ああ。本を読む人間でまた得をした。そんな気分。ベトナムの留学生、クジラ、鳩、珪藻、そして凧。地味で目立たないものにも、想像できないような秘められた能力やエネルギーがあり、物の見方を変えてみようと思える作品だった。科学の部分は難しくで理解できないことが多かったけど、すごくすごく心を揺さぶられたし、勇気づけられた。もっとずっとこの人の作品を読んでいたい。

下巻はちょっと退屈だったかなー。道長や倫子の人間性よりも誰を誰に入内させるか・・などの話ばかりだったから。でも、この頃の人々の生き方や生活を現代的な感覚で描いてあり、とても親しみやすく読みやすくそして理解しやすかった。大河のおかげで顔が浮かぶので（特に実資！）それも後押ししてくれたかも

彼の詠んだ『この世をばわが世とぞ思う・・』のせいで、傲慢な天下人だと思っていた藤原道長のイメージが180度変わってしまった。この本に出てくる彼が本当だとしたら『この世をば』の歌ももしかしたら我が天下を喜んでいるのではなく、自分の周囲に大切な人がいて幸せだと、それだけで満ち足りていると、そういった意味だったのかな？と思ってしまった。父や兄達の死によって道長が政治の表舞台に上がったところで上巻は終了。下巻でも彼らしくあって欲しい。

再読。数字とは人類が誕生する前から存在したとか、0の持つ意味とか、完全数や素数など数字の持つ個性、ずっと聞いていたくなるようなロマンのある話で溢れていた。温かい時間を過ごしたことを忘れてしまう博士が切なくも、心の底から博士を信じているルートの健気さに胸が熱くなった。

アート推理？刑事ダ・ヴィンチ？と新しいワードにワクワクしながら読んだのだけど、軽いね。軽すぎるね。全然心に残らないし、アートの蘊蓄も微妙に浅いし、ちょっと乗っていけなかったな。彼らバディの過去を知りたい！と思うほどのキャラ設定もないので、続きを読むのはどうしようかなって思っているところ。

不安、苦悩、妥協で生きている大人だって、時には夢見たり、前だけ向いて突き進む時があってもいいじゃないの。高校の同級生が45歳で再会し、地元に小さな天文台を作るなんてすごく素敵な大人の青春だよね。今後彼らはまた別々の道を行くんだろう。またずっと会わない日々が、もしかしたら来るかもしれない。でも空に輝く星々のように、今回頑張った経験はその後の彼らを強く勇気づけると思う。

京都は歴史を見てきた。新撰組が闊歩していた時代も、戦火の頃も。こんな出来事が起こっても不思議ではない何かが、京都にはある。軽く読めるのに余韻が残る。流石のマキメ氏。

このシリーズで覚えた『倒叙ミステリー』さすがに３冊一気読みは、飽きてきました・・。絶対捕まるのが前提だから、安心して読めるけど、もう彼女のキャラを知っているので「こんなこと言いながらも疑ってるんでしょ？」とか考えちゃって。時々、難しい本を読んだ後の箸休め的な感じで読むのがいいみたい。

ああ。本を読む人間でまた得をした。そんな気分。ベトナムの留学生、クジラ、鳩、珪藻、そして凧。地味で目立たないものにも、想像できないような秘められた能力やエネルギーがあり、物の見方を変えてみようと思える作品だった。科学の部分は難しくで理解できないことが多かったけど、すごくすごく心を揺さぶられたし、勇気づけられた。もっとずっとこの人の作品を読んでいたい。