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2025年1月の読書メーターまとめ

takeakisky
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2025年1月に読んだ本
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2025年1月のお気に入られ登録
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  • hoco

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

takeakisky
よくも見てきたように書いたものだ。幸にしてか不幸にしてか、いちいち彼の書いたことに思い当たる。渦中にいた間は、掘り下げることもせず、掘り下げなんてしたら気がおかしくなりかねないもの、にいた思考を、感覚を。克明に言語に落としていく。彼らはあまりにも遠くにいる。コタールの変身とランベールの変心。リウーの機械的な直向きさ。ペストに見るもの、ペストを見ないことで見るもの。疫病終焉時のどこかつかえた開放感。苦悩の時期と忘却の時期の端境。悲しいでもなく、虚しいでもなく、怒りでもなく、静かにざわつく思索が残る。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
40

takeakisky
菊燈台を読んだら、どうしても眺めたくなって、探す。驚いたことにもう一冊菊燈台が出てくる。で、ありました獏園。私にとって夢の本、高丘親王航海記。その第三章だけを抜き出して、山口晃の絵をつけたこの本。なかなかバラエティに富んだスタイルの絵が愉しめる。見ていて本当に楽しい。そして、細かい。地図を見て、ちょっとだけ読むと、高丘親王久しぶりに読みたいという気持ちでいっぱいになる。地図には儒艮やら迦陵頻伽やら蜜人やらが描きこまれているのだ。文庫しか持っていなかったので、ハードカバーを注文してしまう。許される無駄遣い。
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takeakisky
本棚で目につくと、つい手に取って、読み耽ってしまう本は何冊かある。この前は七年前のことだったよう。菊燈台。澁澤龍彦の話の中で、そんなに深く印象を残すものではなかった。この本で読むまでは。あまり使われ過ぎて陳腐な言い様だけれども、まさに夢のコラボレーション。山口晃のオブジェ愛。淫靡ながら下品に堕ちない巧みな線。好きだけど、一冊目の会田誠と較べてみたらいい。驚いたことに、この本が出てから二十年以上経つ。山口晃もいだてんやらパラリンピックやらで今や知らない人のいない絵描き。嬉しくもあり、さびしくも、ある。
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20年代のアイルランド。イギリス人入植者。国や民族といったマクロな軋みと地主と小作人、なによりも近所の家族というミクロな関係。それらが多すぎる形容詞と修飾語、そしてロイスの限定的な知識と視野の向こうにほの見える。こういう人々が君の友人だったなんて。物事が真っ直ぐ描かれることはほぼなく、また、非常に限られた人物以外の人が掘り下げられることもないのでけっこうな集中が必要。タイトルも曖昧。よく直訳の邦題をつけたものだ。英国の支配も終わり、ジェラルドも終わり、ロイスの夢見るころも終わり、すべてが去年の九月になる。
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クローム・イエローが滅法面白かったので。ハクスレー。本棚に並んでいると賢そうな雰囲気が出る気がするので、それなりに持っているが、あまり読んできていない。猿とエッセンスが強烈過ぎて。今、少し後悔している。該博さと瑞々しさの混淆が生む軽くて人工的な雰囲気がとてもいい。で短篇集。マイルドな滑稽と残酷、残酷と滑稽。宙ぶらりんの不安。寸止め。ジョコンダの微笑と小さなメキシコ帽は、いろんなところでお目にかかるし、肖像画だってそうだ。ということで、案に相違して意外と読んでいるようだという結論。モノクルは記憶になかった。
takeakisky
お茶っぴい。陽気で気が効いていて色気があって。リズムも歯切れもよく、洒脱で、それでいて阿らない。まあ素晴らしい台詞。見事な日本語。五幕三場の長台詞。ボーマルシェもすごいが、辰野隆は本当に凄い。ぞん ぞん ぞん。と。あんまり面白いんで配役も考えてしまう。フィガロだけは思いつかない。そして、他の人の訳も気になる。また、セヴィリアの理髪師も何処かにあると思うが、見つからない。さらにだ。オペラってのは得意じゃない、長いし、言葉が分からないから、けれど、ちっと聴いてみるか、となる。非常に気に入りました。
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理解し難いK、それと相容れない村の規範、さらにその二つと異なる芒洋とした城の論理。そのどれも私の考える人間の行動と異なる。この何重にもずれ、ぶつかり合いする人々のやり取りを、あろうことなら理解しようと無駄にも思える努力を無意識に続けながら読まされることになる。いわゆるカフカ的世界。前提を持つことを許さない。よろこびのない勝利。何度読んでも、その都度忘れてしまうこの調和のない世界。何者も、何事も素直に受け取ることができない。わざと大事なことを書かないでいるのじゃないかと言いたくなる、読者からの読書の疎外。
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takeakisky
どのあたりが声に出して読むのかは分からない。1920年の本だからといって1920年の日本語で訳さなくても、と意地悪のひとつも言いたくなるような部分はかなりある。会話の口語は全般的に古びている。まあ難しいところだろうけれど。ポメリーの話が後書きにあるが、なんだか浅くて余計にがっかり。固有名詞、地名もどうも旧い。長音符はお嫌いか?文句はこのくらいに。レアは、シェリの外面しか褒めない。甘いものと甘くないもののコントラスト。すっきりしたローズデュベンガル、ポメリー。苦いもの、老い。ラストはこよなく残酷で、美しい。
takeakisky
オレンジの鬘プリシラ、ウィンブッシュ夫人。年齢不詳的50歳ヘンリー・ウィンブッシュ。耳が悪いのはジェニー・マリオンで若いメアリー・グレースガードル。第三紀の鳥トカゲ、スコーガン氏、髪も目も黒い海賊ゴンボールド。ヘンリーの姪、美しいアン。悲しく美しい矮人の挿話。ノックスポッチ。伊達男アイヴァー・ロンバート。スコーガン氏の人工的三階級社会。ジェニーの赤いノート。バザー。ヘンリーの言う、心地よく上品にそしてとりわけ個人的。ローマ皇帝。魅力的な数々のエピソード。軟弱青年。とてもいい。とても。
takeakisky
2025/01/25 21:56

