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出水 ぽすか(20)二宮 正明(12)山田 芳裕(12)沖田 ×華(9)小川 洋子(9)大江 健三郎(9)古谷 実(6)大澤 真幸(5)児島 襄(5)吉田 修一(5)21%出水 ぽすか13%二宮 正明13%山田 芳裕9%沖田 ×華9%小川 洋子9%大江 健三郎6%古谷 実5%大澤 真幸5%児島 襄5%吉田 修一著者グラフ上位10名
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ころこ
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妻の不純な関係を許せないのだが、それは自分が祖父と母との不純な関係に生まれてきたからだ。では主人公が苦悩しているかというと、そうでもないらしい。本作は読者に隠されていることはなく、作者が知った時点で自動書記のように書かれるのが特徴だ。描写が上手いというのは短文で畳み掛ける平易な文章だからだが、それ故に長編には向かないのだろう。日本文学らしいと言えばそれまでだが、だらだらと構成のない文章が続くので、冗長で読んでいられない。主人公だけが小説中に存在し、後は誰でも良い。主人公にとっては流れに任せるだけで、結婚相
ころこ

手でさえ誰でも良かったのだろう。選択の結果、イライラになるのは主人公の幼稚さのあらわれだ。友人と女が多数登場するが、その人物に個性が無いのは主人公にとって自分以外に興味が無いからだ。二番目の子供が生まれた直後、外出の汽車に子供と乗った主人公は遅れてきた妻が動き出した汽車に乗ろうとした時に「危ないからよせ。もう帰れ!」と言って突き飛ばし、妻は汽車から転げ落ちる。固有性を突き詰めたところに普遍性が生まれるのが文学だが、主人公の態度は自分が人並みに社会の仕組みに乗れないのはなぜだろうかという地点に留まっている。

03/29 23:46
0255文字
ころこ
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ネットの講座の文字起こしがベースになっているため、ざっくりしているが見通しが良い。芥川が「ぼんやりとした不安」を感じた昭和初年代に「危機」(クリティークの語源)の意識から日本の批評は誕生した。小林は伝統、直感を、吉本が対幻想、大衆の原像を、その時代時代に失われていく自然の喪失から、次の時代の価値を再定義していくことが批評の役割だ。その時代の批評家がどんな仕事をしたかは客観的には分からない。それは著者がその時代をどうみたか、実は著者の批評する行為がその時代を描いていて、この仕事全体が今の時代を映している。
0255文字
ころこ
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妊娠を告げる場面、意思のない弥吉が鍬を用意して、偶然に悦子が実行する最後の場面と、神託のような仕掛けが大げさと捉えるか、必然性と捉えてまとまっていると考えるかで大分印象が変わる。三島作品の好悪が分かれるのは、大げさでワザワザなところが目立つからだが、戯曲のような展開なので登場人物の内心も必然で、大げさな部分は演出として嫌味なく解釈することができる。本当ならば夫・良輔の死は悦子に開放を与えるはずだ。しかし夫の死後も、悦子は杉本家から出ていこうとはしない。悦子はこの家に留まり、年下の三郎に思いを寄せる。他方で
ころこ

美代は妊娠することで、杉本家から脱出する。王、王妃(悦子)、王子(三郎)、王女(美代)だが、王が良輔からその父・弥吉に入れ替わっている。この入れ替わりに、三島だから敗戦を想起してしまう。象徴的な父(戦前の天皇)からニセの父(戦後の象徴天皇)に替わった。唾棄すべき社会、そんなことは分かり切っている。ユルユルと抜け出していく人間がいる一方で、自分はどうしてもそこから抜け出すことができない。最後の場面、殺す相手は鍬を持った弥吉でも論理的におかしくない。実際には未来を殺して脱出するのは、三島の最後を暗示している。

