初読みの作家さん。ＩＴベンチャーを起業し、企業を急拡大させた「男」がフィリピンで、会社の腹心たちの謀略により命を狙われる。十数年の時を経て、「男」は復讐のために密かに帰国するが…。昔愛した女性との思いを裁ち切り船で日本を離れるラストが良い。なかなか面白かった。

初読みの作家さん。裕福な家庭で育った美貌の女子大生琴音は、三人の男たちに拉致され陵辱される。命からがら逃げ出した琴音は、偶然助けてくれた景子と共に男たちに次々と復讐を遂げていく。文章はト書きの雰囲気で淡々としていますが、陵辱されるシーンや復讐するシーンは結構グイグイ来る感じでした。氏の作風なのかな？

詐欺師の藍はみちると組んで、みちるの両親の仇である巨大企業グループ筆頭株主の戸賀崎喜和子を探し出して復讐を画策する。詐欺師と詐欺師の騙し合いの結末にもびっくり。面白かった。仇同士の詐欺師がチームになり、さらなる巨悪に立ち向かう続編がありそうな予感です。

『自由と民主主義と法の支配を標榜する「近代国家」日本には「人質司法」という名の迷宮が潜んでいる』その迷宮に追い込み事件解決と有罪を勝ち取ろうとする警察・検察、その迷宮に嵌まり、もがき苦しむ被疑者・被告人、その被告人に救いの手をさしのべる刑事弁護人。警察や検察の冤罪を生む取調べ、証拠の取捨選択、そして裁判官、検察官、弁護人の丁々発止の法廷劇、すべてにリアリティがあり読み応え十分の長編でした。良かったです。