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2023年10月の読書メーターまとめ

rinakko
読んだ本
16
読んだページ
4040ページ
感想・レビュー
13
ナイス
115ナイス

2023年10月に読んだ本
16

2023年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

rinakko
「ジェイン・エア・シンドローム」。脱シンデレラ物語としての『ジェイン・エア』──ヒロインは学力を磨き自立し、父権社会における女性の生き方を脱却しようとする──にある精神が、如何にしてその〈娘〉たちへと受け継がれていったか。孤児という立場、容貌のコンプレックス、激しい気性、言葉の力…という共通点で、ジョー・マーチやジュディ・アボット、アン・シャーリーといった懐かしい旧友たちが取り上げられている。『ジェイン・エア』に出会ったのは未だ少女の頃、読み返すたびに自分の中で受け止め方が変化していったことを思い出した。
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2023年10月にナイスが最も多かったつぶやき

rinakko

2023年9月の読書メーター 読んだ本の数:15冊 読んだページ数:3734ページ ナイス数:151ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/4839/summary/monthly/2023/9

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2023年10月の感想・レビュー一覧
13

rinakko
ペルッツ再読7冊目。すこぶる好みな作品。古のプラハという街が、美しい幻想の紗と甘やかな薔薇の香る夜気に蔽われている。憂愁に捕らわれたルドルフ2世、ユダヤ人の伝説的豪商とその麗しい妻の繋がりを中心に、幾つもの運命が絡まり結ぼれていく様も見事だった。優しい詛、天使たちの軋轢、占星術…。著作リストの刊行順をたどって読み返してきたので、作風が前作までに比べるとしっとりしているように感じられる。愛ゆえに、愛に煩う物語。枠物語としての閉じ方もよかった。“それにしても何てすばらしい夢だったのだろう。主は褒むべきかな。”
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再読。36もの幻想都市。惜し気なく溢れてくる奇想が勿体ないほどで圧倒されるが、都市(社会)構造に正解などあり得ないことを明かすようにそれらは呆気なく滅亡する。一つ一つの物語はかなり短く、幾つもの滅びと独裁や文明のバリエーションを一方的に眺めて通り過ぎていくのは、ひやりと不思議な読み心地だった(具体的な登場人物がいると割と珍しい)。そして様々な建築物のアイデアには目を瞠り、とりわけ幻想文学寄りの物語には魅了された(ダヴァからオリュンピア…セレニア…アトランティスの流れが好き)。方舟には何がのるのだろう…。
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美麗な装幀を愛でつつ。〈香水を手首にかける朝の戸に鈍き刃物の香もまじりたり〉〈わたしたちの定員二名の箱舟に猫も抱き寄す 沈みゆかなむ〉〈悲し、とふ言葉が今朝はうすあおき魚の骨格となりて漂ふ〉〈わが生まぬ少女薔薇園を駆けゆけりこの世の薔薇の棘鋭(と)からむに〉〈永遠に降るにはか雨、にはかあめ わたしは本を壊してしまふ〉〈秋雨の胸に庭あるごとくして苦しきときに顕(た)つ庭潦〉〈何万回でも逃げ出した猫追ひかける 七月、私たちの永久に続くトランジット〉〈ひと冬に少女が費やす砂糖菓子を煮詰めたやうな香水をもらふ〉
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今回の紙、表紙も目次も手触りが好きで何度も撫でてしまう。最果タヒさんの連載が〈宝石の国詩集〉で、引き込まれた。
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再読(ペルッツ6冊目)。とても素晴らしかった。仕掛けの見事なペルッツ作品を読む醍醐味と、どっぷり幻想文学な雰囲気(民間魔術の呪文、亡霊との約束…)を存分に堪能した。人を欺いて手に入れた幸福らしさ(愛する家族と、己の才覚を発揮出来る身分と)を、真の幸いとして享受することは結局叶わない。それはいずれ誰かに返す借りものに過ぎない。とは言え、主人公に他の選択があり得たとも思えず、逃れる術のない運命への道筋は神によって既に描かれていた…という皮肉。あと、名前を喪失する物語としても読めてそこも面白かった。
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ネタバレ流石、面白かった(ペルッツ再読5冊目)。物語の舞台は1932年のドイツの寒村、なので珍しく歴史ものではない。とは言え、神聖ローマ帝国復興の夢の実現だのフリードリヒ2世(シュタウフェン家)の末裔だのと、やはり頗るペルッツらしい作品なので嬉しくなった。巧妙な仕掛けは心憎く、なんと読み返し甲斐のあることよ。…そして、狂おしい願望が創りあげた物語への執着は捨てがたい。彼にとってその世界の記憶は美し過ぎる。(人とは斯様、そうあって欲しいことをそのまま真と思い込み、進んで信じようとする可愛い切ない存在であるなぁ…と。
