジーを利用できなかったからだ。人は動物と違い魂があると信じられていた。科学は生命を物理学・化学の法則に従うとした。
すると自己も国家と貨幣と同じように想像上の物体となる。人間もアルゴリズムに過ぎない。すると人間を越えるコンピューターができると人間は取って代わられるのか。多くの職業がコンピューターに取って代わられると予想された。人は意思決定の過程までシステムに委ねるのか。人は都合良く解釈して心を安定させるが、コンピューターは全部を記録し最善値を求める。テクノ人間至上主義とデータ至上主義は人間至上主義と矛盾する。以上の事は可能性に過ぎない。如何に回避するか。生命科学は生命のことを数%としか解明していないのに依存しすぎだ。
今後は老化と死を克服することに狙いを定めるのではないか。幸福や人の心、体の高性能化かもしれない。サピエンスは地球上の大型動物の9割を人間と家畜にして地球の生態系環境を大変化させた。狩猟採集民はアニミズムを信じ人間は動物と同等と看做していた。だが1万2千年前に農業革命がおこり有神論を信じると人間は他の動物の上に立った。そして16世紀の科学革命で人間至上主義を誕生させ神を黙らせた。人間は他の動物を支配することを可能とする何か独特の能力を持っている。それは想像の中にのみ存在した現実があると信ずる想像上の秩序だ。
現実には客観的現実と主観的現実に加え、人間には共同主観的現実がある。この能力は7万年前の認知革命で取得した。農業革命後にサピエンスは富と力を得て管理した。だが限界があった。書字を発明し無限に管理できるようになる。書字により社会をアルゴリズムの形で組織した。官僚制だ。管理者は文書から現実を見るようになる。虚構と現実の齟齬が生じると、社会は虚構を重視する。将来、強力な虚構と全体主義の宗教が生まれる。虚構と現実。宗教と科学を区別する能力が必要となる。科学と人間至上主義の間の取り決めが近代・現代史ということに。
人口が多いからだ。その技術は伝播された。チンパンジーは小規模血縁集団であり、人類も最初は同じだ。それが部族社会・首長社会・国家へと複雑で集権的な社会になった。昔オーストラリアとニューギニアは同じ大陸だった。前者は自然環境から食料生産は行えず、後者は高地で食料生産をしたが狭くタンパク質不足から、両者は人口が増えない。中国は人種の坩堝が古代から続く希有な国。早く統一されたので人種が同化した。ポリネシア人は中国南部から台湾に渡ったオーストロネシア人が先祖。丸木舟に腕木を取り付けてフィリピン・インドネシアに渡る。
マレー半島から太平洋の島々に広がった。狩猟採集民の地を征服した。新世界は栽培や牧畜化できる動植物が乏しく南北に長く中央に地峡がある為情報の伝播が難しくて未発展。アフリカ大陸には白人・黒人・ピグミー族・コイサン族・アジア人がいた。アジア人はオーストロネシア人がマダガスカルに移住。白人はサハラ以北、黒人はサハラ以南にいた。ピグミー族とコイサン族は狩猟民。中央と南部にいたが、西アフリカのバンツー族の進出により各地に点在する形になる。中国は一時世界をリードしたが皇帝の一言で中止。統一されてない西欧の勝ちとなる。
その結果環境による多様化がおこることがわかる。新大陸発見によりスペイン人は銃・病原菌・鉄で征服した。この差は食料生産の地理的な時間差が決めた。独自に食料生産を始めたのはメソポタミア・中米・アンデス・合衆国東部の5ヶ所だ。狩猟採集生活から食料生産生活へ移るのに数千年を要した。どちらの生活が得か比べながら次第に食料生産生活に移行したのだろう。狩猟採集民は食の知識が豊富だ。その中から選ばれた種が栽培され、知らず知らずのうちに自分達の利用し易い様に遺伝子的に変化していた。メソポタミアでは栽培種が多く盛んになった。
その地に栽培に適した野生種が多く存在していたからだ。ユーラシア大陸は東西に長く、アフリカ・アメリカ大陸は南北に長い。食料生産の伝播の速度に差が出た。伝播は東西で速く、南北で遅い。東西は環境が似ているので速いのだ。家畜に適した大型哺乳類はユーラシア大陸に多かった。家畜は序列性のある集団を形成する種が大量に飼育できる。しかしそういう種は感染症を持つ。家畜の感染症が人に感染するようになった。天然痘・インフルエンザ・麻疹等だ。病原菌は宿主との共存へ進む。だが未感染の民族には脅威だ。新大陸で大感染の不幸がおきた。
南北戦争は産業化された戦争の最初の事例だ。だが世界が注目したのはプロイセンの鮮やかな戦争。対デンマークと対フランスだ。過去の実践の不首尾から学んだ戦争能力が評価された。だが事前の計画と合理的運営で達成できることにも限界がある。1870年以降社会の潮流は指令原理が有利に。ドイツ・アメリカは産業革命でイギリスを追い抜く。無煙火薬等の発見がなされ、投射物の初速が格段と速くなり長い砲身が有利なので後装砲に代わる。製鋼の投資は膨大で工廠ではできずに民間業者の手に。新たな形態の海軍産業間の協力で技術革新が格段に進む。
