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2025年11月の読書メーターまとめ

pirokichi
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2025年11月に読んだ本
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2025年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

pirokichi
ネタバレ大正14年12月9日に北海道天塩国苫前村で発生した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」の長編ドキュメンタリー。開拓しようやく慣れ暮らし始めた村での大惨事。想像を絶する羆の巨大さ、凶暴さ。役に立たない村人の銃。200人が集まっても頼りにならない警察たち。中で唯一人沈着に羆と対決する羆撃ちの猟師。羆を仕とめた日の強風・クマ嵐。人肉を食べた羆を皆で食すという供養…。あ~怖かった。読み終えて目にした装画の羆の目が、牙が、恐ろしすぎて、思わず本を裏返した。でも、読んで、知ってよかった。今こそたくさんの人に読んでほしい。
が「ナイス!」と言っています。

2025年11月の感想・レビュー一覧
33

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ネタバレ今年中にやりたいことを見つけると決めたヒロトはヒデキと一緒に映画を撮ることに。奮闘するヒロト。片や漫画がスランプのなっちゃん。「私、ちょっとマンガから離れて、ムダなことしてもいいかなって思った。せっかく大学生だしさ」(byなっちゃん)。 ヒロトとヒデキの映画も、なっちゃんの漫画も、編集者二階堂さんの指導も、ヒロトのよもぎさんへの恋心も、行方が気になる。次巻も楽しみ。
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ネタバレヒデキよかった、ほんとによかった。頑張り過ぎたヒロトも、大丈夫でよかった。大切な人を大切だとちゃんとわかっていて大切にできる…いいなあ。よもぎさんの恋はどちらに進むのだろう。次巻も楽しみ。
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ネタバレ小説を書くわけではないのでどうしようかと迷っていたのだが、地元書店の店員さんが腰をさすりながらたくさんの本書を一所懸命平積みしている姿を見てしまい、購入した。著者は『君のクイズ』でしか知らなかったのだが、丁寧でわかりやすく、軽妙でユーモラスな語り口で、面白くてたくさん笑った、ハッとしていっぱい頷いた、著者の小説をもっと読みたくなった。「難病や特攻隊や悲恋を扱ったチープでありふれた題材の作品が感動作として…」は、あの小説のことかなあ、あ~。巻末の小説「エデンの東」のラスト一節に胸がじんとした。
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ネタバレ平屋でのクリスマスパーティーに正月の山形への帰省。なっちゃんが漫画家になりたいってお母さんに打ち明けられてよかった。なっちゃんの誕生日を忘れないヒロト、やさしい。ばーちゃんの「孫じゃないよ、友達だよ、な」にはぐっときた。ヒロトにもなっちゃんにもあかりんにもよもぎさんにも何やら変化の兆し。次巻も楽しみ。
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ネタバレ宮沢賢治に「熊」のことを書いた話があると知り、青空文庫で読んだ。なめとこ山の熊捕り名人・淵沢小十郎の物語。小十郎は生活のために熊を殺すが熊が憎くはない。熊は撃たれるが小十郎が好き。小十郎にとって人間も動物も同じ地平に立っているんだなあ。でも世の中は狐けんのように、「熊は小十郎にやられ、小十郎は旦那(熊の毛皮・熊の胆の売り先である荒物屋)にやられる(搾取)」。熊のことばがわかる小十郎が熊の親子の会話を聞いてしまうシーンが好き。「ひきざくら」って「辛夷」のことなんだなあ。
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ネタバレ反抗期の百合14歳が70年前の第二次世界大戦末期にタイムスリップし、特攻隊員・彰に恋をする。彰の出撃後平和な現代に戻った百合は…。三宅香帆さんの『考察する若者たち』で本書の人気の理由を、「転生」「親ガチャ無効化」「時代ガチャ勝者」「現実のスペックの変化」という今どきの言葉を使って書かれていたので興味をもった。実はありがちなストーリーだったが、私はただただふつふつと湧く、戦争、日本軍上層部に対する怒りをもって読んだ。たくさんの若者に読まれているらしいので(53刷)、戦争NO!を胸に刻んでほしい。
