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2025年3月の読書メーターまとめ

pirokichi
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1025ナイス

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2025年3月に読んだ本
36

2025年3月のお気に入り登録
4

  • 巨峰
  • あいかわ
  • ma-bo
  • 早瀬なつ

2025年3月のお気に入られ登録
4

  • 巨峰
  • あいかわ
  • ma-bo
  • 早瀬なつ

2025年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

pirokichi
ネタバレ数十年ぶりに読み返した。はしがき→第一の手記→第二の手記→第三の手記→あとがきと、読み手をひきつけ飽きさせない。全編どこか誇張と滑稽さが漂っていて、太宰ならではの「油汗流してのサーヴィス」に感じた。要蔵は人間失格というより、どこまでも人間だなあとしか思えなかった。彼の自意識が他の人間と違うと思いたかったのだろうか。「(世間とは個人じゃないか)」「罪のアントニムは、何だろう」「ただ一さいは過ぎて行きます」等々胸に響く言葉がたくさん投げかけられ、何度もハッとさせられた。「神様みたいな…」には腰が抜けた。
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2025年3月の感想・レビュー一覧
36

pirokichi
先に読んだ『文士の食卓』(浦西和彦編)がきっかけ。昭和23年志賀直哉が伊豆に移転しお互いに行き来するようになってから、昭和46年関東中央病院での死去にいたるまでの思い出を綴ったエッセイ24篇。多才で器用、行動的でフットワークが軽く気が利き多方面に顔も利く自由人の著者は、志賀直哉に重宝がられ可愛がられる。豪快でお茶目で食いしん坊で人情に厚い…志賀直哉の人間としての魅力がたっぷり綴られていて愉しい。門人・阿川弘之氏も何度も登場するが、仲間から「青山のゴジラ」と呼ばれていたらしい。志賀直哉作品をもっと読もう。
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pirokichi
百年文庫は「一冊で三人の文豪の傑作が読める、日本と世界の名短篇アンソロジー」で全百巻。既読の『あの日、小林書店で。』(川上徹也)に登場し読みたいと思っていた。太宰治『女生徒』は何度か読んでいるが、毎度新しい発見があり愉しい。後の『人間失格』につながる自画像が浮かぶ。ラディゲ『ドニイズ』は、ラスト、太宰の女生徒みたく「ナンジャラホイ」と思ってしまった。久坂葉子『幾度目かの最期』は何とももどかしい。そしてまさか本作を書き上げた直後、鉄道自殺を遂げただなんて。若くして逝った3人の作品だけにテーマ「憧」が切ない。
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pirokichi
ネタバレ先に読んだ『文士の食卓』にあった本書の著者・泉名月さんの文章に惹かれ手に取った。著者は泉鏡花の姪で、鏡花の死後10歳時に鏡花の妻の養女となり上京。実母と三人で暮らした。名は「なつき」とよみ、鏡花の弟である父が生前、名月の頃に生まれるからと名付けた唯一の形見らしい。本書は幻想譚6篇、夢小話7篇、回想譚3篇を収録。幻想譚や夢小話では、花や虫など小さなものに心を寄せる心優しく少しさみしい少女の姿が浮かんできた。回想譚はぞくっとするほど、いい。「鏡花は空豆を一粒食べると一粒分だけおなかがいたくなるのだそうです」。
鬼ゆり
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『四季のうた』シリーズの第十集。2015年4月から翌年3月の一年間、読売新聞に連載された詩歌コラム「四季」を収録したもの。著者はまえがきで、俳句や短歌を作るときには子規が提唱した「写生」だけではなく、想像力の重要性を説いている。特に印象に残ったのは次の通り。「生ビールネクタイすつと外しけり」(小沢麻結)、「水無月の風は瑠璃色だと思ふ」(小林すみれ)、「茄子漬の色移りたる卵焼」(藤井あかり)、「大風や金魚もつともひるがへり」(石田郷子)、「かかる世に替へしわれらの命かと老いざる死者の声怨みいふ」(岡野弘彦)