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〈全短編〉がそのまま初期短篇集(長篇から短篇小説には戻らなかったから)と。面白く読んだのは、表題作と「シロンボ」「チャールストン」(語り手を含む男3人ともク◯と思ったけどw)、「散歩」「サンテリセス」。
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アフリカはピレネーに始まる…と例外視され続けたスペイン。その端緒は、権勢を誇った強国への憎悪、ハプスブルク朝の覇権に対する他国の恐れにあった。それ故に捏造された黒い伝説(フェリペ2世への個人攻撃、スペイン人の狂信・不寛容・蒙昧、インディアス先住民の虐殺)。国が弱体化した後も止まなかった攻撃の新たな理由は、カトリシズムに固執して宗教改革が浸透せず、だから近代化を妨げられた→やはり蒙昧な国だ、という決めつけによるもの。まるでラテン人は呪われているかのように見えた…と。話はスペイン再興まで及び、読み応えがあった
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再読。流石、面白かった(ペルッツ再読4冊目)。表題作を始め、恐ろしい難題に向き合う者の孤絶、運命に召される者の最期、物狂おしい幻想に取り憑かれた者の破滅、遠い過去からの呼び声…など、そうそうレオ・ペルッツといえばこれですよと言いたくなる、ぎゅっと濃ゆい中短篇が揃っている。一篇ずつの余韻も格別で、あれこれ思いを馳せながら眩暈し、堪能した。お気に入りは、「一九一六年十月十二日火曜日」や「月は笑う」(ルナフォビアって何故か惹かれる)「霰弾亭」「夜のない日」。
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rinakko
再読。元々関心があるのはスペイン系(あの怖くて哀しい家系図よ)なのだが、もっと遡った時代から纏められたものを読みたくて手に取ったら、昔一読した本だったw 武力に頼るのではなく一見穏健な手段、結婚によって他家が作り上げた国を頂戴してしまう…という、結婚政策で名高いハプスブルク家。とは言え、ことの始めからそれを狙っていたわけではなく、偶々幸運が重なり何とか危ない橋を渡った時期もある。そしてそれが、神の加護に守られた一族という意識に繋がっていった…と。若い頃の女帝マリア・テレジアの、胸がすくような手腕にほれぼれ
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再読。流石、面白かった(ペルッツ再読3冊目)。レオ・ペルッツといえばどっぷり幻想文学のイメージだが、この作品はその点では趣が違う。ただ、ロシアの捕虜収容所からやっと解放された主人公が、復讐の念へと自らを駆り立ててひたすら転がっていく(そも内戦中のロシアへ舞い戻るのが狂ってる)のは、かなり尋常ではない。それに復讐とは言うものの、あくまでも決闘という形式に拘っているところにドン・キホーテ味が溢れていて、ヴィトーリンまだ若いのに…などと思った。そんな皮肉がレオ・ペルッツらしくて好きだ。
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「ジェイン・エア・シンドローム」。脱シンデレラ物語としての『ジェイン・エア』──ヒロインは学力を磨き自立し、父権社会における女性の生き方を脱却しようとする──にある精神が、如何にしてその〈娘〉たちへと受け継がれていったか。孤児という立場、容貌のコンプレックス、激しい気性、言葉の力…という共通点で、ジョー・マーチやジュディ・アボット、アン・シャーリーといった懐かしい旧友たちが取り上げられている。『ジェイン・エア』に出会ったのは未だ少女の頃、読み返すたびに自分の中で受け止め方が変化していったことを思い出した。
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rinakko
タイトルから想像した以上にテーマは多岐にわたり(ボルヘスとの交流とその作品について、ジェンダー、人種問題…)、頗る読み応えがあった。“読者を魅了するすべての本は倫理的な問題をつきつける。こういってもいい。本のページの表面をなぞるだけでなく、深いところまで掘り下げることができた読者は、その深みから倫理的な問いかけを持って帰ってくる。” “すべての読者が知っているとおり、本を読むという行為の要点、すなわちその本質はいまも、そしていつまでも、予測可能な結末がないこと、結論がないということだ。読書のたびに、
rinakko
2023/10/03 15:37

(続き)それは別の読書へとつながる。”

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/07/22(5988日経過)
記録初日
2008/02/17(6144日経過)
読んだ本
3468冊(1日平均0.56冊)
読んだページ
1043223ページ(1日平均169ページ)
感想・レビュー
1752件(投稿率50.5%)
本棚
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性別
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.goo.ne.jp/rinakko_may
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