新潮の世界文學全集で読み始めたが、中途で大手前女子大学桑原加代子氏の翻訳が論集で読めることに気づき、乗り換える。全訳のうえ、WEB上で読むことができる。全篇に漂う軽い可笑しみが、よりストレートに愉しめる。しかしどうしても第一次世界大戦。アナクロニズム。でも、文句は、それだけ。有難い。とても。

takeakisky
まどうアロウスミス。ビカバウの下に、デュアの同僚と長い回り道。やっと旧師ゴットリープのもとへ。バクテリオファージの研究。史実どおりデレーユが先を越す。カリブの孤島でペストにファージセラピー。この辺りやや安直。内助の功リオーラの悲しい死。文藝としては、ここを頂点に、残りは魂の抜けたつけたり。終いにしても、その傍に彼女のいないことだけが思われる。駆け足で半生を辿ってきたが、短い中に多くを盛り過ぎ、焦点がぼける。まあ逆にいろいろな読みを許すのかもしれないが。驚いたことに、月報が面白い。ドライサー、ルイスを殴る。
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takeakisky
ピーター卿の事件簿を昔読んだなあ、というくらいの記憶。漂う提督も。これは、あれだ、バートラム・ウースターがもう少し賢くなって趣味が探偵って感じだ。まあ阿呆だと成り立たないし。面白いけれど、ごちゃごちゃさせる腕前はウッドハウスのほうが巧み。しかし、殺人事件、このくらいの節度というか倫理観が書く側に求められていたころの話は安心して読める。軽妙なところは軽妙だが、被害者と犯罪にはシリアス。悖徳感をたくさん覚える必要がない。そして、犯人の、ぞうっとさせられる人物像はまさに見事。行儀のいいミステリのお手本みたい。
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よくも見てきたように書いたものだ。幸にしてか不幸にしてか、いちいち彼の書いたことに思い当たる。渦中にいた間は、掘り下げることもせず、掘り下げなんてしたら気がおかしくなりかねないもの、にいた思考を、感覚を。克明に言語に落としていく。彼らはあまりにも遠くにいる。コタールの変身とランベールの変心。リウーの機械的な直向きさ。ペストに見るもの、ペストを見ないことで見るもの。疫病終焉時のどこかつかえた開放感。苦悩の時期と忘却の時期の端境。悲しいでもなく、虚しいでもなく、怒りでもなく、静かにざわつく思索が残る。
が「ナイス!」と言っています。
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26年のピューリッツア賞、受賞は拒否。冒頭はマーティンの曾祖母。行けるとこまで行くまでよ!短いが強烈な印象を残す。マーティンは、十章かけて漸く医師になる。細菌学のゴットリープ、行き違いからシルヴァ博士に師事。クリフをはじめとする多様な友人、リオーラとの劇的な出会い。途中、ご愛嬌、バビット氏が出てきたり。手際良くも字数よりボリュームを感じるここまで。ゼニスでの実習医生活。死産もあった。田舎の開業医から公衆衛生へ転身する大きな後押しは、袂を別ったゴットリープの推薦状。進路の定まらぬ迷えるアロウスミス。後半へ。
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takeakisky
抄訳。ばかりか加筆もあるよう。翻訳ではなく、翻案。先行する訳書を参考にしたと思われる箇所がかなりあるが、言及はない。あんまりな姿勢だと思う。アロウスミスの生涯(河出書房)が古すぎて、疑問を感じるところが結構あるので、並行して、と思ったが、役に立たない。とても残念な本。
が「ナイス!」と言っています。
takeakisky
主人公にきちんと名前がある。カール・ロスマン。イニシャルは、Kか。彼のぐにゃぐにゃふにゃふにゃぶり。と思えば、梃子でも動かない強さ。と思えば、諦めてしまえば無類の我慢強さ。特に説明も、そこからくる正当化もないのだから、本人にしてみれば、当然ということなのだろうが、一つひとつ、いちいちおかしい。おかしくて仕方がない。未完ということで今まで読んだことがなかったけれど、キュートでポップな愛すべき一篇。夢中になってしまったなあ。