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ネタバレなっちゃんに男友だち。あかりんに恋の気配。なっちゃん出版社へ。売れっ子作家がうずらさんに恋心。ヒデキ夫婦が赤ちゃん連れてヒロトん家に。うずらさんのひき笑い。そして、ばーちゃん生前の、ハロウィンのエピソードはたまらん。本巻もとてもよかった。「何かをするのに、手遅れなんてないのかもね」(byばーちゃん)
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ネタバレ流行している様々なエンターテインメントの分析を通して「考察」文化について独自の視点で探ったもの。正解のない批評から正解のある考察へ、萌えから推しへ、メディアからプラットフォームへ、ヒエラルキーから界隈へ、ググるからジピるへ等。先に『アルゴリズム・AIを疑う…』(宇田川敦史)を読んでいたのでエコーチェンバーなどの言葉がすんなり入ってきてよかった。若くない自分も時々「正解」を求めてしまうが、著者が言うように「間違っていてもいい、自分の固有性を大事にしよう」と、若者に、そして改めて自分自身に伝えたい。熱い一冊。
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ネタバレ養蚕業、ミンク養殖、ハッカ栽培、羽毛採取、蹄鉄屋、レンガ製造などかつて北海道で栄え現在は衰退した産業の労働者を主人公とした短篇7篇。厳しい環境の中でそれに抗うかのように草木も土も動物も鳥も人間もきつく匂い立つような荒々しく逞しく読み応えのある作品群で、非常に惹きつけられた。北海道でこのような産業があったなんて全く知らなかった、しかもハッカ栽培はかつて世界一だったなんて。中では「…人間はみな阿呆です。馬ばかりが偉えんです」の、『うまねむる』が好きだった。「車ばかりが走り続ける。もう馬糞風が吹くことはない」。
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ネタバレなっちゃんには、「大丈夫だよ、なっちゃんは」と言ってくれるヒロトがいつも側にいてくれてほんとよかった。コンテストに応募した漫画も良い方向にすすみそうだし。一方あかりちゃんは…。一瞬見せた微妙な表情が何だか心配。 ばーちゃんが登場する回がうれしい。ばーちゃんとヒロトの関係に憧れる。 ヒデキの赤ちゃんも産まれて、次巻も楽しみ。
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ネタバレAmazonでのおすすめ、またニュースサイトやブログで、以前グーグル検索した商品の広告が表示される等など不気味で迷惑で、何で~?と思っていた。検索エンジンで上位にくるサイトは信用性が高いと思っていた。Xのおすすめ記事は万人に同じものが流れていると思っていたのに夫とも友人とも全く違っていて驚いた等々、そんなレベルの私にも、デジタルメディアにおけるアルゴリズムやプラットフォームのしくみがわかりやすく書かれている。危険だからと敬遠するのではなく、しくみを知ったうえで有効活用すること。たくさんの人に読んでほしい。
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ネタバレ放送中のNHK夜ドラは乗り遅れてしまったので、原作を手にとった。すっごく好み!心が「ひら」たくなる感じ。ヒロトのやさしさがほどよくて、かなりボロいけど、阿佐ヶ谷駅から徒歩20分の地にある一戸建てを、たまたま知り合って週2回一緒に夕食を食べるようになった29歳独身元役者で現在つり堀勤務のヒロトに遺したばーちゃんの気持ちがよ~くわかるなあ。逆にあのやさしさの奥には何か辛い過去があったりするのかしら。同居している従妹で美大生のなっちゃん、ニコニコ不動産のよもぎさん…今後の展開が楽しみ。
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ネタバレ4年ごとに開かれる会社の代表選挙がシュールに描かれている。一回目の投票で敗れた緑山氏を応援する緑山陣営=うどん陣営(うどんを愛する人たちの集まり)の面々は、「控えめにいって、どっちもくそである」藍井戸氏と黄島氏がのぞむ決選投票を前にして、票が欲しい彼ら陣営の思惑に巻き込まれる。一体どちらが勝利するのか…。棄権ではなく、より冷静な判断、より多くの社員の安定につながるような決断を。何だか先ごろの選挙を見る思い。うどん好きの私としては、とにかくうどんが食べたくなった。読みながらうどんの出汁の香りまで襲ってきた。
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ネタバレ校正者牟田都子さんが編んだ、金井真紀さん、村井理子さんなど37人による贈り物をテーマにしたエッセイ集。最も印象に残ったのは、渡辺尚子さんの「鯛焼き」。また安達茉莉子さんの「祖母の着物、祖母の記憶」のラストの一文には、何だか感謝の気もちでいっぱいになり涙が溢れた。そうそう西淑さんのお名前はご本名だったんだ!素敵。この本は、本書の執筆者のお一人が経営する書店で購入した。『贈り物の本』を買うことで、こちらも贈り物をした(今年一年のお礼)気もちになって、密かにうれしかった。大切な人に贈りたくなるあたたかな一冊。
