読書メーター KADOKAWA Group

2024年9月の読書メーターまとめ

みのくま
読んだ本
16
読んだページ
4840ページ
感想・レビュー
16
ナイス
152ナイス

2024年9月に読んだ本
16

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

みのくま
本書は著者が最期に書きたい問題としてジャニーズの性加害、財務省の緊縮財政、日本航空123便墜落事故の3点が挙げられている。なかでも123便墜落事故にはかなり紙幅が割かれている。著者の歴史観では、本事件は自衛隊による民間機の誤撃墜であり、米軍にその秘密が露見してしまった事でプラザ合意に至ってしまった。この歴史観がどの程度真実味があるのかぼくは判断がつかないが、著者の魂のこもった記述から大変面白く読み、説得されてしまった。ただ経済学は政策に正解があると誤認しがちで、政策の失敗に裏を読みすぎるきらいはあるだろう
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

みのくま

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:22冊 読んだページ数:6076ページ ナイス数:234ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/543477/summary/monthly/2024/8

が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
16

みのくま
本書は著者が最期に書きたい問題としてジャニーズの性加害、財務省の緊縮財政、日本航空123便墜落事故の3点が挙げられている。なかでも123便墜落事故にはかなり紙幅が割かれている。著者の歴史観では、本事件は自衛隊による民間機の誤撃墜であり、米軍にその秘密が露見してしまった事でプラザ合意に至ってしまった。この歴史観がどの程度真実味があるのかぼくは判断がつかないが、著者の魂のこもった記述から大変面白く読み、説得されてしまった。ただ経済学は政策に正解があると誤認しがちで、政策の失敗に裏を読みすぎるきらいはあるだろう
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
読後感は良いものではなかった。本書は意識が高いインテリの運動推奨本の域を出ているものではないと感じる。しかもそれを進化人類学を絡めて語られるので大変鼻につく。運動をしないように人類は進化しているが健康に悪い為アーキテクチャから整備していくべきという主張は個人の健康管理には最適かもしれないが、社会に実装しようとすればフーコーの生権力と何ら変わらない。しかし本書では明示的に強制性を発現すると個人の自由を侵害する為、社会の同調圧力を利用しようと語られており、日本では全くあり得ない結論に導かれる。ひどく欺瞞的だ。
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
進化人類学の知見はどうも胡散臭く感じてしまう。生物学的に人類の進化を考察する事は本来科学的中立性を担保している事に他ならないはずだが、ぼくとしては新たなイデオロギーの創出に感じてしまう。例えば本書は狩猟採集民の攻撃性について言及しているがそこには現生人類及び欧米人の攻撃性への批判の反撃に見える。また同時に狩猟採集民の平等主義社会像はマルクス主義が抱いた理想郷に過ぎないが、それに対する過度な反動の一端ではないか。本書は運動という側面から進化人類学的な知見が披瀝されるが、節々にこのような主張が顔を覗く気がする
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書は「自己家畜化」というある種挑発的なキーワードを使い、人類が文明化する上でいかに家畜化していったのかが綴られる。狩猟採集時代の人類は法律や権力といった縛りを持たない分、争いは絶えず動物的な暴力性が横溢していた。しかし文明化を経た事で社会性が強制され、またそれを内面化する事で自己家畜化が進行したという。本書は自己家畜化は治安の維持や幸福感を得やすい利点がある一方、自己家畜化に至れなかった人間を精神疾患として社会から排除している事に対して問題提起している。しかしこの直線的な歴史観はどの程度正しいのだろうか
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書は著者の半生を綴った科学者エッセイになっており、大変楽しく読んだ。「役に立たない」巻貝研究を中心に魅力的な研究者たちがある時は苦悩し、またある時は楽しそうに活動しており面白い。役に立たないと思われていた巻貝研究が小笠原諸島の世界遺産登録に大きな役割を果たし、引いては生物進化の謎を解く重要なファクターになっていく様子は一種のカタストロフィを感じる。役に立たない研究なんてないのだ。他方で日本の生物学が世界的に存在感を持っていた過去の時代の追想も書かれており、現在の状況と照らし合わせて寂しい気持ちにもなる。
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書のいう包括的制度が本当に持続的な経済システムを確立できるかどうかは大変疑わしい。本書で礼賛される英国や欧州諸国、米国や一時期の日本がある種の革命を経て包括的制度を獲得したという史観だが、それは他国を収奪する事で成立したのではなかったか。包括的制度は国外に収奪的制度を残存させており、収奪的制度と決して対立するものではないのではないか。また本書は国民国家単位での経済動向のみを語っており現代社会の実情から乖離している様にも感じるし、本書の主張は自由や民主主義、資本主義への迷いのない全肯定の上に成り立っている
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
古代地中海世界を総覧せんとする意欲的なシリーズの第1巻。メソポタミア、エジプト、シリア・パレスティナ地域の前一千年くらいまでの古代史が描かれる。興味深い所は古代地中海人の世界観である。狩猟採集から農耕に生活基盤が移るにつれ自然神から豊穣神に主神が移行・習合されていく。彼らは神々の声を聞いていたとする仮定も興味深い。またエジプトにおいては一神教の萌芽が垣間見える。本書はフロイトのようにすぐにユダヤ教の起源に結びつける事の危険性を説いているが、他方で一神教的なメンタリティが発明された事の特異性は強調されている
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