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takeakisky
何度も読んでいるはずのレイ・カーヴァー。だのに、ほとんどのストーリーで、いまだに、信じられないくらい奇妙で、信じられないくらい悲しくて、説明できないなにかが残る。うっとりなる。まあ、なにせ17篇もあるので、すごいものもあれば、それほどぴんと来ないものもあるけれど。やっぱりダンスしないか?が一番かな。文句は函から出しづらいことだけ。何回読んでもいい。村上春樹の解説は非常に分析的。全仕事を俯瞰し、その秘密をさぐる必要がなくてもいい向きにはオーバースペック、といつも思う。ゆっくり、少しづつ日を掛けて読んだ。
takeakisky
第二部の後半、プレッシャーがぎゅっと高まり、ここからローラーコースターのような展開か、と思いきやまた落ち着く。トゥルーノットの面々が麻疹で苦しむ。むう。アブラの祖母とダンの関係が仄めかされ、これまたちょっとむうとなる。内面の屈折した衝動が少ないのは寂しいが、その分真っ直ぐな、それでいて円環を成す構造をたのしむ。そして、earth cruiser確かに凄い。さらに、気づけばダニーとは同年代。作中、時代がかった事柄が出てくるたび、懐かしさを覚えた。しかし、赦しと救いの話とは想定外。次は怖いの行ってみようかな。
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takeakisky
表題作のほかに二篇。行儀良く頭から読む。ある復讐。メキシコ。血と太陽と暴力。かと思いきや。だけじゃないのは、ティベイという人物造形の妙。名前を棄てた男。筋の通らない筋の通った男ノードストロムの話。レジェンド・オブ・ザ・フォール。一人の男の壮大な叙事詩。fallとは?どれも100ページほどの中篇だが、みっしり詰まった重量に腹の底までいっぱいになる。表面はシンプル、内面には極めて複雑なものを抱える男を主軸に据え、骨っぽく読み応え抜群。
takeakisky
続篇。どれを読んでも同じ手触りだと思っていたが、続けて読むと大分スタイルが変わっている。なんというか、重心が下がった感じ。がちゃがちゃ、ざらざらした雰囲気は影を潜め、洗練されてしまった感じ。前作の四年後から。カーター、レーガン、そしてまたレーガン、パパブッシュは飛ばして、クリントン、そしてブッシュと。あっという間に二十年をドライブ。一筆書きで人物の輪郭をさっと立たせる力は大したもの。これがあるから脇役すらも立つ。明るさと暖かさにもじもじしながら前半終了。
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takeakisky
ザ幻想文学。硬質な綺想。水晶の魚雷型宇宙船。動力は逆光線。軽やかな血液。ポイグンズ、マグン、ブリーヴ、ソーブ。上空に流れる水。サーターにクリストルマン。とはいえ、忽ち単調さに打ちのめされる。これは、あれだ。天路歴程だ。知らない世界の。たまに力強く、ぐいっと掴まれるが、そこを除けば、苦行だ。奇妙な名前と狂った色彩、想像力を軽く飛びこす幻想、不可思議な論理。終章近くなり、ますます落ち着かない読書。果たして、読んだと言っていいのだろうか。つい、憑かれた女も買ってしまう。サンリオ版で。
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エイジーの家族のなかの死。昔、母の話を読んでいるはずだが、全く覚えがない。溢れる詩情。幸せを絵に描いたような少年。自然な思いやり。適度な自制。この世界が壊れないでほしいと、強く思う。家族のなかの死。ルーファスがよその子供らにからかわれる長い長いセクションでは、痛みすらおぼえるほど、悲しく、つらい。シーンは、たびたびしあわせなころに戻る。救いを求めるようにのめり込む。父との再会。ルーファス、幼いキャサリン、それぞれの視点。自分の過去を思い出すくらい真に迫る描写。他者への理解、自分との違いと共通すること、それ
takeakisky
2025/01/16 13:42

