世之介39歳。仲間との共同生活の日々。作者である吉田氏の読者への語り掛けが温かくも，シリーズ１作目で明かされている事実を考えると，さみしいな。。。（下巻へ続く）

第54回江戸川乱歩賞受賞作。絡み合った紐の両端を引くと、一本残るは親子の絆。梅雨明けとともに真相が明らかに。ラストも清々しいミステリーでした。

居なくても居る、世之介。ありがとう。

世之介39歳。仲間との共同生活の日々。作者である吉田氏の読者への語り掛けが温かくも，シリーズ１作目で明かされている事実を考えると，さみしいな。。。（下巻へ続く）

ハレの日ではなく、日常生活にあって、かけがえのない日々。世之介の醸し出す「きっと、いろんな人のいろんな思いが、何年もかけて溶け合い、こんなに居心地の良い空気になったのだろう」雰囲気、そして、彼の魂は「善良なんだよ。善良」。

ルキノ・ヴィスコンティの「愛の嵐」を思い出しました。登場人物の関係や伏線を散らして最後まで刈り取らない所など，理解ではなく感じる作品なのかな。好きな感じの作品でした。

「何、言ってんのよ。これからいろんなもんが増えていくんじゃない。」もはや、いろんなもんを処分しなくてはならない歳に。せめて、これからは「・・・それでも『NO』じゃなくて、『YES』って言っているような人・・・」になりたいな。時代としては35年程前なのか。世之介にはなれないが、世之介のような友人がいたら、人生変わったのだろうか。

氏のキョンシーものと言うか、ゾンビものと言うか、久しぶりです。ブラックライダーのような荒んだ世界観ではありませんが、独特の世界観を楽しみました。ニーチェの善悪の彼岸からの引用とのこと、ニーチェとナチス。為政者の都合の良い切り取り操作は、今に始まったことではないが、誰でも発信者の現代においては、真実が藪の中に。厄介だなぁとかツラツラと思いながら読了。