その成果が1906年の弩級艦だ。武器製造はハイリスクとなり、合併で大企業になる。国際的なカルテルが成立する。武器企業は外国市場の参入で繁栄した。武器販売は政治力で決まる。これに信用供与を付けてフランスはドイツからロシアを奪う。WWⅠは銃後の生産活動を組織化し、単一の国民企業に纏めた。大量生産と意図的で計画的な発明で兵器ができる。戦車だ。物量が物を言う。実物的計画と財務的計画が作動して戦争遂行が可能となる。それを拡大したのがWWⅡ。原爆まで作る。戦後は二極体制。先進国は官僚に管理された経営された経済となる。
装甲騎馬の地域では封建制に、ボウガンを採用した地域では中央集権国家となる。ステップでは遊牧民が北→南・東→西に動き、特に文明圏への侵入は14世紀まで続く。宋では農業の特化により市場が発達し、製鉄業が盛んに。だが儒教は商業には否定的。明では鄭和の艦隊が出現だが、後に貿易は違法になる。商業的原理が確立する。騎士と農民の封建制の西欧ではイタリアとドイツで商業が盛んに。商人の都市は自衛から傭兵に移り、正規の常備軍が文民統制を受ける。大砲・消火器の出現で歩兵重視に。ムガール・モスクワ・オスマンの火薬帝国が出現した。
西欧では武器の改良が行われ他地域を圧倒する軍ができる。全天候型帆船の艦載砲は白兵戦から戦術を変える。武器は民間が作り輸入が必要で市場・金融が発達。国家も財政の足かせで破綻する。組織的な教練の発達で西欧の軍隊は正確・迅速に動く。18世紀には西欧の進出で世界は市場経済圏の中に。ロシア・プロシアが台頭。西欧は経済的・軍事的な効率性で優位に。師団の発明・補給の発達。穿孔機による大砲は着弾点を予測。注文による技術開発が始まる。中央集権的信用供与機構は戦費調達を容易に。英は市場を利用した軍事で産業革命に繋がっていく。
新世界が見つかる。新世界ではアルパカやラマを家畜としていたが、旧世界の家畜と違い群れないので家畜に感染症がない。人も感染症の経験がない。そこに旧世界が小児病を初めとする感染症をばらまいた。先ずは天然痘。1/3が亡くなる。免疫をもつスペイン人は不死だ。神の裁きと感じた。はしか、発疹チフス、インフルエンザと続く。黒人奴隷と共にマラリア・黄熱病も来る。インディオの人口は4~5%迄減った。新世界から旧世界に来たものに病原菌はない。トウモロコシやマニオカ芋はサハラ以南で、ジャガイモはアイルランドで貴重な食糧になる。
ヨーロッパでは専門の医者の集団が医学校や病院を中心に形成されていた。新しい療法を試していた。18世紀には種痘がなされた。軍隊を中心に疫病対策がなされる。医学的治療が寿命に変化をもたらすのは19世紀後半からだ。19世紀中頃にインドの風土病だったコレラが世界的に広まる。瘴気説と細菌感染説が対立する。公衆衛生による疫病対策がなされた。人口流入がなくても都市を保つようになる。感染のメカニズムの知識を得て対策をする。恐怖がなくなり理神論の考えが普及する。疫病を克服したかに見えるがコロナの様に疫病は歴史を変えるのだ。
小児病とはいえ、未患の民族には猛威を振るう。巨寄生は人類を補食する動物もいるが、征服者も生産者から食物を奪い消費する点では同じ寄生だ。緩やかな巨寄生だ。微寄生・巨寄生による寄生の程度で人口が増減する。アフリカで人類が生まれた。サハラ以南の高温高湿度は寄生生物の生存に最適だ。人はアフリカを離れることで微寄生の危険を回避した。狩猟時代は新たな疫病はなかったが、農耕が始まり家畜を飼いだし都市ができると文明に付随する疫病が現れた。50万人の都市があれば麻疹が定着する。そして共存化が進み小児病となる。西アジアで。
その後インド・中国・地中海でも都市化が興る。インドでは北からアーリア人が侵入すると、ガンジス川には疫病に抵抗力を持つ民がいた。この接触を目的にカースト制度ができたのでは。中国では黄河の氾濫原へ進出して稲作をするが、華南へは疫病の為に進出できない。地中海は比較的に疫病の少ない地域だった。紀元頃に4地域での交流が始まる。西アジアやインドでは余り影響はなかったが、ローマや中国では影響大であった。4世紀の疫病流行でローマ帝国が滅亡し、人口が減った所にゲルマン民族が侵入した。中国でも7世紀の流行で唐が力を落とす。
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その結果環境による多様化がおこることがわかる。新大陸発見によりスペイン人は銃・病原菌・鉄で征服した。この差は食料生産の地理的な時間差が決めた。独自に食料生産を始めたのはメソポタミア・中米・アンデス・合衆国東部の5ヶ所だ。狩猟採集生活から食料生産生活へ移るのに数千年を要した。どちらの生活が得か比べながら次第に食料生産生活に移行したのだろう。狩猟採集民は食の知識が豊富だ。その中から選ばれた種が栽培され、知らず知らずのうちに自分達の利用し易い様に遺伝子的に変化していた。メソポタミアでは栽培種が多く盛んになった。