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2024年9月の読書メーターまとめ

ひるお
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感想・レビュー
26
ナイス
73ナイス

2024年9月に読んだ本
38

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ひるお
ネタバレ女子校日常漫画第3巻。派手な出来事が描かれるわけではないのに(例えば今回の収録作は、星先生の発熱欠勤、会食恐怖症の生徒、期末テスト、三者面談、大掃除)面白い。ビビッドな世界、知らない賑々しさ、でも慕わしい空気感。すぐに読み終わってしまうので、めちゃくちゃおいしいけどちょっとしか入ってないお菓子、という印象を受ける。ああもう空だよ。
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2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

ひるお

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:94冊 読んだページ数:20427ページ ナイス数:52ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/684547/summary/monthly/2024/8

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2024年9月の感想・レビュー一覧
26

ひるお
ネタバレ“危険地帯ジャーナリスト”丸山ゴンザレスが迫る、「人は何故人を殺すのか?」。殺人、ドラッグ、性、スラム。扱われるテーマは重いのになぜだかさらっと読める、不思議な書だ。「縄張りとは、つまるところ犯罪組織が、所属する集団を食わせるための経済基盤」(:59)。言われてみれば当たり前のことがきちんと簡潔に言語化され、なるほど、と思わされる。豊満な肉体が美とされる地で、貧困ゆえに痩せている女性が牛用ステロイドで太る、など、環境が強いる発想のおどろおどろしさ。しかしそこにもまた生があるのだ。
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ひるお
“躁鬱人”であることを公表している作家・建築家・画家・音楽家、坂口恭平による「躁鬱日記」。躁と鬱、その二つが入れ替わるというのはどのような事態なのか? 当事者の視点から綴られる世界は生々しいが、しかし奇妙に鮮やかでもある。性のことまで赤裸々に記録される内容は読むのが辛くもあり、誰にでも合うものではない。が、人間を養分のように吸い尽くす社会への痛烈なアンチテーゼがきらめく。いしいしんじと共通の何かを感じる。
ひるお
2024/09/30 20:01

「なにが休職だ。なにが障害者年金だ。なにが鬱病だ。そもそも渓流があるのに入らない社会になんか俺はつきあいたくない。[中略]僕は自分がやってきた仕事を、次の誰かにバトンを渡すみたいな、「違う部署に移るんで仕事の引き継ぎします」とか言いたくない。「わからない」と言いたい。「僕は知らない」と言いたい。「それよりも、そうめん流し、行かないっすか?」と言いたい。」(:246)

ひるお
能町みね子による雑誌(の読者)擬人化連載第3弾。とうとう伝説の『メンズナックル』『チャンプロード』が! お馴染みの女性向けファッション誌も多数登場するだけに、それぞれの差異が際立つ。これだけ様々な欲望をもった、あるいは細分化された(細分化可能な)欲望をもつ人間が一つ所に同居しているこの社会、カオスだ。できることなら、海外バージョンも見てみたいもの。
ひるお
定職に就かず、地元である群馬で親戚の神社を手伝ったり、嬬恋でキャベツ農家の住み込みをしたりして暮らす宇田川。木工職人・鹿谷さんの工房に集う人々との緩やかな交流を楽しんでいたが、後輩・蜂須賀の帰郷をきっかけに、何かが変わり始める。不穏で乾いた(そしてサブカル感・地名以外の固有名詞のない)長嶋有、という感じ。地方の、どれも同じようでそれぞれに違う閉塞と諦念と温かさ。なぜかどの人物も薄くしか把握できない印象を受けた。わざとなのかはわからないが、どこか輪郭が淡い感じ。
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ひるお
都築響一による賃貸物件+その住人レポート。賃貸物件、といっても、ネット上の住宅情報サイトにあるようなデフォルト状態の部屋ではなく、住む人間の価値観やこだわりによって装飾・変形・加除修正の限りを尽くされている。物の極端に少ない部屋であっても、それは“ない”を付加した状態であり、部屋の主の意思が濃厚に感じられる。名前こそ出ていないが、梅佳代や京都efishオーナー・西堀夫妻の部屋と思われるものもある。実は名のある人の部屋(で、見る人が見れば特定可能)というケースも多そう。
ひるお
「クレイジージャーニー」で知られる危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスによるニューヨーク案内。『ニューヨークで考え中』や佐久間由美子の著作など、生活の場としてのニューヨークを描いた作品ばかりに触れてきたが、そこで描写される“生活”がごく一部にすぎず、簡単には目に見えない暗部やカオスが存在することを実感できる。それでいて、お土産はミュージアムショップで買え! といった有益な情報も。写真も豊富で、見ているとぞわぞわしてくる。隠されてきたものを見ているときのこの感覚は貴重だと思う。
ひるお
『トム・ソーヤーの冒険』の続編として書かれた名作を、柴田元幸が翻訳。ハック・フィンの使う独特の言葉を軽妙に訳し、ドタバタ喜劇と寂寥漂う自然の対比も楽しめる。『トム・ソーヤーの冒険』は未読なのだが、トムがこんなにめちゃくちゃな、それでいて形式を重視する人間だとは! トムとハック、ジムの間の抜けたやりとりも魅力。それこそ『ルパン三世』シリーズの底には本作があったりするのではないか。
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ひるお
喫煙、禁煙、嫌煙、愛煙ーー煙草についてのエッセイ、詩、漫画を収めたアンソロジー。個人的に最もよかったのは、内田樹「喫煙の起源について。」。もう少し詳しいものが『中央公論』のウェブサイトにも掲載されていて、このあたりの文献にあたってみたいと思わされる。「分割しえないものは私的に所有できない。だから、「分割しえないものを共有する」儀礼を通じて、おそらく私たちの遠い祖先は「仲間であること」の確認を行ったのである。」(:19-20)
ひるお
2024/09/26 21:30