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ネタバレ2017年に新聞雑誌等に発表されたものから厳選された77名のエッセイ77篇。分野も様々で、一篇の長さも丁度良い。私はきっちり最初から順番に読んだのだが、全く飽きることなく、次は誰だろうとわくわくしながら頁を繰った。とりわけ印象に残ったのは、川上和人さん、山極寿一さん、曳地トシさん、加藤シゲアキさん、小川洋子さん、佐藤多佳子さん、宮沢章夫さん。帯にある、本書編纂委員・町田康さんの「人の人生。ときどきの時間に触れ、頭がぼうっとなる。心が飛ぶ。そして新しい自分に出会う。随筆にはそんな功徳があるようです」がいい。
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pirokichi
ネタバレ六つの短編。表題作は機内から国際線到着ロビーの群像劇。読みながら私の身体にも着陸の衝撃が伝わり、移動して彼らと共に到着ロビーの賑わいの中にいるようだった。「実は百を超えていたりするのかも」に笑った。『寝室』は夫の変化にちょっとカチン。『おそ夏のゆうぐれ』はタイトルだけで胸が詰まる。「ある種の食べ物は心をつよくしてくれる」。『ピクニック』は「ほんとうのことをいう狂気」。『夕顔』は源氏物語の現代語訳。全て江國さん訳で読みたいほど素敵。同性愛カップルの旅を描いた『アレンテージョ』は六編中で最も好きだった。
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pirokichi
ネタバレ『ことば汁』という変な書名に惹かれて。異種かつ厳選したことばを具材に、狂気をスパイスにして、血、汗、涙、唾液等々で調味。青臭い、生臭い、獣臭い、死臭のする、焦げ臭い、泡立つ、官能的な、不思議で不穏で幻想的で奇妙な味わいの、「女房」「つの」「すずめ」「花火」「野うさぎ」「りぼん」の六椀(六つの短篇)。私のお気に入りは「つの」と「花火」。唯一書き下ろしの、最初の一篇『女房』に引用されたディラン・トマスの「緑の導火線を通して花を駆り立てる力」という言葉は、他の五篇を読んでいるときにも所々でふっと頭に降りてきた。
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ネタバレ15人の文士の食に纏わる思い出を家族、友人、弟子たちが綴ったエッセイ27篇。鴎外が地蜂がくっついた焼肴を食べ、口の中を刺された(森於菟)とか、漱石は胃痛に苦しんでいても目の前に菓子があったらぱくりとやってしまう(夏目伸六)とか、鏡花は黴菌恐怖症で、奥様が焙じた番茶は絶品だった(小島政二郎)とか、志賀直哉宅でフグをさばいて食べていたら娘さんの口のまわりがしびれて…(福田蘭童)等々、驚く、愉しい、可愛らしいエピソードがたくさん。編者の浦西和彦さんに感謝。志賀直哉『山鳩』や泉名月作品を読みたくなった。
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pirokichi
ネタバレ1915年出版。先に読んだ『少女ポリアンナ』(木村由利子訳 ※村岡花子訳は『少女パレアナ』で絶版)の続編。前半ではボストンで過ごした13歳のひと冬を、後半では夫の急死で元の悲観主義者に戻った叔母を支える20歳のパレアナが描かれている。『喜びの遊び』がうまくいかず痛々しかったが、乗り越えられたのは彼女が持つ人間力。底力。「いつでも喜ぶということは、決して単なる『お人よし』でできることではなく、強い意志と努力が必要」は、しっかり胸に刻みたい。ジミーの出自を問題にした件はえっ?だが、流れ上しょうがないのかな。
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pirokichi
ネタバレざっくり家計簿をつけている著者の、20年前に書かれた「お金を通して人生の謎に迫る」エッセイ23篇。例えば「昼めし977円」とか「鞄59,000円」とか。選択した経緯や逡巡等諸々書かれているのだが、偏食で酒・煙草呑みで短気で待つのが嫌いで風呂嫌い等、著者の意外な魅力が満載。母親に温泉旅行をプレゼントした「記憶9,800円×2」は胸を打った。最悪な出来事が時を経て光を放つ、ってあるよなあ。「お金と心はときとして、体と心の如く関係しあう」…私も衝動買いをした時は、何か辛いことがあるのでは、と自分に問うてみよう。
