他方、個性(キャラクター)を分析すると、強弱の差はあれ、精神疾患やパーソナリティ障害といった面が顕になる点は、キャラクターの創造において参考になるのではないか。そういう気付きを刺激する点で、本書は物語を創作する側の人も一読に値する良書だろう。
多数の専門用語が飛び交う本文に抵抗感がある人がいるかも知れないが、一部とはいえ怪異を科学の視点から肯定するという内容は、"体験者の主張を否定せず どういうことになればそれが起こり得るか"という、オカルトへの、科学の誠実な干渉の仕方を示している。それは、体験者が語る怪奇体験を聞く者が認知症や見間違いなどと一蹴することを防止し、ひいては病気の初期症状を見逃す恐れも防止できる。なにより、"怪異を肯定することが当事者の精神的ケアになることもある"という指摘(第10章)は軽んじてはならないだろう。
本書と某実録系オカルト漫画を比較すると、活発化することで幻覚を見やすくなる部位と霊能者が霊視する時に活発になる部位が同じ、擬似的に体外離脱体験できる部位とおばけを感じる部位が同じ、ということが確認できるので、いずれは脳が怪異を認知する仕組みも解明されるかもしれない。
医学生の診断レポートをもとに、教員が真面目にキャラクターの精神を考察してみた、ちょっと変わり種の精神分析の本。学生ゆえにどうしても粗さや先入観が目立つ考察を、著者が専門家の視点からツッコミ、もといコメントをしていく。学生の先入観による精神分析は、視点を変えれば我々読者、素人によるそれに近いとも言える。それは、読者は著者のコメントから、精神分析や精神医学に対して正しい認知を得る機会を得られるかもしれないということだ。
他方、個性(キャラクター)を分析すると、強弱の差はあれ、精神疾患やパーソナリティ障害といった面が顕になる点は、キャラクターの創造において参考になるのではないか。そういう気付きを刺激する点で、本書は物語を創作する側の人も一読に値する良書だろう。
雑食性なので本棚そのものは混沌としていますが、一応判別しやすいように、なるべくこまめに整理整頓は心がけているつもりです。 最近は読むだけでなく、実行可能なものは実践してみています。 実践して明らかな結果が出たものや、ネタバレ全開な長文の感想は、プロフィールにあるウェブログにて公開しています。ただし、主観的なもの、プラシーボ効果、思い込み等の可能性も否定しません。
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医学生の診断レポートをもとに、教員が真面目にキャラクターの精神を考察してみた、ちょっと変わり種の精神分析の本。学生ゆえにどうしても粗さや先入観が目立つ考察を、著者が専門家の視点からツッコミ、もといコメントをしていく。学生の先入観による精神分析は、視点を変えれば我々読者、素人によるそれに近いとも言える。それは、読者は著者のコメントから、精神分析や精神医学に対して正しい認知を得る機会を得られるかもしれないということだ。