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ネタバレ「疑問というのは、解決すると科学になるが、解決しない疑問は哲学となる」と言う著者による「こどもの哲学 大人の絵本」第3弾。「金はやはり隠然たる凶器の光を忍ばせている」「お金も血も、命にかかわる。エネルギーの源である。流体である。生臭いものである。でも輝いている。いきなり見せられるとドキリとする」等々、独特の切り口と味わいのある絵に引きつけられた。キャッシュレス化が進み現金を取り巻く事情は劇的に変化したものの、犯罪に戦争にとかりたてるお金の本質は変わらない。「タテマエはホンネを駆逐する」にドキリとした。
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ネタバレタイトルの「介護」に反応して手にとった。本書は、脳梗塞で倒れ要介護1となった父親を介護するため、仕事をやめ東京から札幌に戻った30歳琴美の、ままならぬ日々を描いた物語。母親は事故死。優秀で要領のいい妹は結婚して海外生活。唯一心の支えの推し活もコロナ禍でトーンダウン。愛犬までも認知症に。父親の下の世話のこと(想像上)、もし父親が平均寿命まで生きたら自分は何歳?等々、リアルで胸が詰まった。私は父親の年齢に近いので、彼女には幸せになってほしい。なので、最後に希望の光が見えてよかった。解説は村井理子さん。
が「ナイス!」と言っています。
pirokichi
子ども向けかと敬遠していたのだが、「考えること」、日記を「書くこと」の大切さが丁寧に示されていて良かった。日記がいずれ自分にとっての読みものになるというのも新鮮だった。読みながら、小学5,6年時にクラス全員(過疎地のため14人)が毎日日記を書き担任の先生に提出していたことを思い出した。用紙はわら半紙にガリ版刷りのもので、提出すると先生がメッセージを書いて返してくれた。何か月かに一度、「心の花」と書かれた表紙をつけて製本してくださった…思い出すだけで胸が温まる。日記は自分との対話。また日記をつけようか。
ちーちゃん
2025/11/24 12:22

pirokichlさん、ほっこりレビュー♡すてきです…私もついついサボるけど(笑)やっぱり日記📓書き続けたいなぁと。まずは、読みまーす♪

pirokichi
2025/11/24 14:15

ちーちゃん、ありがとうございます!

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pirokichi
先に読んだ『みどりのゆび』で戦争への怒りが強く感じられたので、戦争といえば水木氏の戦争体験(90%は事実、と本人談)を描いた漫画があったなと、十数年ぶりに本棚からひっぱり出した。最近の政治家の発言等から感じる不安も関係しているのかも。昭和18年末の南太平洋ニューブリテン島のココボから昭和20年同島バイエンでの総員五百人の玉砕までの日本兵の惨状。天国みたいな美しい島は、全員が天国にゆく島だった。玉砕せよ!…だなんて、一人ひとりのいのちを何だと思っているのか、怒りがわく。戦争は絶対ダメとしっかり胸に刻みたい。
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pirokichi
ネタバレ吉祥寺にある絵本と児童文学の本屋さん「緑のゆび」で購入。世界中のどんな場所にも花を咲かせることができる不思議な親指をもった、ちょっと変わった少年チトの物語。チトはお金持ちの家に生まれ育ったが、父親は兵器を作る会社を経営し莫大な資産を築いていた…。「この世の中で規律をいちばんみだすいやなやつ、それは戦争だ、とチトはかんがえました。なぜなら、だれも、いちばんたいせつなものを戦争でうしなうからです」「ぼく、花で戦争をやめさせたよ」…とても素敵で、でも何ともせつない物語。子どもも大人もたくさんの人に読んでほしい。
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池井昌樹氏の「手から、手へ」という一篇の詩と植田正治氏のアート写真による絵本。詩が与えるまなざしは、厳しいがあたたかく力強い。写真は父母を祖父母を故郷を想起させる。きっと人生のどの時期に読んでもぴったりくるだろう。企画した山本純司氏は、2009年「現代詩手帖」のイベント会場で谷川俊太郎氏が本作品を朗読するのを聴き、ただならぬものを感じ、早速詩を取り寄せ、植田正治氏の写真とのコラボを思いついたらしい。これも「手から、手へ」だ。ずっと昔、帰省途中に植田正治写真美術館に立ち寄ったことがあるが、また行ってみたい。
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pirokichi
