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2025年11月の読書メーターまとめ

syaori
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2025年11月に読んだ本
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2025年11月のお気に入り登録
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2025年11月のお気に入られ登録
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2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

syaori
入院中の退屈病に苦しむ警官がリチャード三世の謎に挑む歴史ミステリー。彼は本当に王位のために二人の甥を殺した「怪物」なのか? 調査役の青年と、人の顔の性格づけやこの犯罪によって得をするのは誰か、交互照会といった「警察らしい考え方」などから歴史を繙き証拠を集めてゆく過程は、自明とされる歴史の公式を違う角度から見てゆく楽しさがあってわくわくします。何より、主人公の回復と青年の史家としての旅立ちという光の下で、少しだけリチャードの印象を明るいものとしつつ再び歴史が茫漠となってゆく締め方が興趣があってとても好き。
syaori
2025/11/21 17:56

「”王位をめぐるすべての競争者、とりわけ、ヘンリー七世の王位継承時に生きのこっていたヨーク家の相続人たちをとり除いてしまおうというのがチュードル家の一定した計画的政策だった。これは成功した」「このあからさまな記述に、グラントは目を見はった。この、大量殺人を平然と認めた書きぶりに。一つの家系を根絶やしてしまおうとするいきさつをこうも簡単に書き流しているのである。」「リチャード三世は二人の甥をとり除いたという罪をかぶせられ、その名は悪の同義語になった。しかるに、ヘンリー七世は”一定した計画的政策”で→

syaori
2025/11/21 17:56

→一つの家系を根こそぎにしたのに、頭のいい、先の見通しのいく君主と見なされてきた。おそらく、非常に愛されたとは言えないにしろ、建設的で勤勉で、しかも大いに成功した。/グラントはあきらめた。歴史とは、彼にはとうてい理解の及ばぬ代物だ。」/どうでもいいのですが、ティレルのおかみさんやマータ、二人の看護師さん、むくむく子羊ちゃんなキャラダイン青年などのキャラクターも魅力的で、その辺もよかったです。個人的にはお美しい婦長さんが好き。

が「ナイス!」と言っています。

2025年11月にナイスが最も多かったつぶやき

syaori

グレッグ・イーガンとジャン・ノリス、『カントの時間論』が面白かったです。今月もよろしくお願いします。2025年10月の読書メーター 読んだ本の数:6冊 読んだページ数:2021ページ ナイス数:1087ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/596110/summary/monthly/2025/10

が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
6

syaori
入院中の退屈病に苦しむ警官がリチャード三世の謎に挑む歴史ミステリー。彼は本当に王位のために二人の甥を殺した「怪物」なのか? 調査役の青年と、人の顔の性格づけやこの犯罪によって得をするのは誰か、交互照会といった「警察らしい考え方」などから歴史を繙き証拠を集めてゆく過程は、自明とされる歴史の公式を違う角度から見てゆく楽しさがあってわくわくします。何より、主人公の回復と青年の史家としての旅立ちという光の下で、少しだけリチャードの印象を明るいものとしつつ再び歴史が茫漠となってゆく締め方が興趣があってとても好き。
syaori
2025/11/21 17:56

「”王位をめぐるすべての競争者、とりわけ、ヘンリー七世の王位継承時に生きのこっていたヨーク家の相続人たちをとり除いてしまおうというのがチュードル家の一定した計画的政策だった。これは成功した」「このあからさまな記述に、グラントは目を見はった。この、大量殺人を平然と認めた書きぶりに。一つの家系を根絶やしてしまおうとするいきさつをこうも簡単に書き流しているのである。」「リチャード三世は二人の甥をとり除いたという罪をかぶせられ、その名は悪の同義語になった。しかるに、ヘンリー七世は”一定した計画的政策”で→

syaori
2025/11/21 17:56

→一つの家系を根こそぎにしたのに、頭のいい、先の見通しのいく君主と見なされてきた。おそらく、非常に愛されたとは言えないにしろ、建設的で勤勉で、しかも大いに成功した。/グラントはあきらめた。歴史とは、彼にはとうてい理解の及ばぬ代物だ。」/どうでもいいのですが、ティレルのおかみさんやマータ、二人の看護師さん、むくむく子羊ちゃんなキャラダイン青年などのキャラクターも魅力的で、その辺もよかったです。個人的にはお美しい婦長さんが好き。