03/24 23:37
0255文字
ころこ
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01年にアメリカで炭疽菌事件という毒ガス騒動があり、直前の9.11と並んで戦争からテロの時代へ、リベラル社会への警鐘となっている。毒ガスといえばアウシュヴィッツからの歴史的経緯、なぜ近年になって毒ガスが使われるようになったのかを紐解いている。テロが社会の内部から発生するだけでなく、毒ガスは我々が体内に取り込む空気を利用する。再帰的近代性のリスク社会は何でも可視化してしまうが、かえって新たな対象を敵認定する過剰を潜在させている。コロナは新たに意識するようになった社会の内部にある敵であることは言うまでもない。
0255文字
ころこ
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難しい理由は登場人物の多さと、主語が省かれているために物語を見失うからだろう。ウィキペディアに各帖のあらすじが載っている。ペースメーカーにすると良いのではないか。純粋な恋愛は恋愛自体が目的だが、異なる目的が混入することで純粋性は遠のく。だが恋愛が遠のくことを欲していたかのように、かえってドラマは生まれやすい。本作は宮中の話であり、恋愛と政治が重なり合う世界、今の政治家や有名人の人脈が広いというのに近い。朧月夜との仲が有力者に露見し、反感を買って自ら都落ちする。都落ちした明石で明石の君と知り合う。許されて都
ころこ

へ戻るときに六条御息所の斎宮を養女に迎え、入内させることで焼け太りのように源氏の政治力は高まる。そもそもなぜ源氏は殺されないのだろうか。世界中で近代以前、民主主義が無かった時代に敵は殲滅された。では当時の日本は民主主義だったのかといえば違う。敵を殺せば穢れ、怨霊として自らに跳ね返ってくる保身のために、日本では相手を最後まで追い詰めない。源氏の力を支えていたのは容姿とコミュ力、和歌の力つまり言霊だ。敵が生き残ると物語は複雑になる。古に複雑な物語をつくり得たのは、これら日本的な禁忌の作用だったのではないか。

03/22 11:33
0255文字
ころこ
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乳児死亡率という現在でいうビッグデータ分析によりソ連の崩壊を予言した、他にソ連の崩壊を予言したのは小室直樹、という謳い文句だが、期待するような分析系の本ではない。共産主義、マルクス主義批判が展開されているが、データが多く使われている印象はない。元共産主義者から共産主義の問題点に気付き批判者に転じた例は日本にも多くあり、彼らの批判は近親憎悪ゆえに執拗で、身内ゆえの弱点は熟知している。著者もまたそのような感じで、結論ありきのため退屈に感じるかも知れない。
0255文字
ころこ
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九条の生い立ち、暴力を受けてきた父、祖母を初めて「救った」こと、それを辺見に告白することによって自分を救うためだったという動機に気付かされたことが語られる。その直後、それまで心の支えだと信じていた叔母に、九条は動けない身体にされる。「救う」立場から「救われる」立場になったとき「もしかしたら私の生きる意味も見つかるかもしれない」と、はじめて自分の中に自分を発見する。この話はまだ続きがありそうだ。末期がんの赤根の話も続いていて、この話が終わらないということが作者のメッセージのようだ。人生は都合よく終わらない。
0255文字
ころこ
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タイトルから推測される通り、偽札をつくって日本経済が大混乱に陥る話。トボけた浅い人物造形と取替可能な貨幣をテーマとしたことが上手くはまっていて面白く読めた。とはいえ偽札の流通は悪貨なので、古典的に悪性インフレになると即断するのは頂けない。精巧な偽札を見破れないのだからそのまま流通し、多少の金融緩和の効果により景気が良くなり混乱は起きないはずだ。偽札により、かえって日本経済を救ったというならば皮肉が効いて面白い話になっただろう。経済の原理ではなく不純さを嫌う儒教的な心性を駆動させてしまったような気がする。
0255文字

読んだ本
2817

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読書データ

プロフィール

登録日
2016/03/01(3317日経過)
記録初日
2016/03/01(3317日経過)
読んだ本
2817冊(1日平均0.85冊)
読んだページ
826211ページ(1日平均249ページ)
感想・レビュー
2527件(投稿率89.7%)
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