朝井さんだからバーネットではないわな、と手にすると曲亭馬琴の話。少し前に西條奈加さんの「曲亭の家」を読んだので馴染みもある。幼少期から、戯作者となり八犬伝の刊行までを描く。妻などの家族に比べると、馬琴は少しはまともとはいえ、やはり癖があるこだわりのある人間だった。しかし、だからこそ最後まで刊行できたのだろう。そしてそのこだわりは武士の家の維持にもつながる。江戸後期、八犬伝で馬琴が描きたかったことは伝わったのだろうか。そして、200年近くなった今でもなお読まれているのはすごいものだ。

鉄道好きだが、何年か前から貨物列車に興味を持つようになった。特に昔のヤードでつないでゆくシステムが興味がある。この方式は効率が悪く、今の日本では用いられていないが、非効率なものほど趣味の対象としては面白い。そんなわけで、この本は非常に面白かった。過去の貨物列車についても詳しく、将来のありかたまで述べている。決して明るい未来とは言えないが、トラック輸送もまた厳しい状況にある。国も一般受けの良い高速道路と新幹線を作るだけではなく、在来線のことも交通政策としてしっかりと取り組んでほしい。

このページ数によく詰め込んだと思う。それだけに内容は濃く、しばらくこの分野に触れていない私には追いかけるのがしんどい。が、何度も読み返すと理解が非常に深まる本だと感じた。昔、受験の時に、（理解の有無は別にして）何度か「傾向と対策」を読んで理解を深めた（そして実際に理解が深まって物理は得意科目になった）ことを思い出す。他のマジわからんシリーズも読んでみたい。

しゃばけシリーズはしばらく読んでいなかったのだが、図書館で見かけて久々に読む。やはり安定した面白さ。マンネリ化しつつあるものの、新しい登場人物（妖）も出てきて、新鮮味も出そうとしているのか。つぎの「いつまで」も読んでみよう。

よくあるものと違って、やっとうは、さほど強いものでもない。なので、きったはったはあまりない。また、厳格な正義感もさほど感じない。でも、弱者の視点で悪に切り込む。第一話は、役人が手心を加えて法の上では片付いた案件を、法の上でうまく切り返す。これもまた微妙なやり方。面白い展開だった。他の三つの話もよかった。次巻以降では、来合と美也の結婚につながってゆくだろう。一方で、瀬尾は裄沢を恨んでいるのだろう。こちらも次巻以降に何か起こりそうな予感。このシリーズが気に入ってしまった。