舞台はクイズ番組。優勝が決まる最終問題で、1文字も問が読み上げられていないのに回答し、優勝した本庄絆。何故、彼は答えられたのか─を追うクイズミステリ。クイズ番組での早押しは、ヤラセか、はたまた魔法か？という疑問を感じる我々に、その"回答"を突き付ける。

もし、自分がこの中にいる一人だったら、どのような物語を語るだろう。そんなことを考えながら読んだ。哀しみというにはあまりにも淡く、虚ろというには濃い、独特な一人一人の"過去"に耳を傾ける。それは、200数ページにわたる、八人とわたしの密やかな共有だった。

千早茜さんの食エッセイ 第二弾！ コロナ禍での"食"との関わりが書かれていて、ステイホーム期間中のことを思い出したりしました。「自分が自分でいる時間を作ることが私にとっては大切だった」という言葉に深く頷いた。 マルコ ポーロを買ってみよう🫖

29名の執筆陣が綴る、食×文学エッセイ。表紙の可愛さからほっこりしたお話が多いのかと思いきや、喜怒哀楽のパンチが効いたものが多く、読み応え抜群！"文学"だけあって、執筆者が他の文学作品から「食」を語っているのが印象的。読みたい本が増えてしまった！

「白」と聞いて、貴方は何を思い浮かべるか。 ここに綴られた「白」は、生と死と、そのはざま、そして、その先。著者の人生に存在する「白」について考えた時の痛みはそっと消化して、「ハヤン」のような─無垢で純真な、白い祈りを捧げる。

「BAR追分(おいわけ)」 昼間はバールで、夜はバー。「ねこみち横丁」で繰り広げられる、人と人とが柔らかに繋がっていく短編連作小説。あたたかい気持ちとおいしいお酒や食べ物がリンクする。ひっそりと佇むお店の中で、登場人物ひとりひとりの人生に触れる物語。

小川洋子さん特有の静謐な空気感と、仄かな不穏さを感じる世界に引き込まれる。真夏の描写があるのに、べたつくような湿度を感じない。過食するシーンがあるのに、膨張するような苦しさがない。この"無"に近い感覚は唯一無二のものだと思う。 独特の"青春"小説。

舞台はクイズ番組。優勝が決まる最終問題で、1文字も問が読み上げられていないのに回答し、優勝した本庄絆。何故、彼は答えられたのか─を追うクイズミステリ。クイズ番組での早押しは、ヤラセか、はたまた魔法か？という疑問を感じる我々に、その"回答"を突き付ける。

何を言ってもネタバレになる気がする！ 予め続編が出ることが決まった上で作られた作品ではない(と思っている)ものの続編ってどうしても1作目と比較してしまうけれど、今回の「透きとおる」は全く異なったアプローチで展開されており、面白かった！

ニース在住の日本人である著者のエッセイと漢詩(訳)。不思議なコラボレーションと思いきや、とても自然で軽快。漢詩ってこんなにも美しく軽やかで柔らかいのかと感じさせられた。"あたりまえ"に日常に組み込まれる詩の良さたるや。出会えて良かった。

ぐー子が、頑張っている…！と謎の親心になった。ミステリチックな話の流れ。今回も登場するキャラクターが善悪は置いておいて魅力的。はるじいの感じが好き。「すきま」という、社会の歯車として唯一無二の場所が欲しいぐー子の気持ち、分かるなあ。

舞台は未来の地球。ダストという赤い霧が世界を襲い、人類は隔離されたドームの中でしか生きられない。終末に向かって行く世界に生まれる小さな希望の光。それは青い色をしていた。繊細な文体から綴られる切なさと優しさ。心がキュッと締め付けられる。