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2023年8月の読書メーターまとめ

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感想・レビュー
16
ナイス
263ナイス

2023年8月に読んだ本
16

2023年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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裕福な重度障害者の女性が主人公だ。彼女の生活は多くの不便を抱えており、体が動かない分ままならないことが多い。彼女はネットでエロ小説を書きながら、そのままならない状況に毒を吐いている。その様にはユーモアがあって良い。そんな彼女は妊娠し堕胎することを考える。彼女の人生は生きるために壊れていっているようなもので、出口がない分その考えに救いを求めたのだろう。口腔性交の場面はやや引いたけど、彼女なりの切実さも伝わってきて痛ましかった。ともあれ重度障碍者の生々しい声を聞いた気がした。
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2023年8月にナイスが最も多かったつぶやき

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今月は歴史関係の本が読み応えあった。特に『戦争の日本中世史』は著者の歴史研究に対する姿勢に感銘を受けた。 2023年7月の読書メーター 読んだ本の数:9冊 読んだページ数:3469ページ ナイス数:148ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/51204/summary/monthly/2023/7

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2023年8月の感想・レビュー一覧
16

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百姓は大名に虐げられていたイメージがあるけど、戦国大名も百姓に気を遣いながら領地経営をしていたとよくわかる。戦国期は飢饉や疫病が流行ってたこともあり、戦国大名も徳政を出すなどして世論の空気を読み、敵国に侵略して掠奪するなどして領地を豊かにする必要があった。また村同士で発生する諍いを解決するため、目安で訴訟を受けつけ解決を図るなど気をもんでいるのがわかる。そうして自力救済で解決しようとする村に安全を保証し、対価として税体制を整えるなどして、自国の体系に組み込むなどする動きは近世の萌芽を見るようで興味深かった
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高度経済成長期の官僚たちのあり方は、今の価値観だと違和感を覚える。風越は信念があり仕事もできるけど、傲岸不遜で人事を操り通産省を思い通りに操ろうとする。その独善的な姿勢には辟易とする。また官僚たちの仕事量も多く、大臣秘書官となった庭野の無定量無際限方式はげんなりする。当時だって心身ともにやられる人は多かったろう。国家を思う気持ちはわかるけどきつい世界だ。そんな中周囲から白眼視されながらも、仕事も趣味も大事にする片山の姿勢には共感できる。そしてラストも風越的なあり方が否定される予感が描かれており印象に残った
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インディオの文明を称賛する内容だが、あまり賛同できなかった。インディオの文明は自然そのものを自然な形で表そうとしており、西洋文明に見られるような押しつけがましい我の強さはない。そういった点は理解できるけど、あまりに断定的すぎて、本当にそうなの?と意地悪な感想を抱く。それは西洋文明に倦んだ西洋人の独善ではないか?自分の理想をエキゾチックなインディオ文明に仮託しているだけでは?とも見えなくもない。しかし主観的で観念的な言葉を重ねる様はさながら散文詩のような味わいがあり、その表現法は心に残った
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タイトルと違って爆笑要素はないのだけど、裁判中に発した言葉からは裁判官の人間性が垣間見えて興味深かった。タクシー運転手を蔑んだ言動などもあるけれど、基本として裁判官も被告には罪を意識してほしい、立ち直ってほしいと思っており、判決を出した後でもかなり迷いがあることがうかがえる。それだけに、無免許運転した被告に更生を期待してボランティアを勧めたものの、また同罪で捕まる話などは読んでても苦々しい気もちになる。また仕事が忙しいのは当たり前だと一喝する話などは、裁判官の気迫が感じられた
