「「カノッサの屈辱」は皇帝と教皇の和解のプロセスにおけるセレモニーだった」「ハプスブルク家の婚姻政策が上手くいったのは運の側面が強い」等の意外な話がちょいちょい出てきたのも面白かった。
帝国議会や帝国法というものが果たした役割を全然知らなかった。後半の方になると、中小の領邦=「第三のドイツ」勢力が自らの生き残りのために帝国の枠組みの維持強化に尽力していたそうだが、その姿がだんだん国連総会を問題提起の場として生かす現代の中小国と重なって見えてくる。それと同時に、帝国構成国の中でのBIG2だった普・澳が帝国の枠組みより自国の拡張を優先し、最終的にフランツ2世の「放棄宣言」に至った歴史からは、最近のトランプ関係のニュースが連想させられて、なんとも嫌な気分になってくる。
「「カノッサの屈辱」は皇帝と教皇の和解のプロセスにおけるセレモニーだった」「ハプスブルク家の婚姻政策が上手くいったのは運の側面が強い」等の意外な話がちょいちょい出てきたのも面白かった。
例文を咀嚼してみるとその便利さに気づき驚きの連続だった。ざっくりまとめれば、標準語では文法機能の違いを形態論的に表すことがかなり少ないということになる模様。そうなると何故そうなったのかという部分が気になるが、本書はそこにはあまり立ち入らない。標準語の成立過程についてより知りたくなった。
決定的なターニングポイントとして描かれていたのに、その後さらっと王政復古がなされていたのがなんとも腑に落ちなかった。なぜ英国には君主が必要とされたのか(仏は違うのに)…本筋ではないけど気になる。終章の日本に関する記述も面白かった。明治維新後、教育勅語等により君主への忠誠と国家への忠誠の癒着が進んだが、敗戦後の天皇の人間宣言でもマイェスタス移行の決定打とならず、現在も2つの忠誠の癒着は日本の国民主権の在り方に大きな影を落としているという。同じ著者の『愛国の構造』も読んでみたくなった。
学生時代、せっかく本を読むなら記録も残したいと思い登録。社会人になった今も、マイペースに続けています。
小説のお気に入りは、海外SF、司馬遼太郎、万城目学、恩田陸等々。小説以外では、歴史、地理、言語、宗教等、人文学方面に興味があって、時々新書なんかを読み齧っています。
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帝国議会や帝国法というものが果たした役割を全然知らなかった。後半の方になると、中小の領邦=「第三のドイツ」勢力が自らの生き残りのために帝国の枠組みの維持強化に尽力していたそうだが、その姿がだんだん国連総会を問題提起の場として生かす現代の中小国と重なって見えてくる。それと同時に、帝国構成国の中でのBIG2だった普・澳が帝国の枠組みより自国の拡張を優先し、最終的にフランツ2世の「放棄宣言」に至った歴史からは、最近のトランプ関係のニュースが連想させられて、なんとも嫌な気分になってくる。