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2024年3月の読書メーターまとめ

カモメ
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12
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感想・レビュー
12
ナイス
157ナイス

2024年3月に読んだ本
12

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

カモメ
ネタバレ被害者、加害者という固定観念のもと、更紗はかわいそうな人として優しくしてもらえる一方で、自分の言葉は伝わらず次第に自分でも自分が分からなくなる。優しくされればされるほど、分かり合えないことが苦しくなる。自分のことを分かってくれるのは同じ経験をした文だけだと強く思いを募らせ、「店にくる?」の言葉に救われる。恋愛ではないけど少女漫画のような勢いや閉鎖性、救いを感じられた。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
12

カモメ
ネタバレ自分で生き方を選択し始める年齢ではあるものの、世間体とのギャップや一般的な感覚との乖離に悩んだりする。友人や先輩との関係性でも本音を言えず流されたり、距離感に悩んだりする。そういう光秀や恵理にとっては、「世間」と距離を置いた空間で居心地が良かったのだろうと思う。自分のセクシュアリティや、身近な人の病気や死、家族との関係性、家族の犯罪など人に言いづらい悩みを抱える中、落ち着ける場であった。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ母娘だからといって無条件に好きになるわけではないし形容しがたいわだかまりを抱える時もある。母親におびえ顔色をうかがって暮らしていた夏帆。文章を書くことや絵を描くことについてきちんと教育し大袈裟なくらい褒める様子は良い母親にも映る。しかし演技がかっていたり、「お母ちゃんの子やなあ」と言われても母を大好きで肯定しているわけでもなければ素直に嬉しいと感じられない。自殺未遂を目撃しても本気で死ぬつもりなんてなかったんだろうと冷静に見ていたのは印象的だった。
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カモメ
ネタバレ大人しくスポーツができモテる歩だったが、年齢を重ねるにつれて綻びが出てくる。元恋人から頑張っている人を馬鹿にすると言われたり、父に感謝の気持ちを伝えられなかったり、恋人になる人の評判を気にしたり。自分の言いたい事を言わず我慢しているように見えながら、保身に周り中身のない無責任な大人になっていく。それでも周りの人にはとても恵まれていた。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」「誰かと自分を比べて、ずっと揺れていた」結局自分の意思で歩かないと卑屈な人間になってしまうのだというメッセージを感じた。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ住む環境から関わる人まで目まぐるしく変化していく生活の中で、破天荒な姉を反面教師として目立たないよう空気に徹する歩。まだ子どもながら、揉め事があっても文句を言わず直ぐに気を遣って諦める様子はいたたまれなくも思える。ヤコブや須玖といった歩が慕っていた友人の魅力が伝わる書かれ方や、お金を出してくれる父に対していたたまれない感情を抱いていた繊細さがよかった。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
明治期の「家庭」は明治維新以降新たな家族像を模索するための言葉だった。知識人たちは強力な財産と社会的地位を有した家長である男性に妻や子が服従し夫婦間の愛情が重視されていない上層階級で営まれていた家族生活を念頭として「家庭」を批判していた。そういった批判は西洋のような文明国への仲間入りをさせることも目的であった。当時は男性は公領域、女性は私領域というのはある意味新しい考え方であり、女性は家や夫に従属するのではなく家庭の管理者として自律的に振る舞う地位を獲得するものだった。
カモメ
2024/04/07 16:05

一方で政府は家制度を再構築し、親や先祖への服従が教育現場などで説かれるようになった。ホワイトカラー労働者により形成される新中間層では夫婦間、家族間の愛情関係が尊重された。高度経済成長期では国家や天皇への献身や家の後継者になることは価値を失っていき、平穏に生きる男性像が台頭し、家事の機械化などにより家庭内での母親の影響力が増した。政治の場では新たな「家庭」像が経済成長を目指す政策と連動しながら形成されていく。

カモメ
2024/04/07 16:05

「家庭」が国家や保守陣営に取り込まれ、革新陣営が対抗する言葉を喪失していく中で、「家制度の復活」ないしカモフラージュ、資本主義社会の基盤であるといった批判をしていた。70年代には家庭内暴力などで家庭そのものを問題とする視点が台頭し、家庭が不健全な空間とみなされていた。その後現在に繋がるまで国家は家庭への介入を強くしていく。