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裕福な重度障害者の女性が主人公だ。彼女の生活は多くの不便を抱えており、体が動かない分ままならないことが多い。彼女はネットでエロ小説を書きながら、そのままならない状況に毒を吐いている。その様にはユーモアがあって良い。そんな彼女は妊娠し堕胎することを考える。彼女の人生は生きるために壊れていっているようなもので、出口がない分その考えに救いを求めたのだろう。口腔性交の場面はやや引いたけど、彼女なりの切実さも伝わってきて痛ましかった。ともあれ重度障碍者の生々しい声を聞いた気がした。
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海賊と言えば略奪者としての姿を思い浮かべるけど、日本史上に登場した海賊には色々な側面がある。もちろん略奪行為を行なった地元勢力の海賊もあったが、藤原純友のように既存権力に歯向かったために海賊と呼ばれた勢力もおり、航行の安全を保障するタイプもいれば、水軍としての海賊もいた。個人的には水軍としての海賊は興味深く、鎌倉時代の熊野海賊や、南北朝期に懐良親王を助けた海賊集団、戦国期の村上氏や九鬼氏、北条や武田の下で働いた水軍や幕府で働いた向井正綱などは目を引く。知らない側面を色々教えてくれる書であった。
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フリードリッヒ二世はかなりのリアリストだ。偏見も持たず、宗教を許容し頭もよく彼なりの戦略もある。そんな人物だからこそ、同様に優れた人物であるアル・カミールを相手に交渉ができたのだろう。戦争も行なわず交渉だけでイェルサレムを得たのは立派だ。しかしそれが狂信的なカトリック教会には理解できないのがただ悲しかった。第七次と八次十字軍を率いるルイ九世はたぶん良い人なのだろう。だが外交はそれだけでは駄目だと思い知らされる。そうして十字軍国家が滅びていく過程は黄昏と呼ぶにふさわしい一抹のさびしさがあった。
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第三次十字軍は読み物としてかなり面白いが、それはリチャード獅子心王の存在が大きい。曲がったことが嫌いで正義感があり、勇猛で男気にあふれ、政治も戦争もうまい。部下が心酔するのも納得だ。そんな彼が英雄サラディンとぶつかるのだから面白くなるのも当然か。そうして互いに戦い政治的に解決していく過程は二人の真摯な態度を見るようだ。その他にも個性的な人物が多く読み応えある。一方の第四次十字軍はヴェネツィア共和国に翻弄され、第五次十字軍は原理主義的宗教者の悪い面が出た感が強い。人間の崇高さと愚かさを学べるような内容だった
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第一次十字軍の第一世代がいなくなり人物が枯渇していく。ボードワン二世はがんばった方だけどジリ貧感がものすごい。だがその後は小者の皇帝ばかり登場して有効な手を打てない始末。第二次十字軍も行き当たりばったりで案の定失敗する。ヌルディン、サラディンを輩出するイスラム側に追いつめられるのも当然だろう。そんな中癩王ボードワン四世の存在感が光る。不治の病にかかりながらも王としての職責を全うしようとする姿はかなり萌える。だが兵力不足は如何ともしがたく、英雄サラディンの台頭を迎える。この歴史のダイナミズムは面白かった
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塩野七生の描く男たちは魅力的だ。第一次十字軍もキャラがそろっていることもあるが、ここまで生き生きと描き出せるのは著者が歴史上の人物たちを愛情込めて描いているからかもしれない。野心的で活力あふれる策士のボエモンド、若さゆえ突っ走る面もあるが戦の強いタンクレディ、堅実にことを進めるゴドフロアやボードワン、偏狭で見栄っ張りなサン・ジルなどどれも愛すべき人物ばかり。彼らが成し遂げた十字軍国家の建設を、カノッサの屈辱という十字軍の遠因から語り起こし、イスラムの動きを含め書き上げる。知らない内容だけに大いに目を引いた
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ネタバレ魅力的な小説だった。遊郭の島という設定も素敵だが、どの登場人物もキャラが立っているのは美点だ。まず白亜とスケキヨの姉弟の関係が良い。近親相姦を感じさせる関係性はエロティックな雰囲気がありながらも禁忌を恐れる感覚も残しており、独特の緊張感がある。また蓮沼の造形もすばらしく、暴力的で独断的な感じがありながら、奥底に迷いや白亜に対しての愛を隠している複雑な感じが心に残る。物語もおもしろく、スケキヨが裏華町に攻撃を仕掛ける展開などはぞくぞくしながら読んだ。初読みだが、注目に値する作家と感じた
