読書メーター KADOKAWA Group

2024年10月の読書メーターまとめ

田氏
読んだ本
11
読んだページ
3009ページ
感想・レビュー
9
ナイス
223ナイス

2024年10月に読んだ本
11

2024年10月のお気に入り登録
2

  • みねね
  • 青味泥シンカ

2024年10月のお気に入られ登録
4

  • okadagoo
  • nbhd
  • 青味泥シンカ
  • 九夢 @ゆっくりと深呼吸を

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

田氏
夢日記にしては整合的すぎるし、物語にしては納得を拒む。豊かな語彙で丁寧に紡がれる文字列ではあるが、把握しようとすると指の間からすり抜ける、その現象自体が小説なのであった。言語は景色を見せはするが、そう思うときの聞き手・読み手が景色を見ていることは決してない。決して知覚されることなく、そこにあると感じることでしか認めることのできない、決してそれ自体には到達することのできない、それ自体と同時・同一となることのできないものと、われわれの間にある現象である。この現象を以て、私はここに小説が「ある、あった」と言う。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

田氏

【読書メーターの本のプレゼントに応募しました】我々は、なぜ小説を読むのか。宇宙最高の愉悦のすべてが、今明らかになる。野﨑まど『小説』プルーフ本を20名様にプレゼント!応募受付は10月28日(月)の正午まで。応募はこちらから→ https://bookmeter.com/giftbooks/577?track=share

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
9

田氏
夢日記にしては整合的すぎるし、物語にしては納得を拒む。豊かな語彙で丁寧に紡がれる文字列ではあるが、把握しようとすると指の間からすり抜ける、その現象自体が小説なのであった。言語は景色を見せはするが、そう思うときの聞き手・読み手が景色を見ていることは決してない。決して知覚されることなく、そこにあると感じることでしか認めることのできない、決してそれ自体には到達することのできない、それ自体と同時・同一となることのできないものと、われわれの間にある現象である。この現象を以て、私はここに小説が「ある、あった」と言う。
が「ナイス!」と言っています。
田氏
劇場アニメ化決定、はしていないが、してそうな読み味である。バグで到達できてしまう未使用マップのような"26時間制の東京"、電車で訪ねる黄泉比良坂、固有名詞こそあてがわれども固有性の乏しい「僕たち」。不条理な世界と集合的語り手の重奏となれば、ともすればぼんやりしそうなところだけれど、マリオのような明快な目的性(と基本ルール)が進路を照らしているので、この短い物語を歩きとおすうえで苦はない。料理が関わるのは、黄泉戸喫からの連想だろうか。そのような逆算でもなかったら、この物語の設定はどこから出てきたのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
田氏
自由意思は自由意思と対立する。そこに「わたしがそのどちらの側にいるか」を意識さえしなければ、これほど明快な思弁小説もそうそうない。雑なまとめ方をすれば、善と悪と呼ばれるものの対立についての疑義はほぼ第一部のうちに〈みなさまのつつましき語り手〉の口から語られており、第二部、第三部は疑義を基底とした思考実験である。そうして示されるものは、得てして不快を催す。その不快こそが「わたしがこちらにいる」ことであり、他者と対立しうる自由意思たる実存ではなかろうか。それが他者なる自由意思を阻害することを、暴力と呼ぶのだ。
田氏
2024/10/26 22:18

もう叶わぬことだけれど、もし柳瀬尚紀が訳したらどんな壮絶な文面になっていただろうか。

が「ナイス!」と言っています。
田氏
「世界が平和でありますように」、よかろう、ではひとつ「平和」の定義を問題にしてみよう。いかに定義しようともそれは価値評価であり、その価値評価によって毀損されるような価値評価の否定によって成立する。善さを規定することは、善くなさが善でないものであり続けることの要請であり、同時に善くなさが善さを得る手段をも規定し、強制する。なれば「世界が平和でありますように」という願いは、「世界がわたし(たち)と同じ考えをするようになりますように」と同値ではあるまいか。そのような観点からは心地よく読めた表題作であるが、さて。
が「ナイス!」と言っています。
田氏
小説のよさの定義を、要約困難性の度合いで量るとする。要約困難とは情報の圧縮困難であるから、その限りにおいて、よい小説の極限とは圧縮不可能な渾沌=ランダムとなる。であれば、自分にとってここ数年の最大の「よさ」を持つと考えられる本作は、圧倒的に要約困難なのであるが、ランダムかというとむしろ論理的であるように見える。なれば、本作は情報論理的経典の7字に要約可能なのであるが、それが許されるのであればランダムだって、ランダムの4字で要約したと言い張っても自分は特に困らない。要は本感想は「読め」2字に要約可能なのだ。
田氏
2024/10/20 23:47