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本書は子規・漱石生誕150年の記念に2017年の1年間、愛媛新聞に連載されたものをまとめたもの。子規とその畏友である漱石の句を中心にその門人、碧梧桐や虚子や極堂や、寅彦も紅禄も、の句が一日一句、俳人・神野紗希さんの解説と共に紹介されている。俳句はもちろんだが解説がすばらしい。解説をよむことで俳句が一層ふくらみを増す。子規と漱石の当時のいろいろが想像され二人が身近に感じられる。漱石を、門人を、家族を思う子規がいとおしい。ますます子規の、そしてツンデレ?の漱石のファンになった。
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pirokichi
ネタバレ2018年発行。シリーズ7作目。終わってさみしい最終巻。これまで主に描かれていた、愛奈、彩加、理子、亜紀のそれぞれの旅立ちが描かれている。学校司書、地元でブックカフェの共同経営、店長として吉祥寺店から福岡店への異動、本社MDから吉祥寺店店長への返り咲き昇進など、それぞれ職場は違うけれど、本に対する思いは同じ。読み終えて、扉にある「本と本屋を愛するすべての人に。」の意味するものがあらためて胸にじわ~っと押し寄せた。解説の白川浩介さんが書かれているように、私も十年後の西岡理子がみたい。
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ネタバレシリーズ6作目。今作は突然本社から閉店を告げられた取手駅中にある書店店長の彩加と、担当したラノベのアニメ化で苦悩する編集者伸光の二人を中心に描かれている。会社に所属していると、当たり前だが社の方針に従わねばならず、また仕事って関係者が多いほど大変だよなあと、読みながら二人と同じように胃がきゅっとなった。なので書店アルバイトでありラノベ原作者の田中君の頼もしい成長はうれしかった。また「遅れて来た客」に、ほろり。 登場した国分寺のブックイベント、今でもあるのかしら。行ってみたいな。次はいよいよ最終巻。
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pirokichi
ネタバレ表題作ほか四つの短篇と多和田葉子さんとの対談を収録。人称の扱いが奇異で、「ぼく」が「きみ」に乗り移ったかのように或いは「ぼく」が天上から「きみ」を見ているかのように描かれている。一篇目は慣れなくて、読後、もしやすべて妄想?なんて思ってしまった。表題作も、知るはずもない「きみ」の行動が怖くなるほど細かく描写されていて「きみ」に対する思いの強さに圧倒された。脳みその日頃使わない部分が刺激され、最初は変な気分だが、だんだん心地よくなり、その世界にずっといたくなる不思議な一冊。とりわけ表題作と『黄金期』が好き。
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pirokichi
ネタバレ『書店ガール4』で「子供の頃読んだ本で外国の女の子が主人公。物語後半で怪我か病気で歩けなくなる話」という客の言葉をヒントに書店員が思いついたのが本書だった。探していたのは実は『すてきなケティ』だったのだけど。私はどちらも未読だったのでまず此方を手にとった。『赤毛のアン』や『あしながおじさん』より数年後の1913年の出版。両親を亡くし冷ややかな叔母に引き取られた11歳のポリアンナが「嬉しい探し」で周りの人を魅了し怪我も乗り越える成長の物語。面白かった。私もどんな時にも、は中々難しいけど、「嬉しい」を探そう。
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pirokichi
ネタバレシリーズ5作目。今作は取手の駅中書店の店長に抜擢され、売り上げUPに頭を悩ます彩加と、新人賞作家の受賞辞退などトラブル続きのライトノベル編集者小幡伸光の二人をメインに描かれる。出来過ぎの展開ではあるが、あの田中君が!とまるで私もアルバイト仲間であるかのようにうれしく、気持ちよく読み終えた。今回のテーマは「ラノベとブンガク」。著者はラノベの編集者だったらしい。何がラノベで何がそうでないかはいまいちわからないが、拘らずいろいろ読みたい。
が「ナイス!」と言っています。
pirokichi
ネタバレペタッ~とあまり気持ちの良くない何かがうっすらと肌に張り付くような、ざわわわっ~とするものが胸奥に渦巻くような、読後感。「酷い記憶は夢のなかの出来事だったように思えてくる装置が、いつか、発明されないものだろうかとよぎる。丘の家が、せめて、この子にとってそんな場所であるならいい、と願った」…かつて性被害を受けたリツはこういう風に思える優しい面もあるのに、逆に攻撃もしてしまう。熊って何?もしや私も熊だった?まだ私の中に潜んでいる熊がいる?…そんな思いがぐずぐず湧いた。 ヒロの、後の行動は救いになった。
