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2024年5月の読書メーターまとめ

有理数
読んだ本
7
読んだページ
3310ページ
感想・レビュー
7
ナイス
246ナイス

2024年5月に読んだ本
7

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

有理数
感想を書こうにも言葉を失う……。中心となる殺人事件は、推理に必要な情報が後出し気味なので、フェアな本格推理というよりも、移ろう時代と共に描かれる「犯罪小説」という趣。だが、この破格のスケール、まさに大河小説である。それでいて、個々のエピソード、犯罪の手口、人間模様は非常に面白く、抜群のリーダビリティ。そして、その熱中の向こう側に待つ真実には……。時代は変わり、人間が変わる。何もかも変わっていく。多くの頁を費やしてそれらを描き抜いたうえで、最後に「変わらなかったもの」を仄めかす結末。素晴らしかった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
7

有理数
人間が何に恐怖してきたのか、そして何故、恐怖を求めるのかを、美術や文学、サブカルチャー、エポックメーキングな出来事や書籍を題材に迫っていく。『ノストラダムスの大予言』や、UFO研究家の矢追純一、心霊ブーム、萩尾望都、寺山修司と『新世紀エヴァンゲリオン』など……。本題の考察も面白いが、著者のオカルトに対する姿勢が好きで、たとえば『ノストラダムスの大予言』なども「世界滅亡などあり得ない」などと頭ごなしに猛烈に否定はせず、それが世に生まれた意味や著者の意図、広まった理由などを冷静に見つめている。面白かった。
が「ナイス!」と言っています。
有理数
感想を書こうにも言葉を失う……。中心となる殺人事件は、推理に必要な情報が後出し気味なので、フェアな本格推理というよりも、移ろう時代と共に描かれる「犯罪小説」という趣。だが、この破格のスケール、まさに大河小説である。それでいて、個々のエピソード、犯罪の手口、人間模様は非常に面白く、抜群のリーダビリティ。そして、その熱中の向こう側に待つ真実には……。時代は変わり、人間が変わる。何もかも変わっていく。多くの頁を費やしてそれらを描き抜いたうえで、最後に「変わらなかったもの」を仄めかす結末。素晴らしかった。
が「ナイス!」と言っています。
有理数
傑作。宮部みゆきはとにかく凄い。人の心や記憶を読み取る「超能力」を持つ少年たち。現実で起こる様々な事件、出会いの中で、彼らの苦悩に触れていく。その心の在り様を「龍は眠る」というタイトルに託せる創造力・想像力は、もはや感嘆の域を通り越している。スリリングに迫り来る恐怖や、謎に満ちた事件、人間の過ち、驕り、欲望など、物語全体に暗い導線が引かれている。だからこそ物語の終わりに垣間見えた「誰かの役に立ちたい」という無垢な心に、柔らかな光が差すような読後感が読み手を包む。
が「ナイス!」と言っています。
有理数
評判違わぬ名作。抜群の面白さ。夫の失踪に端を発する不可解な事件を、妻の禎子が追う。この禎子が探偵役ということになるが、素人探偵にしては神懸かり的な推理を連発し、それがダイレクトに正解なことも多いので、本格推理というにはロジカルさと論証の丁寧さが物足りない気も。しかしこの禎子でなければ真相に辿り着けなかったのは間違いなく、健気に奔走する禎子の姿に胸を打たれた。二転三転する事件、その最終局面、断崖絶壁で真実と対峙するシーンの迫力は、それまでに描かれた数々の哀切と重なり、何にも代えがたい余韻が残る。素晴らしい。
が「ナイス!」と言っています。
有理数
名作。非常に面白かった。もちろん1957年の作品でトリックの大部分に古さは否めないが「不可解な点を推理し、ロジックの力で犯人の企みを看破する」という推理小説の醍醐味は時代を超越してここに在る。時刻表トリックがメインだと思っていたものの、それよりもアリバイ崩しが主題で、そのアリバイがまた非常に強固なのも嬉しい。全体の大きな事件と、その中にある細々した設問の接続も派手さはなくとも密接。清張最初の推理長編とのことだが、いきなりここまでガチガチのパズルを構築したのも凄すぎる。ミステリ史に名を残す逸品に相違ない。
が「ナイス!」と言っています。
有理数
お、面白すぎる……! 警察小説の里程標的傑作の名は伊達ではない。何に置いても「警察小説」である。失踪した女子学生を、徹底的な捜査で探し出そうとする署長フォードと巡査部長キャメロン。捜査、捜査、捜査である。軽妙な二人の会話は、事件がより深みへ潜り込むほどに、軽妙なままではありながら、警察としての誇りに満ちた会話が増え熱量を帯びていく。地道に捜査し続けるだけなのに、これほど面白いというのは、何より筆力の為せる技。そしてクライマックス。「失踪当時の服装は」――そこに光が当たった瞬間に到達する景色。素晴らしい。
有理数
2024/05/11 13:25

「わかりました。徹底的にやりますよ。この連中が、一九四六年に何本煙草を吸ったかまで調べてやる。洗いざらいね」/ 「他にできることは何もない。警察の仕事がどういうものかは、わかっているだろう? 歩いて、歩いて、歩きまくる。そして、あらゆる可能性について調べ尽くす。一トンの砂を篩にかけて、ひと粒の金を探すような仕事だ。百人に話を聞いて何も得られなければ、また歩きまわって、もう百人に話を聞く。そういうものだ」

が「ナイス!」と言っています。
有理数
約80kmの距離を丸一日かけて歩く行事「歩行祭」を主軸に、様々な境遇と葛藤に惑う高校生たちを描いた青春小説。主人公たちは歩きながら会話し、交流を深めながら、自身の想いに決着を見出していく。だが彼らはこの「歩行祭」を通じて大人になるわけではない。たった一日の出来事なのだから、急に子どもが大人になったりしない。"高校生が高校生のまま"少しだけ変わるのだ。その一瞬のきらめきを切り取る美しさに、一日だけの行事という舞台が馴染み、巧みな心理描写が光る。登場人物たちが達観しすぎている感触はあるが、評判違わぬ名作。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/05/31(4045日経過)
記録初日
2013/01/01(4195日経過)
読んだ本
1054冊(1日平均0.25冊)
読んだページ
353782ページ(1日平均84ページ)
感想・レビュー
1054件(投稿率100.0%)
本棚
11棚
URL/ブログ
http://yulisea.hatenablog.com/
自己紹介

面白そうな本なら何でも読みたい
ミステリ、文学、SF

【好きな作家】

城平京
乙一
山田風太郎
法月綸太郎
谷崎潤一郎
津村記久子

読書ブログ http://yulisea.hatenablog.com/
(ブログの更新頻度は極めて低いです)

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