要約がいわば非可逆圧縮であるため、そもそも本感想がのっけから破綻していることにお気づきの諸氏は、是非本作に挑戦して頂きたい。

が「ナイス!」と言っています。
田氏
最長・最短両方向の極限時間世界を、彼岸と此岸をも行き来し、全編余すところなく思索、余すところなく哲学。レーモン・ルーセルの『ロクス・ソルス』と、オラフ・ステープルドンの『スターメイカー』と、あとディックとかレムとかなんやかんやの、不安になる部分ばかりを撹拌し、真っ黒になるまで煮詰めて凝ったやつに似ている、あるとすれば、たぶん。トーン不使用の執念的な画風といい、なんとなく漫画を描き始めてfc2で公開し始めたあたりといい、インデペンデントというか、野生である。野生すぎて作者の近況がわからないのが残念ではある。
田氏
2024/10/14 01:32

調べてみたら、現代思想2019年12月号の巨大数特集で、小林銅蟲と並んで作品が掲載されていた。この情報で本作の雰囲気をお察し頂けるならお察し頂きたい。お察せるなら読んでみても頂きたい。

が「ナイス!」と言っています。
田氏
大学生はレポートに書きあぐねると、カレーの美味しい作り方を書くという。ならば感想に書きあぐねた私は、インスタントラーメンの美味しい茹で方でも書こう。ほぐすな。以上。なぜ書きあぐねているかというと、西島伝法の解説がすべてを書き尽くしてしまっているのも理由の一つではあるが、なにしろ何を読んだのかがわからない。第一、バカSFだからと聞いて読んだバカSFに対し、バカでした以外に何の感想を、賛辞を送ればよいというのか。真面目に分析でもしようものなら、それこそバカとシリアスのOR条件重ね合わせを破壊する汚辱となろう。
が「ナイス!」と言っています。
田氏
必要十分条件によって規定しようとする試みにおいて説明が難しいことを、プロトタイプという意味観を導入し、新たな視点から眺める。この営みは、月並みな感想にはなるが、言語学にとどまらない、思考全般の枠組の提案にもなっているのではなかろうか。言語と思考とにおいても不可分かつ連続的な関係があるとするなら、それも当然のことではあるのだけれど。それにしても後期ウィトゲンシュタインの汎用性の高さである。本書の鍵である「家族的類似性」にせよ言語ゲーム論にせよ、昔聞いた「"論考"より"探究"のほうが実践的」の言が日々刺さる。
が「ナイス!」と言っています。
田氏
円城塔の小説はわかりやすい。という感想は、「円城塔の小説はわかりにくい」と相反しない。わかりにくいということがわかりやすいのだから。「わかる」なる体験が主観的である以上、「わかった」を主観客観同一の事象として定義することは(著者にすらも)困難、あわよくば不可能であり、ならばわれわれが言えることは、「わかる」と言いうるのは、「わかる」とは何か、をも含めた「わかりにくさ」でしかあるまい。これは「わかりにくい」をわかりやすくわからせる小説なのだ。無論この言い分は無限後退に陥るが、そこまで真面目に考えてはいない。
田氏
2024/10/06 16:19

『遍歴』は、サイエンスフィクションならぬエシックスフィクションとでもいうべきか、世論とか倫理とか宗教とか呼ばれるものを、すっとぼけて戯画化しつつ、その構造を解剖するかのような作品に仕上がっていて、たいへんわかりにくくて好ましい。一方で『ローラのオリジナル』では、生成AIの倫理に直接的に踏み込むところがあり、あれ?わかりやすいな?と思う節があった。とはいえ最終的にはいつも通りわかりにくいので、安定と信頼のT・円城である。

29square
2024/10/06 17:06

「分かりにくいのが好ましい」は言い得て妙ですね。難解さがギミックや蘊蓄ではなく作品の核になっているがゆえに「意外と分かりやすくて当惑しちゃう」も含みうるのが円城作品群のファン心理?だと改めて認識できた気がします!

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/11/23(3290日経過)
記録初日
2015/10/24(3320日経過)
読んだ本
1178冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
350385ページ(1日平均105ページ)
感想・レビュー
1066件(投稿率90.5%)
本棚
10棚
外部サイト
URL/ブログ
https://twitter.com/jabasunu
自己紹介

生理的に信頼できない語り手

参加コミュニティ1

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう