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2024年5月の読書メーターまとめ

(k・o・n)b
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感想・レビュー
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2024年5月に読んだ本
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2024年5月のお気に入り登録
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

(k・o・n)b
ようやく読了。山林事件をきっかけに戸長を解職された半蔵は、中央官庁や飛騨の一宮で職を得るが、却って理想と現実のギャップを見せつけられることになる。故郷に帰った後、寺への放火未遂を起こしたため自宅の座敷牢に監禁され、自分の努力や理想が周囲に理解されないことに苦しみ、存在しない「敵」を幻視しながら無惨に狂い死んでいく。この巻が最も展開が激しくフィクション色が強いように感じた。巻末の解説を読む限り、これは、藤村が本作を著すにあたり、作中の金兵衛に当たる人物の日記『大黒屋日記』を参照したかどうかが影響していそう。
(k・o・n)b
2024/05/02 19:40

「おれなぞはおまえ、明日を待つような量見じゃだめだというところから出発した。明日は、明日はと言って見たところで、そんな明日はいつまで待っても来やしない。今日はまた、またたく間まに通り過ぎる。過去こそ真まことだ――…だんだんこの世の旅をして、いろいろな目にあううちに、いつのまにかおれも遠く来てしまったような気がするね。こうして子供のことなぞをよく思い出すところを見ると、やっぱりおれというばかな人間は明日を待ってると見える。」半蔵が狂ってしまった原因を考えると、終盤のこの彼の言葉にはしんみり泣かされる。

(k・o・n)b
2024/05/02 19:54

結局よく理解できなかったのは、半蔵ら平田門人が理想とした「復古」について。西洋文明を無批判に受け入れる前に、日本人が依って立つべき純粋な「日本性」を見つめ直すべき…みたいなニュアンスなのか…?そんなものが本当に存在するのか、そこを追い求めたとて何を得るのか、という点が、戦争を挟んで藤村から遠く隔たった世代としては、まずひっかかる。また、半蔵が山林事件の請願の際に思い描いた人民が虐げられない世界というものも、「復古」とは別物な気がする。巻末の解説によると、藤村の国学理解には怪しい所もあるそうだが…。

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
6

(k・o・n)b
宮沢賢治が国柱会に入っていた話から戦前の日蓮主義に興味を持ち、前から気になっていた本書を手に取った。8年前の本なので、安倍政権批判の言葉選び等には最早時代を感じるが、特に前半部については興味深く読んだ。近代化の矛盾が露呈してきた昭和初期、煩悶青年達が生きる上で縋ったのが、日蓮や親鸞の思想だった。それぞれ社会改革へのモチベーションや絶対他力の思想という国体論と親和性が高い要素を持っており、「非宗教」である国家神道と相乗りすることで全体主義への地ならしをした、というのが前半の論旨。全体を通じ、明治維新〜終戦→
(k・o・n)b
2024/05/27 22:41

と終戦〜現代のそれぞれの75年間をパラレルに見る発想が根底にあるが、個人的にはこの見方をすると現代の社会・政治の問題が却って分かりづらくなる気がして、この考えとはちょっと距離を置きたいな〜と思う。思えば対談本というものをちゃんと読むのは初めてだったかも。会話形式なのでするすると読めてしまう一方、よく噛み砕かないままするする読めてしまうので、案外難しいものなのだな、というのが率直な感想。

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(k・o・n)b
ヨーロッパ史を各国史の枠組みではなく、ローマ帝国とキリスト教を鍵に地中海を囲むエリアにまで視点を広げて眺め、一般には影の薄いビザンツ帝国に焦点を当てる。そして、中世に出現した「大帝」達のモチベーションの背景には、世界暦に基づく終末思想があったのではないかと述べる。この辺りまでは面白かったし、議論に着いていけたのだが、後半は…。結局筆者の問題意識や、前後半の議論の関連性を理解できず仕舞いであった…無念。ビザンツ帝国への興味を掻き立てられたので、本書で紹介されていた渡辺金一『中世ローマ帝国』も読んでみたい。
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(k・o・n)b
ネタバレ19世紀末イスタンブールを舞台に、日本人留学生村田が、民族や宗教、主義主張も異なる人々と共に暮らした青春の日々を描く。「君府」「希臘」等古風な表記や文体を採りつつ異国情緒を醸し出すスタイルが何とも魅力的。終盤、村田は帰国し、旧友達は激動の20世紀の世界で革命や戦争により命を落としていく。この悲しいラストを思うと、歴史についてのディミトリスの言葉が重く響いてくる。「人の世は成熟し退廃する。それを繰り返してゆくだけなのだろうか」「ええ、いつまでも繰り返すでしょう。…繰り返す余地があるからです。人は過ちを→
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(k・o・n)b
北欧(≒ゲルマン)神話は、ヘレニズムやヘブライズムと並んでヨーロッパ文化の基層を成すと言われる。だが、まとまったテキストが登場するのは漸く12世紀頃なので、物語に矛盾があったり、キリスト教の影響で古来の姿が追えなくなったりしているらしい。それ自体は残念ではあるが、他方でミステリアスさが醸し出すロマンもあるよなあとも思った。本書の主題は浅く広く神々とエピソードを紹介することだと思うが、そのせいでどんどんカタカナ固有名詞が連発されるので、これだけで北欧神話の魅力が伝わるかと言われると、流石にちょっと厳しい。
(k・o・n)b
2024/05/10 19:21

北欧神話用語があまりに頻繁に本邦サブカル文化界隈で参照されるせいで、この本を読んでどのカタカナに反応したかによってその人の世代と嗜好がなんとなく分かりそうだなと思った笑。自分が聞いたことがあったのは「ユグドラシル」「フレイヤ」「ユミル、ウトガルド」「ギャラールホルン」あたりかな…

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(k・o・n)b
GW、今まで一冊も読んだことがないのに花巻の宮沢賢治記念館や童話村を訪れた。帰りしな、「読むなら今しかない!」と思い、地元の本屋で一番取っ付きやすそうな本書を購入した。この叙情的な星々を巡る物語を、帰りの新幹線の車窓から街の灯りを眺めながら読めたのは最高の経験だった。銀河鉄道と言えば、本書の表紙も松本零士のアニメでも、黒い夜空に白い星が散らばる中を汽車が進む物悲しい画が鉄板だが、元祖の銀河鉄道は色とりどりの宝石やら鳥やらが出てきて賑やかな様子だったのが意外だった。結局、この物語を通じて賢治が何を→
(k・o・n)b
2024/05/06 12:21

伝えたかったのかについては、色々調べてみたりしたが、『教養としての仏教入門』で中村圭志さんが唱えている法華経伝導文学説が説得力があると思った。時代を超えて響く普遍的なメッセージを持つことが賢治の文学のすごさだとよく言われるし、そこは読んでみて自分も共感できた。しかしそうは言っても、昭和初期の在家仏教運動という、現代人には馴染みのない当時の世相に特殊な要素とも切っても切れない縁があるという話は、意外性があって面白いと思った。

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(k・o・n)b
ようやく読了。山林事件をきっかけに戸長を解職された半蔵は、中央官庁や飛騨の一宮で職を得るが、却って理想と現実のギャップを見せつけられることになる。故郷に帰った後、寺への放火未遂を起こしたため自宅の座敷牢に監禁され、自分の努力や理想が周囲に理解されないことに苦しみ、存在しない「敵」を幻視しながら無惨に狂い死んでいく。この巻が最も展開が激しくフィクション色が強いように感じた。巻末の解説を読む限り、これは、藤村が本作を著すにあたり、作中の金兵衛に当たる人物の日記『大黒屋日記』を参照したかどうかが影響していそう。
(k・o・n)b
2024/05/02 19:40

「おれなぞはおまえ、明日を待つような量見じゃだめだというところから出発した。明日は、明日はと言って見たところで、そんな明日はいつまで待っても来やしない。今日はまた、またたく間まに通り過ぎる。過去こそ真まことだ――…だんだんこの世の旅をして、いろいろな目にあううちに、いつのまにかおれも遠く来てしまったような気がするね。こうして子供のことなぞをよく思い出すところを見ると、やっぱりおれというばかな人間は明日を待ってると見える。」半蔵が狂ってしまった原因を考えると、終盤のこの彼の言葉にはしんみり泣かされる。

(k・o・n)b
2024/05/02 19:54

結局よく理解できなかったのは、半蔵ら平田門人が理想とした「復古」について。西洋文明を無批判に受け入れる前に、日本人が依って立つべき純粋な「日本性」を見つめ直すべき…みたいなニュアンスなのか…?そんなものが本当に存在するのか、そこを追い求めたとて何を得るのか、という点が、戦争を挟んで藤村から遠く隔たった世代としては、まずひっかかる。また、半蔵が山林事件の請願の際に思い描いた人民が虐げられない世界というものも、「復古」とは別物な気がする。巻末の解説によると、藤村の国学理解には怪しい所もあるそうだが…。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/05/18(3688日経過)
記録初日
2014/04/10(3726日経過)
読んだ本
495冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
177817ページ(1日平均47ページ)
感想・レビュー
449件(投稿率90.7%)
本棚
16棚
性別
血液型
B型
職業
事務系
自己紹介

学生時代、せっかく本を読むなら記録も残したいと思い登録。社会人になった今も、マイペースに続けております。
小説のお気に入りは、海外SF、司馬遼太郎、万城目学、恩田陸等々。最近は浅く広く新書を読み漁るのがマイブームになりつつあります。
時間やらお金やらの関係でなかなか実現していませんが、本や作家の所縁の地を旅行するのも好きです。

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