殺し屋さんシリーズ最新作は安定の面白さ。そしてバッタバッタと人が死んでいくのも、相変わらず。殺し屋ではないけれど「業者」の仲間であるマクラとモウフのコンビの『普通の人』っぽい感覚が、とても好ましかった。

過去の小説の登場人物や鬼籍に入った作家が次々と、検査入院中の筒井氏の前に現れる「プレイバック」はソコソコ笑えたのだけれども、全体的には著者も年を取ったなぁという感じの、少々残念な短編集であった。

二代目「ぞうさん」が営む雑な味付けの定食屋「雑」を核にして繰り広げられる人間模様。ぞうさんをはじめ主な登場人物たちの、ちょっぴり辛口な人情の描き方が心に沁みた。

殺し屋さんシリーズ最新作は安定の面白さ。そしてバッタバッタと人が死んでいくのも、相変わらず。殺し屋ではないけれど「業者」の仲間であるマクラとモウフのコンビの『普通の人』っぽい感覚が、とても好ましかった。

シロさんが還暦！かと思うと感慨も一入。何気ない日々の中で積み重ねられていく二人の愛を、いつまでも見続けていたい。

まるで小川洋子さんの小説を読んでいるような、幻想的で物悲しい雰囲気の漂う短編集。恥ずかしながら「潜水鐘」というものの存在を初めて知った。その原理は理解できたのだけれども、実物が稼働している様を想像するのは難しい。

絵本に出てくるお菓子にまつわるエッセイ、とくればわくわくが止まらない！となりそうなものであるが、さほどのトキメキを感じなかったのは、作者の文章が自分には合わなかったからだろうか。おそらく「育ち」もしくは「感性」の違いにより、共感できる点が少なかった。

「文に合わせてイラストを描く」という一般的なかたちとは逆転して、フジモトマサルさんが描いたイラストに吉田篤弘氏が「挿文」をした、「という、はなし」。イラストに「読書の情景」というテーマはあったようなのだが、吉田さんの想像力たるや凄い！のひと言で、短い文章の中に愛や人生の機微、世相までが語られている。

「本は本屋さんで選ぶ。本の佇まいとタイトル、紙の手ざわりで、読むべき本かどうかが大抵わかる」という江國さん。彼女の文章が心地良いのはもちろんのこと、実にたくさんの本に陶然とされているので、（わかっていたことだけれども）またまた読みたい本が増えてしまった。罪作りなお人である。

かなりの長編だが抜群のリーダビリティで、最後まで飽きることなく一気に読了。素晴らしい物語をありがとう！ハラハラドキドキの連続であったが、ラストシーンでは胸をなでおろすことが出来て良かった。