初めて本って面白いと思ったのは、高校生の時。
可愛い制服と、電車通学に憧れ、後にも先にもこんなに猛勉強した事はないと言うくらい必死で受験勉強して、入学した高校。たった3つの駅を往復するだけの電車通学が、誇らしかった。
テスト前で早く帰れた雨の日、友達と別れ途中下車して森の中の図書館に行ってみた。そこで偶然、同じクラスの大人っぽくて背の高い女の子と出会った。
本を読みたいと思っている自分。ひとりで図書館に来た自分に酔いしれていたのに、たくさんの本に圧倒され、どの本がおもしろそうなのかも分からず、とりあえず貸し出しカードを作ってみたりしていた。
カードを作るための用紙に記入していると、まだそんなに親しくなかったその女の子がそばに来て、「この本おすすめ」って、詠美の本を渡してくれた。ドキドキした。
そして、そのかわいらしい表紙の本を借りることにした。
初めて頭の中に、すらすら話が入ってくる本だった。頭の中がお話で溢れそうなくらい。
それからすぐ、その本を購入し、何回も読み返した。本屋さんで初めて自分で漫画や雑誌以外の本を買った。
詠美の本を全部読みつくす。という強い意思と、たくさん出てるけど、死ぬまでに読めるのかな。というちょっと幸せな不安。
あの頃は、一冊の本を何度も何度も読んでいた。
私に、詠美を教えてくれた女の子とは、高校3年間、詠美の話をして、恋の話をして、たくさんの未来の話をした。
今は、お互い旦那さんがいて、最近読んだ本の話、子供の話やまだ幼かった恋の話を、限られた時間の中で、話します。
今は、躊躇なく詠美のハードカバーを買えてしまう自分。新刊を心待にしている私。
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