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pirokichi
ネタバレ初めての団鬼六作品と思いきや、昭和32年、氏が26歳の、黒岩松太郎名義で書かれた、相場を扱った経済エンタメ小説。主人公は、ギャンブル好きで大穴をあてて成り上りたいと驀進する大学生・大崎恭太郎。本作品は頼まれてホテルに缶詰めにされ不眠不休のたった3日間で書き上げたものらしく、ストーリーにも会話にもスピード感、勢いがあり、また昭和30年代初頭のゴチャゴチャわやわやした大阪が活写されていて引き込まれ、面白かった。『大穴』は題名通り穴を当てて、映画化、ドラマ化もされたらしい。すごい。
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ネタバレシリーズ4作目。今作はこれまでメインだった理子と亜紀はちょこっと登場しただけで、アルバイトの大学生・愛奈と、駅ビルにある別の書店員宮崎彩加の二人を中心に描かれている。就職活動に悩む愛奈と、契約から正社員登用と同時に異動&店長を任されることになった彩加と。愛奈が企画した就活フェア。私も自分だったらどんな本を選ぶだろうと考えてみたのだが、『何者』(朝井リョウ)しか思いつかなかった…かなしい。本シリーズでは毎回フェア開催が描かれていて、そのテーマに合わせて選ばれた本のラインナップを見るのも楽しい。次は5作目へ。
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pirokichi
ネタバレ『孤独の俳句~』(金子兜太・又吉直樹)に紹介されていて。本書は放哉に傾倒している作者によって、放哉が小豆島にいた最晩年の八カ月間の季節の移ろいや、激しく揺れ動く心模様が鮮烈に描かれている。放浪の俳人とはいえお坊ちゃまっぽい顔立ちなので、これほど酒癖が悪く、人に物やお金を乞い、気位も高く、肺病というのもあるが、心が不安定な人だとは思わなかった。だからこそ数多の名句が生まれたのだけど。シゲさんなど良い人たちに恵まれてよかった。海を見るのが好きだった放哉。タイトルは多分、俳句「障子あけて置く海は暮れきる」より。
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ネタバレ山頭火の句を俳人・金子兜太氏が、放哉の句を又吉直樹氏が、厳選、句評している。放浪の軌跡(略年譜・行脚地図)も掲載されており、彼らを知るのにとてもよい入門書だ。二人のイメージは同じ自由律俳人で、私の頭の中ではごっちゃになっていたが、こうやって一冊で読むと、二人のつながりも、違いも浮かび上がってくる。「山頭火はぐっと掴んでぱっと投げるように句を作った」は、自分が作句する上で胸に留めておきたい。また、又吉氏は自身にかなり引き付けて句評しており、句はどのように読んでもいいのだと改めて思った。
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ネタバレシリーズ3作目。東日本大震災から2年半後。理子は仙台の老舗書店のリニューアルを任され、被災地の現状を知り、3月に吉祥寺店で震災フェアを開催することに…。相変わらずの理子の、亜紀ほか書店員のみならず周りの人を巻き込む力に感心した。だからどんどん昇進するんだな。「本という形にしておけば(略)安心して忘れることができるんです」は胸に刺さった。「震災フェアは書店ならではの企画」も。そうそう、苦手な経済書担当となった亜紀と、顧客の広瀬さんとの攻防もよかった。書店の裏側が見られて面白い。解説は夏葉社の島田潤一郎さん。
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ネタバレ昭和14年から自死した23年に発表された短篇小説集。冒頭の『ア、秋』から心を掴まれた。何このタイトル。「秋は、ずるい悪魔だ」。何てすばらしい。『一燈』は昭和8年12月23日皇太子様ご誕生の日が書かれており、先日読んだ『俳風三麗花』(三田完)にもあったなとその偶然に驚いた。『リイズ』はあたたかい。いいなあ。家族で疎開した津軽の生家で兄と草むしりをする『庭』も何だか好き。戦時中に、失敗の多い滑稽な老人を用い武道や茶道等日本の精神を風刺した黄村先生シリーズも面白かった。『嘘』も『雀』もどれもこれもよかった。