著者の極めて明確なヨーロッパ中心史観に辟易する。本書はなぜ他国はヨーロッパ(特にイギリス)になれないのかというかなり倒錯した論点から、非ヨーロッパ文明圏の「後進性」を指摘する。中でも滑稽なのは「包括的制度」と「収奪的制度」の対比で、非ヨーロッパ文明圏は絶対王政で収奪的だが、ヨーロッパは国民個人が自立している民主主義という包括的制度だからこそイノベーションのインセンティブが起こるとする主張である。確かに宗主国内ではそうなのかもしれないが、植民地で収奪の限りを尽くしたヨーロッパがよくそのような事を言えるものだ
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
北海道開拓に伴って人喰い熊が激増する。森林の伐採や列車の開通がヒグマの生息域を侵し、村田銃が民間に払い下げられた事で手負の熊が凶暴化する。人喰い熊は一度覚えた人肉の味は忘れず執拗に人を襲う。本書では明治から昭和にかけて起こった熊の獣害を、当時の新聞から丹念に読み解く。熊に襲われた被害者はどれも悲惨で筆舌に尽くしがたいが逆に熊を退治した者は英雄として遇された。ここには北海道開拓の大義と対露防衛の最前線としての屯田兵達の矜持を感じる。北海道はゴールドラッシュも起こり開拓は困難を極めたと同時に夢の大地だったのだ
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書はチャーチルやFDR、スターリンなど連合国の人物像にかなりフォーカスした歴史観が語られる。特にチャーチルに関しては、チャーチルの娘がアメリカの駐英大使にハニートラップを仕掛けていた事がアメリカの欧州戦線への参戦の決定的要因の一つであるとされる。勿論ある特定の人物が歴史を動かす事はあるのだろうが、果たしてそんな分かりやすい事が起きるのであろうか。本書の内容に妥当性があるのかどうかはぼくには判断できない。ただ、歴史の裏側ばかり探求すると陰謀論と区別が付かなくなる。この辺りはバランスが難しいので思案中である
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書はブルシット・ジョブと定義される社会的に無意味で無価値な仕事がなぜ存在するのか、そしてその有害性を分析する。日本の仕事論の文脈ではなかなか出てこなかった画期的な内容である。本書は仕事と道徳を結びつけるピューリタニズム的発想について紙幅を割いているが非キリスト教徒の多い日本人には関係ないかというと全くそうではない。むしろ空気を読み合うような日本的とも思われていたコミュニケーションを欧米人も行っている事を発見し、その共通性に瞠目する。他方、資本主義とは本当に存在するのかという哲学的な疑問が浮かんでしまった
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
本書はグノーシス主義の神話を引用して解説されており、世界観を感じられて面白い。とはいえやはりぼく個人にはない感性である為理解する事は難しい。しかしその本質は人間至上主義であり、自分自身を超越した存在はないとする考えは現代人の感性に通じるという。本書では宮台真司の「終わりなき日常」論を引用し、その超越なき世界観や厭世観との関係についても言及がある。他方でグノーシス主義の特異な宗教性を抜きに現代と簡単に結びつけてしまう事の安直さも付け加えられている。一神教的世界のネガとしてのグノーシスをもう少し勉強してみたい
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
導入で「ギルガメシュ叙事詩」が紹介されていたり、叙事詩関連の地図や街が詳述されており大変充実した内容である。特に新しい研究成果も紹介されており面白い。また古代メソポタミア飯は現代イラク料理とも通じる魚料理があり、文明が滅びても「土地の記憶」の根深さに感嘆する。ぼく達は血縁や人種、国民国家などに帰属意識を持つが、果たしてそれは自明な事なのだろうか。実は同じ土地に住んでいるという事が、異なる文明を横断する事を可能にしてはいないか。そんな事を考えてしまった。しかし本書のレシピを実践してみようとは思わなかったなぁ
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
日本列島は3万年前から突然人類の痕跡が現れる。つまり日本列島は、3万年前以前は無人島であったのだ。3万年前、人類は台湾から先島諸島を目指して渡海した。本書では黒潮を越えるという危険を冒しながらどのように渡海したのかが検証される。他方でなぜ渡海したのかは不明なままだ。しかしヒントは示唆されている。台湾から与那国島は偶に見えるが、それは日の出を背景にしているという。かなり神々しい印象を与えるその島影に古代人が興味を唆られた事はあり得るだろう。日本列島への渡海は特に必要に迫られたものではないという点が大変面白い
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
ピラミッドやストーンヘンジ、ローマン・コンクリート、メソアメリカ・アンデス文明、兵馬俑など、現代の技術を超えた古代技術は数多い。これは歴史が一直線上に進歩していない事の証左ではあるが、しかし同時に謎でもある。その謎に対して本書では古代技術は経済効率の無視によって徹底的な資本の投下とほぼ無期限の工期を実現した。その結果、千年を超える耐久性を持つ建造物を作れる程の古代技術が練り上げられていったのだ。裏を返せば現代技術は資本主義によって制約されているという事だ。現代文明は果たして千年後の世界に何か遺せるだろうか
が「ナイス!」と言っています。
みのくま
現代の技術者による古代日本の技術解説。技術者だからこその視点で三内丸山や古墳、五重塔などの木造建築、木材加工、古代瓦、製鉄、そして精銅について書かれており大変興味深い。特に古墳は水田の為の溜池であったという指摘や、木造建築の最盛期は古代であり室町期以降衰退していくという指摘は面白い。室町期から近代の萌芽が生まれるという指摘は網野善彦にも通じる史観であるが、木造建築にも該当している点は慧眼であろう。古代日本は木材の利用に長けており、文字通り生きた木材を生きたまま活用する為千年以上もの歳月を建造物は耐えている
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/01/22(3680日経過)
記録初日
2014/11/01(3762日経過)
読んだ本
1126冊(1日平均0.30冊)
読んだページ
321590ページ(1日平均85ページ)
感想・レビュー
992件(投稿率88.1%)
本棚
11棚
性別
年齢
37歳
職業
営業・企画系
現住所
東京都
読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう