大学生の頃、以下に引用する鶴見俊輔の文章に出会って、これは自分だと思いました。客観的にはそこまでみじめな人生ではなかったはずですが、気持ちはこう。今は、ここまで現実逃避的には読んでいませんが、そのかわり感動も減ってしまったような気がします。
『本のヘリが見えないように、本の中に入ってしまいたいと思ったこともある。おさない時の私にとって、実人生がみじめだったからで、本をかたくにぎりしめて、その中にある文字の列を目でこすっていると、外の人生を忘れることができる。
本の中のもうひとつの人生。
(中略)
どんな本でもよい、本の中にかくれ場所をさがした。本を盾にして、実人生から身を守ろうとした。
本と本の外とのあいだにどんな関係があるか。そんな問いは、問うだけのねうちがなかった。』
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