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ネタバレ現代語訳は森見登美彦さん。かぐや姫ってこんなにいけずだったっけと思いながらも、右往左往する五人の求婚者の描かれ方にちょっと笑ってしまった。翁が竹の中に光り輝く小さな人を見つけ、媼の元へ大切に持ち帰る場面がやっぱり好き。子供のいない夫婦はどんなに喜んだことだろう。また人間の心を得たかぐや姫が地上への思いを断って百人もの天人たちと月に帰っていく荘厳で悲しい場面も好き。ファンタジー。なるほど千年残る物語だわ。特別収録の講義「作者と楽しむ古典」もうれしい。森見さんって竹の人だったんだ。他のご著書も読みたい。
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ネタバレシリーズ2作目。前作があまりにどろどろしていたので、本作を読むのに5年もの間が空いてしまったのだが、こちらはとても面白く一気読み。吉祥寺の大型書店店長の理子や育休中の亜紀の今後が気になって、3作目以降も注文してしまった(近所の新刊書店にも古本屋にもなかったのでポチリ。ごめんなさい)。大型書店で店長としてまた売り場担当として働くということ、本屋大賞のこと、イベントを開催すること…読み終えて、全国の書店員さんたちに感謝の気持ちがむくむくわいた。最近訪れて本当においしかった「カフェロシア」の登場が嬉しかった。
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ネタバレ逃げる、怯える、待つ、ごまかす、脅す、成りすます、すれ違う、妄想する、誤解する、観念する…様々なシチュエーションでの男女の恋愛模様が電話をモチーフとして描かれた12の短篇。携帯電話もメールも普及していなかった30数年前。電話はこれほどに恋愛を惑わせて、狂わせて、盛り上げてきたんだなあ。多分きっとこれからも。12篇の中では、「嘘は見破れても本当のことは信じない」妻を描いた『朝帰り』が好き。解説の唯川恵さんが書かれているように、私も今や電話にはっとさせられるのは、恋愛がらみではなく、老親がらみだなあ。
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ネタバレ三浦しをんさんの本で紹介されていて2年前に購入したのだが、最初の1,2頁から読み進まず積んであった。のに、背表紙が目に入り再挑戦と読み始めたところ、面白くて一気に読んでしまった。昭和7年頃の東京。日暮里にある暮秋先生の自宅で月一回催される句会に参加する三人の若き女性たち…大学教授の娘ちゑ、医大生の壽子、浅草芸者の松太郎、をめぐる俳句と恋と友情の物語。句会の楽しさはもちろん、甘味処でのおしゃべりや、六代目音羽屋や中村吉右衛門の登場、皇太子様ご誕生を知らせるサイレンなど、昭和初期の雰囲気も感じられてよかった。
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ネタバレ数十年ぶりに読み返した。はしがき→第一の手記→第二の手記→第三の手記→あとがきと、読み手をひきつけ飽きさせない。全編どこか誇張と滑稽さが漂っていて、太宰ならではの「油汗流してのサーヴィス」に感じた。要蔵は人間失格というより、どこまでも人間だなあとしか思えなかった。彼の自意識が他の人間と違うと思いたかったのだろうか。「(世間とは個人じゃないか)」「罪のアントニムは、何だろう」「ただ一さいは過ぎて行きます」等々胸に響く言葉がたくさん投げかけられ、何度もハッとさせられた。「神様みたいな…」には腰が抜けた。
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ネタバレ明治42年6月18日、太宰治より1日早く、京都市中京区の金銀箔置、ぼかし友染を職とする父親と、後妻で近江の国友村出身の母親との間に生まれた詩人天野忠さんの随筆集。先に読んだアンソロジーで天野さんの詩「挨拶」が気に入り、詩の他に随筆もあると、手にとった。本書には「挨拶」に登場する長男の外国人のお嫁さんやお孫さんも登場するのでうれしかった。日常の何でもないことを綴り味わい深い随筆集。家族はもちろん近所や職場や詩人仲間や、更に太宰治や上林暁など、確かに生きていた欠片が光っていて、随筆っていいなあと改めて思った。
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ネタバレ卒業、入学、結婚、出産、旅立ち…を寿ぐ詩のアンソロジー。初読の今回は、「おまえが生まれた日」(福中都生子)、「結婚について」(ハリール・ジブラーン)、「挨拶」(天野忠)、「所帯をもって」(高橋順子)、「花嫁」(池井昌樹)、「春の夜のしなさだめ」(永瀬清子)、「喜び」(高見順)が、心に響いた。本書の帯はのし紙のようになっていて、そのまま誰かにプレゼントしたくなる。
が「ナイス!」と言っています。
