ネタバレシリーズ3。今回は連作短編3つ。関係者のモノローグをほとんど挟まない八十吉視点で短編ということもありスピード感良く解決。お駒のセリフまわし以外満足。3編とおしてお駒の従姉妹おふくの継母との関係と嫁入り問題が絡む。推しのために命を削り合う「吉原雀」、親の芸事と不倫の犠牲になった子どもが哀れな「にわか大根」、優しすぎる男を間に男女の嫉妬が縺れ合い殺人に発展した「片陰」。婚姻や性愛が今より自由な面と不自由な面があるなぁ。ますます千蔭と梅が枝、巴之丞との関係が不穏に…。歌川国克、大石新三郎の次の出番が楽しみ。

ネタバレシリーズ2。縁談話の結末がそうなるとはね。まるで剣客商売。江戸の少女たちは社会のなかで早熟にならざるをえなかった。自ら生き方を考える術を知らず。何とも哀しい物語だがお玉が今を自由と感じられる強さが救いだ。構成の巧みに引っ張られ一気読み。アリバイ崩しかなぁ、と思いきやもっと外道だった。女将の心情はまったく理解できず、やっぱり因果応報かな。登場人物それぞれの活躍する様は好きなのだがセリフ回しがいまひとつ自分にはまらないのが惜しい。

ネタバレ葉室作品のなかでもエンタメ性高めで面白い。剣豪と知恵者の弁天様がひっそり営む峠の茶店を中心に巻き起こる因縁の数々。藩の派閥争い、女盗賊、とりかえばや、痛快殺陣シーン、母と娘・夫婦の絆とてんこ盛り。元夫の天野が意外と良い人だったことと夜狐お仙が自分なりの筋を通したことが物語を清々しく締めた感じ。やっぱり大団円はいいよね。

ネタバレ続編。化け物と化け者、芸であれ恋であれ一途さが人を狂わせる。道理の一線はどこにあるのか。役者稼業に戻る意志を固めた魚之助とそれを見届ける決意を改めてした藤九郎。前作に続きリズム良く読み進んだ。馬琴先生このところあちこちの小説でお目にかかる。『忠臣蔵』『曾我物』が現在も歌舞伎で人気の演目ということは時代がかわっても人の興味や感情は変わらないってことかな。阿近の存在がいかにも怪しげなままだけど、シリーズ化するのかな？終わり4行できれいにまとめた感じあったけど。