が家族、血縁者であっても全き同質ではないこと、そんなことを徐々に学びゆく未来を思い浮かべさせつつ終わる。感傷的すぎるかもしれないが、しみじみ感じる読書。辛く苦しくて、だけれど、こよなく愛しく、甘い。タイムマガジンの100。58年のピューリッツア賞。

takeakisky
状況に抗うダニー、受け入れるように見えるジョン。ジョンと父との挿話は、唐突ですわりが悪い。機械とそれをいじる描写はキング独特。必要以上充分以上のオーバールックのリミットは、ダニーによって解除される。アル・グリーン、Call me。いいとこ突いてくる。哀しいアルコールとの戦い。ハローランと飛行機の女性。除雪車の運転手。ジョンの崩壊には納得感が足らないものの、止められず夜更かししてしまった。roqueのmalletというのは兇器としては、どうも滑稽。まあ斧にするよな、と思う。でも怖かった。続篇もいってみよう。
takeakisky
まったく。読み始めてしまうと止められなくなってしまう。ジャックにウェンディにダニー。等量で描かれる家族三人。二部に入れば、数々のクルーが椀飯振舞いに撒き散らされる。怖いなあ。穏やかならぬものを孕みながらも、淡々と日は過ぎていく。ああ怖いなあ。徐々にテンションが高まり、その後は高値安定だ。ジャックの頭が痛めば、頭痛がし、エキセドリンを噛み砕けば、鳩尾がきゅうっと痛む。Bad moon risingがかかれば、少しほっとするが、ほんの少しだ。トピアリーにも少し微笑み、いよいよ雪に閉ざされる。健康に悪い本だよ。
takeakisky
初めて読む。少し馬鹿にしていた。アンヌに対する二律背反した気持ち。曖昧さから、それを幾段か掘り下げた分析的精緻さ、理知へ。しかし、語りは情動的な言葉が多用され、襞が多い。その微妙な一進一退。進むたびに、はっとし、戻るごとに、はっとさせられる。これはもう、スタイルの勝利だ。頭のいいすてきなアンヌへ向かうのか、反発を覚えながらもセシルからは完璧の体現のように見えている。徹頭徹尾一人称告白で、他人の実際のところが分からないことが強烈な余韻になる。ただ、この長さが限界。ル・モンド20世紀の100。
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なんと、ゆったり、あたたかく、落ち着く文章か。クロード・ウィーラー。厳しくもあたたかい父の豊かな農場、無学な優しい母、これまた優しさの権化老女マヘーリ。中庸が服を着て歩いているよう。小さな出来事を積み重ねて、話は揺蕩うよう進む。今踏んでいるクロードの地面が好きになる。何欠けたところのない人生に見えるが、鬱屈とした気分を抱えるクロード。大戦への志願。生への実感。ヴィクター、ゲルハルト。「われら」への溢れる共感。そして、終章に向け、われら以外への強烈なアンティパシー。22年のピューリッツア賞。いい本だ。
takeakisky
2025/01/12 14:50