pirokichi
ネタバレ狩猟採集民「プナン」と長年行動を共にしてきた人類学者の奥野克巳さんと、そのフィールドワークに同行したアナウンサー吉田尚記さんとの対談、そして3名のゲストを迎えた鼎談をまとめたもの。はぁ~世界は広いなあと驚く。プナンの生活は自分にはムリだが、そのように生きている人々が確かに存在していることを知り、視界がひらけ心身がのびやかになる気がした。奥野さんはじめ5名の方は初めてだったがユニークで面白い。日本も色々な人がいるなあ。そういえば「下ネタ」。プナンの女の子達はどう思っているんだろう。吉田戦車さんの装画がいい。
が「ナイス!」と言っています。
pirokichi
ネタバレ主人公で漫画家の永山、芸人で作家の影島、イラストレーターでコラムニストのナカノ…登場する三人それぞれに、作者が投影されているように感じた。作者の葛藤する、訴えたい、心の叫び声が聞こえて来た。また彼らの態度や発言の中に私自身の姿も見え隠れし、胸がキリキリ痛かった。最終章で永山はルーツの地・沖縄に行き、家族や親族と過ごすことで「人間が拙い。だけど、それでもいい」という境地に至る。人間「失格」よりずっといいなあ…私まで晴れやかな気持ちになった。両親とのドライブの場面が大好き。そうそう、めぐみは鳥取出身かしら?
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ本後篇は鶴見氏逝去後に刊行したもので、2001年4月~2011年11月の思考の軌跡が刻まれている。「妻について。人と暮らすことができるという自信をようやく得た。八十歳を迎えて」(2003/5/26)「去るものは追わず 自分もまた去る」(2004/9/9)「うまい文章を書く望みはない。自分の目標は、こびのない文章を書くことだ」(2004/12/20)、「私は、腹がたっているときは、死を恐れない。平和な気持ちのときには、死ぬことを恐れている」(2008/11/8)「自分が遠い」(2011/5/20)等々。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ独立書店等で見かけ、ずっと気になっていた本書。先日ある書店のXで紹介されており、その書店のオンラインで購入した。著者は読書より音楽が好きな、書店員歴30年の55歳。現在はときわ書房志津ステーションビル店長。本書にはそんな著者が書店員として、書店の生き残りが増々過酷なここ何年かに考えたあれこれが綴られている。「狭義のノンフィクション」へのこだわりは頷いたし、書評で読みたい本が増えた。ちょこっと持ち歩くのにいい軽量の文庫サイズ。発行所:十七時退勤社 印刷:ちょ古っ都製本工房。おもしろい名前の会社があるもんだ。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ近所の魚屋さんで、「うちで煮たのよ、おいしいよー」と薦められ、干し椎茸をもどして甘辛く煮たのを買った。椎茸、美味しいなあと食べながら、ふと積んであった本書を思い出し、手に取った。不思議でちょっと怖い五つの偏愛の物語。パターン的に結末がわかってしまったりもしたけれど、対象が夫、食虫植物、椎茸、石、ハクビシンと様々で、変てこな味だけどやみつきになりそうな五種類の飴を食べた感じがした。最も好きだったのは表題作。私が買った椎茸煮も、本作と同じくきっと雛祭り用だったのね。ラスト、ずきゅ~んと胸にきた。
が「ナイス!」と言っています。
pirokichi
ネタバレ1975年尼崎生まれの地下芸人・チャンス大城さんの半生記。いじめられ続けたがユニークな家族や友達がいた尼崎編。そして上京し地下芸人として活動中の東京編。あまりにも濃いエピソードの連続に、いくらなんでも盛ってるでしょうと思いつつも、笑ったり、目をそらしたり、怒ったり、やっぱり笑ったりしつつ、読んだ。最初の風船のエピソードは抜群によかった。本書は大城さんファンの友人が「読んだのであげる」と暗に「読め」とくれた本。大城さんとの初対面は本書だが、次はTVで出あいたい。林檎さんの登場には驚いた。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/04/21(3297日経過)
記録初日
2020/01/12(1936日経過)
読んだ本
1487冊(1日平均0.77冊)
読んだページ
375347ページ(1日平均193ページ)
感想・レビュー
1487件(投稿率100.0%)
本棚
6棚
性別
現住所
東京都
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