「ときめき」というよりは、じんわりと心に沁みる作品が並ぶアンソロジー。津村記久子さんの『給水塔と亀』は何度読んでもしみじみと良い。

穂村さん憧れの「よくわからないけど、あきらかにすごい人」たちとの対談集。内容もさることながら、「すごい人」と並んであきらかに嬉しそうな穂村さんの写真も楽しい。

「なるほどな」と思うこともあり、また「にわかには信じられない」と思うことも多々あった。

「ときめき」というよりは、じんわりと心に沁みる作品が並ぶアンソロジー。津村記久子さんの『給水塔と亀』は何度読んでもしみじみと良い。

身近に双極症の人がいると、周りの人間も当人に呼応して右往左往してしまうものだと思うのだが、著者の奥様は「狼狽えず騒がず、でも突き放すのでもなく」の姿勢を貫いている点が素晴らしい。

『ババア吐き出し話』とご本人が言うところの、いとうあさこさん御年44～46歳の時に書かれたコラム集。46歳が「ババア」なら、本当の「ババア」であるこちらとしてはどう受け止めたらよいのか。という疑問はさて置くとして、「一人」と言いながらも気の置けない友だちのいる、そこそこ面白おかしい日々の様子を、楽しく読ませてもらいました。食べることが人生の大きな楽しみであるがゆえ、体重計を捨て「わがままボディ」を増幅され続けているようですが、健康のためにはもう少し気を付けていただいた方がいいかも。

（架空の）黒蟹県で生活する市井の人々の暮らしと半知半能（⁈）の神。これと言った大きな事件も起こらず、ひたすら地味ーな人々の暮らしも、絲山さんの筆力によって楽しく読めるのであるが、今回は若干作り込み過ぎな感じがした。尚、お久しぶりに登場の、神の描写は秀逸。再度の降臨を心よりお待ちしております。

ああ、そうか。また同じ轍を踏んでしまったか。「氷」と同じ作家であるということに、途中で気付いて激しく後悔した。多くの作家から絶賛された小説家であるらしいのだが、ネガティブの嵐のような作風は自分には合わないと改めて思った。

詩人でありフランス文学者であった著者の代表作。古い本ではあるが普遍性がある。「レミ」とはご息女のことではなく、「家なき子」に因んで著者がフランス系アメリカ人の父親から親しみを込めて呼ばれた愛称なのだとか。ちなみに平野レミさんの「レミ」は「ドレミ」のレミなのだということだ。