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暇と退屈について哲学的に考察しており読ませる内容だった。人は裕福になり暇を得たが、その退屈に耐えられず気晴らしを求め、資本主義はそんな退屈につけこみ暇を搾取している。人間は環世界という小さな知覚世界の中を生きているが、人は環世界移動能力が高く一つの環世界の中にとどまれず、循環し往復し生きているためそこに退屈が生じる。著者はその退屈に対して三つの形式を提示して退屈が意味あるものと説明する。あまりピンとくる感じはしなかったが、思考法の展開自体は大層興味深く哲学的なアプローチの面白さを感じられた
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ネタバレ表題作が文句なくすばらしい。できない子をできないと常に決めつけ委縮させる教師に対し、その先入観を覆そうとする安斎の抵抗がすてきだ。僕はそうは思わない、と思うことで自分を少しでも保とうとする姿が良い。それで劇的な変革が起きるわけではないけど、草壁の心に小さくも確かな変化をもたらしており、その様が胸に響いた。『スロウではない』はゴッドファーザーの遊びが伊坂作品らしくて面白く、真摯に変わろうとする少女の様とそれを受け入れる子どもの姿が心に残る。『非オプティマス』は久保先生の児童と自分に向き合う姿勢が印象的だった
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ストーリーではなく、物語がもつ雰囲気や設定の奇抜さを楽しむ作品集と感じた。個人的にはピンと来なかったけど、独特の雰囲気や世界観は心に残る。表題作は人類以前に地球にやって来た異星人がいたという設定で描かれている。そこに描き出された世界の精緻なつくりに感嘆とした。同じことは『時間からの影』にも言えることで、著者のアイデアの卓抜さを堪能できる。前半の作品はホラーらしいおぞましい雰囲気が印象的な作品ばかり。ユニークな世界観を存分に見せつけられた次第だ
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本作が戦中に書かれていることに驚く。そこでは日本兵の蛮行が生々しく描かれており、それを世に残そうとした気概に敬服する。日本兵の蛮行はひどい。冒頭から大した尋問もせず私刑で中国人男性を殺しているし、従軍僧でさえ良心の呵責もなく中国人を殺している。気が滅入るが、すべて現場を見たからこそ書ける光景であり、日本兵の現実だったのだろう。その根本原因は日本軍が中国領土や中国人を蔑視し傲慢を持っていたからではないか。また戦場という死に近い場で生きている者の刹那的な感情や、虚無的な心情も伺え心に残った。
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正確に理解しきれたか自信はないが、刺激的な内容だった。女性は家事や育児などの再生産活動を無償で行なうことを要求されてきたが、それは不生産労働なので市場から締め出されていた。そうして女性は家族への愛を理由に、母性イデオロギーを押し付けられ家父長制の下で抑圧されてきたのだ。しかもそうして女性が担ってきた再生産活動の成果を領有するのは男で、両性間の非対称な関係がそこにはある。加えて女性は資本制からも締め出されており、賃金などの面でも差が生じている。これらの指摘は現代でも未解決の問題で、指摘の鋭さに感嘆とした
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/02/06(5258日経過)
記録初日
2010/11/11(4980日経過)
読んだ本
1881冊(1日平均0.38冊)
読んだページ
564149ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
1538件(投稿率81.8%)
本棚
32棚
性別
職業
技術系
現住所
宮城県
外部サイト
URL/ブログ
http://blog.goo.ne.jp/qwer0987
自己紹介

本が好きな中年化学系エンジニア。
読む本は小説が中心。ほか歴史関係のものを読むことが多い。
好きな作家は、村上春樹、芥川龍之介、川上未映子、アゴタ・クリストフなどなど。

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