ネタバレ健康診断後、親の介護を続けるには自分の健康が大切だと改めて気づき、そうだ薬膳だとサイトを見ていたら、薬膳は陰陽五行説に基づいていると知り、よく聞くけど陰陽五行って?と、中でも暮しに結びついて理解しやすそうな本書を手にとった。「なぜご飯は左、汁は右に配膳するの?」「なぜ殿様は朱塗りの御前を使うの?」「なぜ着物は右前にして着るの?」「なぜ『桃太郎』には猿、雉、犬が登場するの?」「なぜ正月の前に大掃除をするの?」等々知ってうれしいことばかり。表やイラストもたっぷりあって、すぐ手に取れる場所に置いておきたい。
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ネタバレ1978年刊。正常とは、異常とは、狂っているのはどちらか、常識とは等々、編集者F君との対話形式で進む思考の流れに、頭がこんがらがりながらも、面白く読んだ。「平均にひたって、自分には問題がないことにした人たちは、平均から逸脱したものを憎む。他人を画一化しようと努力する。自分のようでない人間に、いちじるしく不寛容だ。画一化されない人間をクルッテイルと見なす。ぼくとしては、そういう人々の多い社会を、なんとか、もう少し寛容な人間の多い社会にしたいとは思っている」。著者がご存命だったら今の世の中をどう仰るだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ本書は第53回芥川賞を受賞した表題作を含む全五篇を収録。津村節子さんの随筆は読んだことがあり、小説は初めてだったのだが、五篇とも男女の機微をこまやかに描いた何とも薄暗く沈んだ地味な作品で、私には好みだった。『玩具』ではつい実際の吉村昭との関係を思ってしまうが、テーマを強調するために自分たち夫婦を極端にデフォルメしているとのことらしい。夫にとっては妻も「玩具」のひとつだってことなのか…。どの作品も胸に重くのしかかるが、特に『白い壺』のラストシーンは印象的、遠ざかる傾き加減の骨壺の「白」が。
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ネタバレ今や様々なメディアで人気の文芸評論家の三宅香帆さん。本書では読書レビューも紹介されており、超多忙の中、漫画、古典、小説、ノンフィクション…あらゆる分野を、ネタとして面白く話せる&書けるように、こんなにたくさん読んでらっしゃるのかと、はあ~驚いた。話が面白い人になるためには、本を読むように人の話を聞くこと…解釈力が大切で、それは本を読むことで鍛えることができると、五つの技を示してくれているのだが、読んだ本を端から忘れてしまう私にはなかなかハードルが高い。それより三宅さんの面白いレビューに読みたい本が増えた。
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ネタバレ母娘関係、DV、離婚、貧困、認知症、介護、若年妊娠、ストーカー等あらゆる問題が描かれていて、ずしんと重い気持ちになりながらも、不幸全てを自分を捨てた母親のせいにしていた千鶴子の再生を見届けたく引き込まれ、一気に読んだ。若年性認知症の母親がトイレ介助を娘から受ける時「あなたにこんなことをされたくない」と叫んだ場面が胸を刺した。私も母に泣かれ蹴られたので。認知症の母には悲しみや苦しみは手放して、胸の奥に沈む記憶の中の、きらきらとした星だけを掬って、幸福に浸ってほしい。読後、母に会いたくて携帯の写真を開いた。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ奈良に出かけるので、確かずいぶん前に読んだのがあったなあと本棚から引っ張り出した。いとうさんの文とみうらさんのイラスト。「伝来もんと由来もん」「芭蕉も観光客だったのになあ」「ママ(秘仏・吉祥天)はまた明日からお休みか」「ひと仏、仏浴」「いとうさん、文殊に恋したね」「(千手観音は)手がいっぱいあるから座るとき大変だよ」「仏像は修復できるが人間は修復できない」等々、仏友コンビ、ほんと面白すぎる。今年2025年3月、本書で交わされた三十三年後の約束が果たされたらしい。お二人とも生きていてよかったなあ、私も。
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ネタバレ子規最晩年に描かれた『果物帖』『草花帖』『玩具帖』と、「俳句界」掲載の子規の絵画観、又漱石等3人による子規の絵についての文章が収録されている。モルヒネをのみ枕に頭をつけたまま、そのものの色を出すために根気強く絵の具をなする子規の真剣なまなざし。作品は素朴でやさしくて、添えられた文章と共に子規の高揚や心持の明るさが伝わってくる。「(芭蕉や蕪村も優れた画をのこしたが)併し子規居士の此帖に見るやうな純真な高い味をもつものは、不幸にして私は未だ見てゐない」。寒川鼠骨の子規への思いに胸を打たれた。未完の絵も明るい。