が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ被害者、加害者という固定観念のもと、更紗はかわいそうな人として優しくしてもらえる一方で、自分の言葉は伝わらず次第に自分でも自分が分からなくなる。優しくされればされるほど、分かり合えないことが苦しくなる。自分のことを分かってくれるのは同じ経験をした文だけだと強く思いを募らせ、「店にくる?」の言葉に救われる。恋愛ではないけど少女漫画のような勢いや閉鎖性、救いを感じられた。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ吃音症を抱えスムーズに話せない村内先生が正しいことではなくたいせつなことを教える為に多数の学校に赴任する。何でもみんなと一緒にしようとしたり綺麗事が多い学校。でもひとりぼっちではありたくない、そんな生徒の為に傍にいる村内。同級生の棘に傷付くけど何も言えない場面が多くて共感できる。場面緘黙症、自分の思いを表現する言葉が浮かばない、冗談っぽく笑わないと本心が言えない、リズム良く話せない、話したいことがあっても話せない、嘘をついてしまう、など話すことがテーマとなっていたように感じる。
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カモメ
「思いやり」は個々人の恣意性に左右されやすく普遍性がない。人権問題に取り組むには一定の知見を持ち抽象的ではなく、具体化し課題を把握する必要がある。現状として、ハラスメント防止法制など法律はあっても実効性の弱さが指摘される。禁止ではなく禁止することを義務付ける法律で、違反しても刑事罰には問われず民事訴訟で参照にされる程度であり賠償金の相場も海外に比べて極めて低い。「次世代育成支援対策推進法」では、企業独自の「計画」策定を義務付けており、他人事でなく取り組めるが計画をチェックするシステムがなければ効果はない。
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カモメ
ネタバレ不動産にまつわる不思議な出来事の真相を不動尊子という物件の気持ちが分かる女性が解決していく。一緒に謎解きの感覚で読んでいたけど、内容が投資詐欺、家賃横領、騒音トラブル、どうしても売りたい人、借りたい人など多様だったので難しかった。不動産について専門的な内容も多くリアルさがあったけど、だからこそ不動産尊子という謎の女性とのギャップがすごかった。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ良い母、良い娘で相手に好かれようとするもすれ違い空回りする。時に母親の母親と比較され、清佳にとっては無償の愛をくれる祖母と、理屈がないと愛してくれない母との対比が出来上がる。後半、母親が清佳という名前を呼ぶシーンが印象的だったが、夫のことをずっと回想で田所と呼んでいるのも気になった。田所は冷静に客観的に見ている風で無関心で無責任だけど、母娘にとっても他者化された存在だったのかもしれないと思う。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ家族の物語。兄弟が増えてわくわくしたり、兄弟で仲良く遊んだり、小学校や中学校で良い成績を取ったり恋愛を経験したり、事件が起こったり。子どもの成長とともに変化していく家族のどこにでもあるような風景でもあった。家族で抱えきれないほどつらいことがあっても、歳を重ねながらも変わらず寄り添う犬の「さくら」。家族が決裂しそうになってもさくらを思う気持ちは皆同様だった。どんな一場面でも純粋にさくらはそこに居て、変わらない安心感があった。
が「ナイス!」と言っています。
カモメ
ネタバレ故郷に妻や幼い子供を残し、互いの無事も分からないまま極寒の地で過酷な労働に耐える日々を送る。栄養失調、重労働、絶望感に加え厳寒な中多くの仲間が絶命していく。そんな中でも帰国への希望を持ち続け、俳句への造詣も深く句会を開き仲間と励まし合った山本。過酷な環境であっても、自分たちで生きる糧を失わず生き抜いた人たちの様子がよく分かる。文字を書いたノートを所持していたらスパイとされる恐れから、手分けして山本の遺書を暗記し遺族に伝えていく。山本の遺書は多くの仲間たちの無念の声でもあるようだった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/02/02(3372日経過)
記録初日
2013/05/14(4001日経過)
読んだ本
658冊(1日平均0.16冊)
読んだページ
185567ページ(1日平均46ページ)
感想・レビュー
657件(投稿率99.8%)
本棚
4棚
性別
年齢
31歳
職業
サービス業
自己紹介

会社員してます。

読んだ本の備忘録として残していきます。

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