故郷を象徴するハヒロハコヤナギポプラは、ヒロハハコヤナギ。原文はcottonwood。ちなみに造本がとても良く、感心する。古き良き本。

takeakisky
泣く子も黙る、モサド。対するは、大人も泣く黒い九月。穏健派路線に転じる前のファタハ。アラファト。こんな人にノーベル賞はびっくりしたもの。そして狂犬カダフィ。レッドスキンズも名前が変わり、スーパードームは、この後完成し、と色々懐かしい面々の登場する75年の本。このスタジアムも取り壊されて久しいのね。話は最後まで手に汗握るスリラー。レクター博士しか読んだことがなかったけれど、スケールの大きさと緻密さ、何より時代を感じさせて、これはこれで面白い。ちょうどいい季節に、あっという間に読み終える。
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takeakisky
マッティ、十四歳。おそろしいほどプラグマティックな考え方。対するルースター、ことルーベン・コグバーン、四十くらい。内戦のあと、行き当たりばったりに日を送り、今は連邦保安官補。共通項のないような二人に共通するものは、True Grit。グリットという言葉はイメージしづらい。砂粒。短身太り気味の中年男、歳に似合わないがっちり屋の少女に、長身の若い正義漢テキサスレンジャー、なのにどうも行動は三枚目くさいという鉄壁のトリオ。父の復讐をうっすら忘れる珍道中。パンを撃つ撃つ撃つ。終いまでしっかりと面白い。素晴らしい。
takeakisky
一体いつになったら出るのかしら?の不運な奴ら。今年も出版予定ラインナップに、しっかり載っている。待ちくたびれたので、こっちを読む。身寄りのない八人の老人。越し方はさまざま。現状もまた、さまざま、ではあるが、ここを出ても行くあてのないことは共通項。CQがいくつだって人間としてはゼロじゃない。感情も思考もそれぞれのレベルで備えている。しんみりしたり、抱腹絶倒したり、飽きない飽きない。ツネゴンはtwitcher。寮母ノーマル…。トロールはNDLオンラインで読める。こっちも読みながら25年越しの翻訳を待とう。
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takeakisky
昭和百年を記念して読み始めたのは、たしか最後が昭和百年だった気がしたから。読み終えて吃驚。昭和七十九年で終わりだ。まあよくある思い違い。すめらみことの聖なる孫皇子。62年当時浩宮殿下のどのあたりを見てこう綴ったのか?きんぽうという音は、昔も今もサモ・ハンを思い浮かばせて困る。巻末の対談は何やらほっこりなる。あたりでしょうか。そうか、昭和七十九年だったか。ううむ。まあ久しぶりに読んだので、よしとする。
takeakisky
引き続き昭和七十年代。これ読んで、昭和もいつか終わるのかもしれないとはじめて気づき、はっとした中学生の自分。相変わらず、無くなってしまった建物が気になるところだが、コンワビルはまだあるね、たまに健在のビルがあると嬉しくなる。コンピュータ入神法、コンピュータ魔除け。ここは、昭和62年の常識で書かれている。もしコンピュータの驚異的進歩を的確に予測して物語に組み込んだとしたら、荒唐無稽もいいところだろう。当時は、ふうんと思ったが、今は、ふふっとなるところ。そして衝撃の、あとがきに名を借りた結末の予告。
takeakisky
かの有名な、というよりドイルがこれで有名にしてしまったメアリ・セレスト号の遺棄を含む。昔、オカルトの本には必ず出ていたもの。最後の一篇、あの四角い小箱で、すとんと落とす。
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takeakisky
1986年の三原山噴火。そして、今はなき拓銀。いよいよ昭和百年から返り見るあったかもしれない東京の未来。そういえばおやじ狩なんて言葉もありました。実際の銀座の煉瓦は、戸越銀座にいったり、その後発掘されて博物館に展示されたり。団(荒俣)、藤森照信、南伸坊、路上観察学入門を手に東京中を歩き回ったことは若干懐かしい思い出。鏡明、コナン。滝本誠、 BRUTUSの10代で読んでおきたい異常本は二人の対談。鳩よ!は敷居が高くて。ペダルを踏む加藤保憲。交詢社ビルも三信ビルももうない。いちいち立ち停まってしまう!
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だらだら語りは、蜿蜿続く。たまに少し面白い。塔の字がみんな手偏に見えるなあ。本筋から目が流れること甚だしい。なんとなく最後まで辿り着いたものの、なんだったろう?父が消えることを覚え、娘が消えたあたりが思い返せば一番か。力の抜ける空虚な欺瞞ばかりに満ち、二人の自殺者と大トカゲとオウムの死ばかりが心に残る長い奇妙な小説。まあ、しかし、長かった。こうなると、他の本だって気になってくる。
takeakisky
一気に時代は下り六十年代半ば。黒蜥蜴ならぬ紅蜘蛛、この頃すでに伝説的人だった先だって刑期を満了したあの人とおぼしきフサコと行方不明の辻政信。歴史の裏道までごっそりと浚う。まだまだ気づけていない人もいっぱい出てきているのだろう。それに、魔道士なんていう自らの造語を章題に放り込んでくるあたり、余裕すら感じる。或いは、すべてをぶち込んでやるという決意か。10.21国際反戦デー闘争をクライマックスに幕を下ろす。そして鳴滝老を除いて、ほぼ一世代が鬼籍に入る。
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立ってるものは親でも使うくらいの勢い。知の巨人ジョセフ・ニーダム。大東亜戦争が終わり、敗戦後の混乱。この辺りから著者の実体験もちらほら交じりはじめ、現実味を補強する。加藤保憲の尸解、大川周明の発狂、平岡公威の登場、辰宮由佳理の昇天。概して中休み、乃至は箸休め的一本といったところ。角川源義も出てくるのはご愛嬌。そうとう奔放な人だったみたいだし。徐々に現在が近づいてくる。
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昭和オカルト大全の感のある中盤戦。時代はテロルの嵐。稚拙で世間知らずな考えで、現代から見ると信じ難いが、支持、共感する層が少なからずいたわけだ。恐るべし時代の空気。心胆寒からしむる二・二六事件。息詰まる推移。
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ついに昭和の御代に。銀座線着工。鬼。シム・フースイの祖父黒丸と二宮尊徳像。そして目方恵子。恵子と見れば、菩薩と浮かぶくらいの強力な造形。鏡花。凄惨極まる辰宮家、それに負けないくらい重苦しい闇を孕む地下鉄工事現場の學天則。まだ畳み掛けるように、辰宮恵子と加藤保憲の対峙。竜のレリーフがあった雷門ビルも、なくなってしまった。google mapで見ると、レリーフ自体はB2Fのエレベーターの横に移設されて健在のよう。
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銀座三奇人。ますます稗史的側面の冴えを見せる。寺田寅彦と今和次郎が本当に出会っていたら、愉しい空想。思えば、ここを入り口に、いろんな迷宮を彷徨ったもの。書物も東京も。學天則。最近復元されたとも聞く。快調に進むが、昭和はまだ。大正十五年。さて、次、次。
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虚実入り混じった人々と出来事の曼荼羅。渋沢栄一翁の夜間飛行は創作か。上手いエピソード。そんな虚実を追うのも愉しい。そして、大正十二年。鳴滝青年は凶刃に倒れ、いよいよ帝都は灰燼に帰す。先を急ぐ。
takeakisky
というわけで、購入した。あっという間に届いて驚く。昔読んだときより、若干マイルドな感じがすると思ったら、改訂版との由。それもそうかと思いながら、それなりに八十年代は、遠くになりにけり、と。とはいえ、悪夢を堪能する。英明二十八衆句も、と思ったが、高いこと。
takeakisky
昭和百年を迎えたので。首塚が見るに耐えない状態になってしまって、はや数年。昔日の将門塚を憶いおこしつつ。将校には年齢がない。人間というものは、将校になったとたん、年齢には関係なく「世界」との対峙のしかたを身につける。荒俣宏は、失礼ながらあまり文章がうまいとは言えないけれど、このあたりは見事。丸尾末廣の絵がまた懐かしく、なんとみどりちゃんがまだ新刊で手に入る。また、平将門故蹟考から混同秘策までNDLで読める。殿様に寺田寅彦、理化学研究所見学の記憶も蘇る。さて、帝都と昭和百年のお伽話をゆっくり愉しむとしよう。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/12/10(5548日経過)
記録初日
2017/06/12(2807日経過)
読んだ本
2828冊(1日平均1.01冊)
読んだページ
924658ページ(1日平均329ページ)
感想・レビュー
1438件(投稿率50.8%)
本棚
21棚
性別
年齢
50歳
血液型
B型
現住所
埼玉県
自己紹介

自分でも面白くなってしまうくらい読んだそばから忘れてしまっているので、2021年から少し感想を書くことにした

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