
(続)またファルト・ライン(断層線)における紛争の実例が複数挙げられており、印象に残ったのは、カフカース地方での紛争や旧ユーゴスラヴィア紛争である。どちらも休戦や停戦までにこぎ着けるのは容易ではなかったようだ。最後にハンチントンは多文明世界の平和のために、不干渉ルール、共同調停ルールに加えて、共通性のルールから成る三つのルールを提唱している。特に最後の共通性のルールについては、現状に世界を鑑みるに到底実現しそうになく、なぜこのルールが加えられたのか疑問に思う。
(続)移民問題で揺れる昨今のヨーロッパの状態を鑑みるに、非常に興味深い。ヨーロッパを他山の石とせずに、移民導入を推進しようとする現在の日本に対して、大きな懸念を抱かずにはいられない。
これについてミアシャイマーは、当時の日本が最悪の二つの選択肢の中で行った決断だったとする冷静な議論をしており、非常に興味深い。また、第一〇章では「中国は平和的に台頭できるか?」という疑問に対して答えており、昨今の台湾情勢を鑑みるに非常に参考になる。東アジア情勢は激動の時代に突入するであろう(既にしている?)現在、非常に参考になる著作だと思う。これから何度も参照するつもりである。
元エンジニアのおじさんです。
物理と数学、歴史などを勉強中。ミステリも好きです。
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