が「ナイス!」と言っています。
syaori
難民受け入れについての本。何度も言及されるのが、「途上国」では自国が危機に直面した場合のための保険制度、「先進国」では「人口政策、国家としての投資」としての側面など「人道と国益のバランス」ということで、その中で日本の難民受け入れは国益の方に傾きすぎているのではとも示唆されます。しかし同時に、「人道的優等生」だったものの近年厳格化が進む北欧の事例から人道に傾きすぎても問題が起きることが示され、国家は「難民にどこまで寛容になれるのか、どのようにしたら寛容であり続けられるのか」その均衡を探る難しさを感じました。
千本通り
2025/11/20 12:15

高市総理は台湾有事でどれだけ台湾から難民が押し寄せるのか考えているのでしょうか? 100人とか200人とかそんなレベルの話じゃないと思うのですが。

syaori
2025/11/20 20:09

千本通りさん、私もそう思います。

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syaori
前巻に続くソ連の法と裁判の歴史の概観を経て、囚人の護送、到着まで。訳者も指摘する通り、自伝、史実考証、ルポと多様な様式が絡まっており、それらを、イデオロギーや生への執着のためにノルマ達成のための逮捕・審理に飲み込まれる人々やウオトカのために「ソ連邦英雄」から逮捕者になる者といった作者が垣間見た「群島」とそれにかかわる人々の横顔を皮肉と愛情を込めて「これこそすべてロシアなのだ」と語る作者の視点が織り合わせ、一大叙事詩として自分と彼らの息遣いも聞こえるように差し出していることにとても感銘を受けました。次巻へ。
syaori
2025/11/14 17:16

「1偉大な真理が明らかになるのはここ監房での中ではないだろうか? 監房は狭いけれど、しかし自由はもっと狭いのではないだろうか? 板寝床の下や通路に私たちと並んで寝ているのは、苦しめられ欺かれたわが国の民衆ではないのだろうか?」

syaori
2025/11/14 17:16

どうでもいいのですが、死刑廃止後の「1918年初めにトロツキーはアレクシエ・シチャストヌイを裁くよう命じた。(略)最高裁判所長カルクリンはあやしげなロシア語で速やかに判決を下した。「24時間以内に銃殺」法廷には動揺が起きたーそんなものは廃止されたぞ! 検事クルイレンコは説明した。「何を諸君は心配しているのか? 廃止されたのはー死刑のことだ。われわれはシチャストヌイを死刑にはしないー銃殺にするのだ」そして銃殺にしてしまった」という論法は何かの折に使えそうなので、心にメモしておこうと思いました。

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syaori
ブッダについての本。初期仏典を繙きながら、彼が貧富や身分の差は過去世の業によるといった当時の世界観の中に生きていたこと、隷民や女性の出家を認めたことは当時バラモン教に対抗して現れていた諸宗教でも類似の考えがあったこと等を示し、その諸宗教との比較から彼の先駆性を明らかにしてゆきます。その中でブッダが当時の諸宗教を受継ぎ批判し乗り越えることで仏教を形作っていったこと、業報輪廻(当時の道徳の基盤)を認めながらも輪廻の苦しみを終わらせる縁起の逆観を説いて「新たな宇宙」を提示したことが語られて、興味深い一冊でした。
syaori
2025/11/12 17:11

「ヴェーダ聖典が古層では「生天」が宗教目的だったのが、業と輪廻が前提になった新層(※ウパニシャッド)では、「解脱」こそが窮極の目的であると再定義されることになる。」「この二つの宗教目的は、仏教においてもそのまま取り入れられ、在家信者は生天を目ざし、出家修行者は解脱を目指すという構造に昇華」「沙門宗教の一つである仏教は、ヴェーダ聖典の新層(ウパニシャッド)において展開された輪廻や解脱といった世界観を共有しながらも、それと批判的に対峙し、真の理想の修行者像を探求した結果、生まれたのである。」

syaori
2025/11/12 17:11

どうでもいいのですが、古層では祭祀によってしか天生できなかったヴェーダ聖典が、新層(ウパニシャッド)の編纂によって祭祀に頼らずとも善い行いさえすれば天界に再生することが可能」という業(カルマ)の理論に飲み込まれ、「ヴェーダ聖典を法源とする祭祀の絶対性を否定したのは、皮肉にもヴェーダ聖典自身であった」という流れが面白かったです。

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syaori
この世界の動力・銀工術の基本原理となる翻訳に含まれる歪みと捩れ、これは英国に連れてこられ様々な特権を与えられながら「外国人」として印され続ける主人公達が味わうもの、また自由貿易の言葉の下に彼らの母国を搾取する帝国主義の象徴で、下巻はこの歪みの是正を目指し物語が進みます。その中で主人公と彼の同期達の立場の相違も明白になり、相手のためなら「死んでもかまわない」と思い合いながらも対立してゆくことに。最後は彼らが味わった翻訳の不可能性と、その異なる世界・相手を理解するための努力への希望が交錯して胸が詰まりました。
syaori
2025/11/07 17:29

「銀の棒が震えながら謳っていた。自分たちに関する筆舌に尽くしがたい真実を表現しようとしているかのようだ、とロビンは思った。それは翻訳が不可能だという真実だった。翻訳がとらえ、表現する純粋な意味の領域はけっしてわからないだろうし、わかりようがないことを」「言語はたんなる相違なのだ。千もの異なる見方、世界の動き方がある。いや、ひとつの世界のなかに千の世界がある。そして翻訳はーどれほど無駄であろうと、異なる世界のあいだを行き来するために必要な努力なのだ」「翻訳とはまさにそういうことなんだ、と思う。→

syaori
2025/11/07 17:29

→話すということはそういうことなんだ。自分自身を世界に示し、ほかのだれかが理解してくれることを期待するんだ」/最後のラミーが出てくるところは完全に泣くところなので完全に泣きました。資本主義社会が促進する労働者と富裕層の分断的な話も入れたかったのですが、全然入りませんでした。アーベルさんには謝りたい。どうでもいいのですが、ちょうどグリフィンお兄ちゃんとスターリングが「複雑に絡みあった愛と憎しみに捕われた旧友」だったところで会社についてしまい、微妙におあずけ状態の下で一日仕事することに……。

が「ナイス!」と言っています。
syaori
舞台は銀工術による産業革命で世界を席巻する19世紀の大英帝国。銀工術は、ある言語から別の言語へ翻訳する時の歪み・失われる意味を顕現させる技術で、主人公はそのために英国へ連れてこられ翻訳研究所(バベル)の学生となった中国人ロビン。同様にインド等から来た仲間達との学生生活は友情と希望に満ちてわくわくしますが、徐々に「真実」も見えてきます。特権を持つ特別なバベルの学生であると同時に人種的蔑視があり、バベルが植民地(母国)の搾取と結びついているという事実があり、徐々に大きくなるこの矛盾・歪みが「爆発」して下巻へ。
syaori
2025/11/04 17:26

「その出身がゆえに、諸君は、イングランドに生まれた人間にはまねできない語学の才能を有している。そして諸君はプサムテク王の少年たちのように、その語学の才によって、世界規模の平和を実現させる存在なのだ」「これこそ、自分が外国生まれであることに関して誰かがいわねばならなかった言葉のなかでもっとも親切なものだ、とロビンは思った。そして、いまの話に腹がよじれそうになったもののーというのもロビンはヘロドトスの話の関連するくだりをすでに読んでおり、エジプトの少年たちがそれでもやはり奴隷だったことを思いだしたからだった→

syaori
2025/11/04 17:27

→自分がどこにも所属していないからといって、永遠に周縁にいなければならない運命にあるわけではなく、逆に、そのせいで自分が特別な存在になっていると思うと、昂奮のときめきを感じていた」「ロビンは頭のなかで同時にふたつの真実を抱えているのがとても得意になっていた。イギリス人であり、イギリス人でないこと。(略)中国人は愚かで遅れた人びとであることと、自分もそのひとりであること。自分はバベルと憎んでおり、なおかつバベルに抱かれたまま永遠に暮らしていきたいと願っていること」

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/07/31(3785日経過)
記録初日
2015/07/21(3795日経過)
読んだ本
1545冊(1日平均0.41冊)
読んだページ
535124ページ(1日平均141ページ)
感想・レビュー
1541件(投稿率99.7%)
本棚
9棚
性別
血液型
B型
自己紹介

読む本を選ぶときに、こちらの感想を参考にすることが多かったので、私の感想もだれかの本選びの一助になればと登録しました。多分外国文学が多いです。

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