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ネタバレ歌人・伊藤一彦さんと、高校の教え子である俳優・堺雅人さんによる、若山牧水に関する三夜連続対談。3人とも宮崎県出身。「けふもまたこころの鉦をうち鳴らしうち鳴らしつつあくがれて行く」…牧水のこの短歌、いいなあ、心の奥が熱くなる。伊藤さんは牧水は「さびしさ」をうたっているが基本は「あくがれ」だという。そして、堺さんによるとそのさびしさは、豊かな生命力に溢れているって。本書では、もちろん牧水とその短歌に魅力を感じたのだが、それ以上に、堺さんの豊かな感受性、語彙力に驚いた。伊藤さん、堺さんお二人の関係が羨ましい。
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ネタバレ「銀座百点」に2004年から2017年に掲載され厳選された47人47篇のエッセイ。「ご馳走になってばかり」の戌井昭人さんには笑った。執筆から10年以上経っているが、誰かにご馳走できたかしら。金井美恵子さんの「奇妙な思い出」では、吉行淳之介さんのモテぶりについて、(年上の)女性側の気持ちを「坊ちゃん」の「清」になぞらえていて、ほぉーと思った。ジェーン・スーさんの「母の銀座」では、母の面影を求めて銀座を歩く父と娘の姿を想像し思わず涙。私の銀座の思い出は何だろう。上京した両親を案内して誇らしく歩いた歩行者天国?
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ネタバレ大正14年12月9日に北海道天塩国苫前村で発生した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」の長編ドキュメンタリー。開拓しようやく慣れ暮らし始めた村での大惨事。想像を絶する羆の巨大さ、凶暴さ。役に立たない村人の銃。200人が集まっても頼りにならない警察たち。中で唯一人沈着に羆と対決する羆撃ちの猟師。羆を仕とめた日の強風・クマ嵐。人肉を食べた羆を皆で食すという供養…。あ~怖かった。読み終えて目にした装画の羆の目が、牙が、恐ろしすぎて、思わず本を裏返した。でも、読んで、知ってよかった。今こそたくさんの人に読んでほしい。
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ネタバレ東京六大学野球に纏わる六つの短編。だからタイトルがシックスなのか、と途中で気づいた自分をわらった。最も好きだったのは1話目の東大の補欠選手の話。何といっても八百屋を営む野球バカで息子に過剰に期待する熱いお父さんがよかった。明治大学の就活生の話は、明大のあまりの学歴コンプレックスに、なぜと驚いた。解説はニュースキャスターで東大野球部出身の大越健介さん。日本人三選手が活躍しドジャースが2年連続ワールドシリーズを制覇した日に本書を読んだので、何だか野球づいた日となった。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ映画主演の堺雅人さんが、かなり長い時間をかけて本作を読みこんだとTVで話していたので、興味を持って手にとった。中学の同級生で共にバツイチの50代の男女(青砥と須藤)が再会し、心を寄せ合うが、須藤が癌で亡くなってしまう(小説の最初にわかる)という大人のラブストーリー。須藤は死を前にしてなぜ青砥の前から姿を消したのか…。家庭の事情によりひとりで生きて行くと決めたことで中学の頃からどこか芯が「太い」印象があり、大人になっても変わらなかった須藤が切ない。青砥が、須藤の周りにいい人がいると嬉しいと思う場面が好き。
が「ナイス!」と言っています。
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ネタバレ「一人ひとり顔が違うように、良い姿勢は人によって違う」だなんて、これまで、誰にとっても良い、ひとつの姿勢があると思っていたのでびっくり。しかも猫背や頬杖、腕組、机に脚乗せて椅子に寄りかかるなど、行儀が悪い姿勢にもメリットがあっただなんて。私はポケットによく手を入れてしまうのだが、ポケットが腕の重みを下から支えてくれるので肩のまわりの力が抜けて良いのだとか。自ら回復するような行動をとっているんだな(ポケットにも感謝)。「頭にくる」より「ムカつく」が多く使われる現代は、体感が反射的で反復的で速い、に納得。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/04/21(3523日経過)
記録初日
2020/01/12(2162日経過)
読んだ本
1725冊(1日平均0.80冊)
読んだページ
432679ページ(1日平均200ページ)
感想・レビュー
1725件(投稿率100.0%)
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性別
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