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2024年4月の読書メーターまとめ

みも
読んだ本
5
読んだページ
1857ページ
感想・レビュー
5
ナイス
1179ナイス

2024年4月に読んだ本
5

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

みも
着地点は些かセンチメンタル。人気作と承知しつつ率直に言えば、主人公の自己憐憫の度が過ぎて、ある種の自己陶酔の域に胡坐をかいている。その様は僕の神経を逆なでし、憤慨をも呼び覚ます。なんとなれば僕自身の若い時に主人公が酷似しているから。自分の存在意義…そんな途方もない事の探求に日々を重ねた若い頃の僕自身に。今なら分かる。社会にとって何物でもない自分への苛立ちと焦燥である事を。本書は軽妙なタッチと限定的な少ない登場人物に読み易さの源泉がある。若者には受ける筈だ。だが年齢を重ねた僕にはやはり些かセンチで面映ゆい。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
5

みも
20~50頁程度の短編6篇。タイトルの風雅さに騙されてはいけない。恋愛小説には違いないがそれは一面的で、本質的には恋愛の殻を被った恐怖小説。夢幻、妖美、耽美…皆川博子さんの世界観をややリアリズムに寄せたような妖艶なる恐怖体験。死の闇が足元から徐々に這い登って来るような作品集。著者の初期作品であるにもかかわらず、既に完成の域に達した様式美が確立されており、女性らしいしなやかな筆致もまた美しい。厭世観を孕ませつつ、歪んだ愛情に没入する女の情念や狂気が際立つが、一方、そこに関わる男達は悲しいくらい卑俗で矮小。
が「ナイス!」と言っています。
みも
着地点は些かセンチメンタル。人気作と承知しつつ率直に言えば、主人公の自己憐憫の度が過ぎて、ある種の自己陶酔の域に胡坐をかいている。その様は僕の神経を逆なでし、憤慨をも呼び覚ます。なんとなれば僕自身の若い時に主人公が酷似しているから。自分の存在意義…そんな途方もない事の探求に日々を重ねた若い頃の僕自身に。今なら分かる。社会にとって何物でもない自分への苛立ちと焦燥である事を。本書は軽妙なタッチと限定的な少ない登場人物に読み易さの源泉がある。若者には受ける筈だ。だが年齢を重ねた僕にはやはり些かセンチで面映ゆい。
が「ナイス!」と言っています。
みも
瞠目の力作。しばし余韻に浸る。そんな読後感。その余韻を生成するのは、終戦から8年後を描く「終章」。時の流れの寂寥感と感懐が心を満たす。だが、そこへ落とし込まれるまでの本編の筆致は極めて抑制的。その為、過酷な状況を描いていても心を揺さぶる苛烈さは薄く、迫真性もやや弱い。冷徹すぎる筆致が読者を俯瞰へと追いやっている感がある。また、自己犠牲に躊躇いがない人物しか登場しないので、人物造形に興醒めするか、逆に清々しく読み終えるか。僕は後者だった。民族と国家。改めて考えさせられたが、この戦いは現代も繰り返されている。
が「ナイス!」と言っています。
みも
着想が斬新で、また、クロハとアゲハ…この現実と仮想空間との同期性は巧妙だった。クライマックスは些かご都合主義的だが、作品の無機質さや荒涼感の肌触りが欠点を補って余りある。二つの世界で巧みに描かれる彼女の微妙な心理。畏れも悲嘆も葛藤も、弱さも強さも、また姉への憧憬や姪への愛情、そして諦観や憤激…。その細やかな描写は間違いなくクロハに魂を吹き込む。犯行動機や集団自殺心理が腑に落ちないのは残念。サプライズに拘泥するあまり現実味を削いでしまったか。それにしてもSNSは匿名の世界。そりゃ警察関係の方だっているよね。
が「ナイス!」と言っています。
みも
江戸川乱歩賞受賞作。その栄誉に違わぬ秀作である。通底するのは警察公安内部の確執と抗争。一匹狼的な主人公の刑事と、取り巻きを従え派閥の親分的地位に鎮座する剣呑な刑事。そこに警察庁から派遣された女性キャリア理事官が絡み、一気にスパイ小説の様相を呈してくる。事態は二転三転し虚実混交で帰着点が見えず、最後までスリリングでエキサイティングだった。政治家や中国工作員も絡み、そのスケール感や世界観は日本の小説としては稀有なものに感じます。その意味ではル・カレ作品を彷彿とさせ、リーダビリティの高さも本著の魅力の一つです。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/02/15(3009日経過)
記録初日
1973/08/01(18547日経過)
読んだ本
953冊(1日平均0.05冊)
読んだページ
325749ページ(1日平均17ページ)
感想・レビュー
781件(投稿率82.0%)
本棚
4棚
性別
年齢
59歳
現住所
石川県
自己紹介

2021年7月…群馬県から石川県に越しました。
怒涛の1ヵ月を経て、やっと読書時間を持てる余裕が出てきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
 
心酔する作家は三島由紀夫、安部公房、南木佳士、髙村薫。

現在、熱烈応援している作家さんが、鈴木るりかさん。

【人生に多大なる影響を及ぼした5冊】
●シートン動物記『オオカミ王ロボ』
●高野悦子『二十歳の原点』
●三島由紀夫『金閣寺』
●安部公房『砂の女』
●アンドレ・ジッド『狭き門』

【最近のお気に入り】
●髙村 薫『照柿』『マークスの山』
●天童荒太『永遠の仔』『家族狩り』
●横山秀夫『クライマーズ・ハイ』『64』
●南木佳士『阿弥陀堂だより』『医学生』
●高野和明『ジェノサイド』『13階段』
●桜木紫乃『起終点駅』『ホテルローヤル』
●鈴木るりか『さよなら田中さん』『太陽はひとりぼっち』
●貫井徳郎『灰色の虹』『殺人症候群』
●篠田節子『インドクリスタル』『弥勒』『冬の光』
●森沢明夫『おいしくて泣くとき』『キッチン風見鶏』
●皆川博子『死の泉』
●乙川優三郎『生きる』

【サクサク読める系】
●井上夢人(岡嶋二人)

【熱烈応援中】
●鈴木るりか


 若かりし頃は気に入った少数の作家を精読してました。
 ひと通り世界、日本を問わず名作と評されているものは、理解不足ながらも読んでみました。

 現在は、ジャンルにこだわらず濫読派です。想像力が乏しいため歴史物とSFは苦手です。
 流行や話題性は全く気にしません。評論、ビジネス本、ハウツー本、雑誌、漫画の類は読みません。小説限定の読者です。

 感想は極力ネタバレにならないように努めています。その為、具体性を欠いた抽象的な文章になりがちです。購買意欲を掻き立てる讃辞は専門の解説者にお任せして、個人的に感じた良し悪しを率直に書こうと思っていますので、時には辛辣な意見も述べますが、著者への敬意は忘れないよう心掛けています。

 ナイスへのお礼コメントはしておりません。悪しからずご了承下さい。
 心に響いたレビュー、コメント、つぶやき等には、できる限りコメントを入れたいと思っています。

 但し、政治的・思想的発言は控えています。よって、その話題での議論には参加いたしません。

 読メに求めるものは各人異なると思います。僕は、純粋に小説についての良し悪しを共感できればと考えております。作品についての批判は受容しますが、個人のレビューに関しての批判は好ましくないと考えています。

 機転も利かず、マンガもほとんど読まず、ユーモアに乏しく、そんなこんなで、あまり面白みは無い男ですが、よろしくお願いいたします。

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