
→一つの家系を根こそぎにしたのに、頭のいい、先の見通しのいく君主と見なされてきた。おそらく、非常に愛されたとは言えないにしろ、建設的で勤勉で、しかも大いに成功した。/グラントはあきらめた。歴史とは、彼にはとうてい理解の及ばぬ代物だ。」/どうでもいいのですが、ティレルのおかみさんやマータ、二人の看護師さん、むくむく子羊ちゃんなキャラダイン青年などのキャラクターも魅力的で、その辺もよかったです。個人的にはお美しい婦長さんが好き。
グレッグ・イーガンとジャン・ノリス、『カントの時間論』が面白かったです。今月もよろしくお願いします。2025年10月の読書メーター 読んだ本の数:6冊 読んだページ数:2021ページ ナイス数:1087ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/596110/summary/monthly/2025/10
「”王位をめぐるすべての競争者、とりわけ、ヘンリー七世の王位継承時に生きのこっていたヨーク家の相続人たちをとり除いてしまおうというのがチュードル家の一定した計画的政策だった。これは成功した」「このあからさまな記述に、グラントは目を見はった。この、大量殺人を平然と認めた書きぶりに。一つの家系を根絶やしてしまおうとするいきさつをこうも簡単に書き流しているのである。」「リチャード三世は二人の甥をとり除いたという罪をかぶせられ、その名は悪の同義語になった。しかるに、ヘンリー七世は”一定した計画的政策”で→
→一つの家系を根こそぎにしたのに、頭のいい、先の見通しのいく君主と見なされてきた。おそらく、非常に愛されたとは言えないにしろ、建設的で勤勉で、しかも大いに成功した。/グラントはあきらめた。歴史とは、彼にはとうてい理解の及ばぬ代物だ。」/どうでもいいのですが、ティレルのおかみさんやマータ、二人の看護師さん、むくむく子羊ちゃんなキャラダイン青年などのキャラクターも魅力的で、その辺もよかったです。個人的にはお美しい婦長さんが好き。
「1偉大な真理が明らかになるのはここ監房での中ではないだろうか? 監房は狭いけれど、しかし自由はもっと狭いのではないだろうか? 板寝床の下や通路に私たちと並んで寝ているのは、苦しめられ欺かれたわが国の民衆ではないのだろうか?」
どうでもいいのですが、死刑廃止後の「1918年初めにトロツキーはアレクシエ・シチャストヌイを裁くよう命じた。(略)最高裁判所長カルクリンはあやしげなロシア語で速やかに判決を下した。「24時間以内に銃殺」法廷には動揺が起きたーそんなものは廃止されたぞ! 検事クルイレンコは説明した。「何を諸君は心配しているのか? 廃止されたのはー死刑のことだ。われわれはシチャストヌイを死刑にはしないー銃殺にするのだ」そして銃殺にしてしまった」という論法は何かの折に使えそうなので、心にメモしておこうと思いました。
「ヴェーダ聖典が古層では「生天」が宗教目的だったのが、業と輪廻が前提になった新層(※ウパニシャッド)では、「解脱」こそが窮極の目的であると再定義されることになる。」「この二つの宗教目的は、仏教においてもそのまま取り入れられ、在家信者は生天を目ざし、出家修行者は解脱を目指すという構造に昇華」「沙門宗教の一つである仏教は、ヴェーダ聖典の新層(ウパニシャッド)において展開された輪廻や解脱といった世界観を共有しながらも、それと批判的に対峙し、真の理想の修行者像を探求した結果、生まれたのである。」
どうでもいいのですが、古層では祭祀によってしか天生できなかったヴェーダ聖典が、新層(ウパニシャッド)の編纂によって祭祀に頼らずとも善い行いさえすれば天界に再生することが可能」という業(カルマ)の理論に飲み込まれ、「ヴェーダ聖典を法源とする祭祀の絶対性を否定したのは、皮肉にもヴェーダ聖典自身であった」という流れが面白かったです。
「銀の棒が震えながら謳っていた。自分たちに関する筆舌に尽くしがたい真実を表現しようとしているかのようだ、とロビンは思った。それは翻訳が不可能だという真実だった。翻訳がとらえ、表現する純粋な意味の領域はけっしてわからないだろうし、わかりようがないことを」「言語はたんなる相違なのだ。千もの異なる見方、世界の動き方がある。いや、ひとつの世界のなかに千の世界がある。そして翻訳はーどれほど無駄であろうと、異なる世界のあいだを行き来するために必要な努力なのだ」「翻訳とはまさにそういうことなんだ、と思う。→
→話すということはそういうことなんだ。自分自身を世界に示し、ほかのだれかが理解してくれることを期待するんだ」/最後のラミーが出てくるところは完全に泣くところなので完全に泣きました。資本主義社会が促進する労働者と富裕層の分断的な話も入れたかったのですが、全然入りませんでした。アーベルさんには謝りたい。どうでもいいのですが、ちょうどグリフィンお兄ちゃんとスターリングが「複雑に絡みあった愛と憎しみに捕われた旧友」だったところで会社についてしまい、微妙におあずけ状態の下で一日仕事することに……。
「その出身がゆえに、諸君は、イングランドに生まれた人間にはまねできない語学の才能を有している。そして諸君はプサムテク王の少年たちのように、その語学の才によって、世界規模の平和を実現させる存在なのだ」「これこそ、自分が外国生まれであることに関して誰かがいわねばならなかった言葉のなかでもっとも親切なものだ、とロビンは思った。そして、いまの話に腹がよじれそうになったもののーというのもロビンはヘロドトスの話の関連するくだりをすでに読んでおり、エジプトの少年たちがそれでもやはり奴隷だったことを思いだしたからだった→
→自分がどこにも所属していないからといって、永遠に周縁にいなければならない運命にあるわけではなく、逆に、そのせいで自分が特別な存在になっていると思うと、昂奮のときめきを感じていた」「ロビンは頭のなかで同時にふたつの真実を抱えているのがとても得意になっていた。イギリス人であり、イギリス人でないこと。(略)中国人は愚かで遅れた人びとであることと、自分もそのひとりであること。自分はバベルと憎んでおり、なおかつバベルに抱かれたまま永遠に暮らしていきたいと願っていること」
読む本を選ぶときに、こちらの感想を参考にすることが多かったので、私の感想もだれかの本選びの一助になればと登録しました。多分外国文学が多いです。
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「”王位をめぐるすべての競争者、とりわけ、ヘンリー七世の王位継承時に生きのこっていたヨーク家の相続人たちをとり除いてしまおうというのがチュードル家の一定した計画的政策だった。これは成功した」「このあからさまな記述に、グラントは目を見はった。この、大量殺人を平然と認めた書きぶりに。一つの家系を根絶やしてしまおうとするいきさつをこうも簡単に書き流しているのである。」「リチャード三世は二人の甥をとり除いたという罪をかぶせられ、その名は悪の同義語になった。しかるに、ヘンリー七世は”一定した計画的政策”で→