闇夜が街を包みこみ私の心に忍び込んで来る。動物も植物も眠りに耽っている夜に官能的な夢が花開く。甘美な秘密も酷薄な嘘も全てが燃え尽きて。優雅な闇と仄暗い光が夜の底に沈んでいく。私は夜に閉じ込められたまま朝が来るのを待っている。私は夢に閉じ込められたまま現が溶けるのを待っている。華麗な花火が濃紫色の闇に変わる頃、私の眠りの森に蝶が迷い込む。それは淡い夜明けに似たプレリュード。それは甘い記憶に似たプレリュード。私の心の流れる時間は繊細なまでに淋しくて。私の心に沈殿する記憶は儚いほどに切なくて。夜の音が聞こえる。
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