筒井康隆「喫煙者差別に一言申す」に、「煙草には激しい感情や神経の苛立ちを鎮める効果がある。口内炎という病気があるが喫煙するとすぐ治るそうだ。口内炎が、たいていは激しい知的労働や精神的負担によるものだからである。」(:126)とあるが、本当ですか?????

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ひるお
能町みね子による雑誌(の読者)擬人化分析レポート。分析の鋭さは相変わらずで、それぞれの読者がまるで知っている人のように浮かんでくる。雑誌とは各人の欲望の形であるとともに、自己規定の具現化でもある、ということを改めて実感する。しかし、細分化されてはいても、どの人も見事に俗だ。読む雑誌、という形で欲望が丸見えになっているからか。
ひるお
2024/09/23 19:27

それと、『闇金ウシジマくん』を読んだ後だと、どの人も闇金で金を借りそうに見える。ある特定の欲望がリスキーなのではなく、あらゆる欲望が、それが欲望であるという理由においてリスキーなのだな。

ひるお
民族学者・石毛直道によるエッセイ集。タイトルこそ「食べるお仕事」だが、食に限らず、国民国家論や民族主義、さらにはパチンコまで)、民族学者らしい幅広い話題が取り上げられる。国立民族学博物館の館長だった筆者だからこそ、歴代の展示を紹介する内容も多く、みんぱく愛好家は特に楽しめそう。速水健朗『ラーメンと愛国』でも言及されていた、近年のナショナリズムは「国家」ではなく「民族」(など)にフォーカスする、という指摘がここにも。
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ひるお
日本/“日本人”にとってラーメンとは何か? 中国から輸入され定着した食べ物であるにも関わらず、日本の“国民食”として独自の地位を築き、つねに新たな展開を見せ続けるラーメン。メディアとしてのそれに着目し、戦後から2000年代までの経緯をたどる。ラーメンがファッションなどの消費財と同じように、その時々の状況を吸収し、それこそインスタントに人々の欲望を反映してきたことがよくわかる。ご当地と言っても郷土料理ではなく、ナショナリスティックに見えても表層的。だがそこに中心などいらないのだろう。
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ひるお
民族学者・石毛直道による食エッセイ集。新聞連載をまとめたものということで、エッセイというよりはコラム、自身の体験や感想よりも知識が短くまとめられているという感じで、個人的には物足りなかった。自分が本を読むとき、知らなかったことを知れるかということだけでなく、書き手がどう感じたか、そしてそれをどう表現しているのか、という点を重視しているのだ、と、図らずも実感。
ひるお
都築響一による東京の“右半分”ツアー。「東京 観光」などと検索しても絶対に出てこないであろう、しかしここにこそリアル/リアリティがあるのだと断言できる、人、店、欲望の数々。生きることって本当に多様だ。息苦しくなったとき、都築響一の著作を読んで凝り固まった思考と感性をぶん殴るというのは、何物にも代えがたいクリティカルな選択肢である。水元公園の木立の中に寝っ転がり、小岩の純喫茶でごはんを食べ、東京水辺ラインの水上バスに乗りたい。
ひるお
2024/09/21 20:59

「極道ジャージ」(なるものがあるのか!)姿の人々の写真、最高ですよ

ひるお
イギリスの中等学校卒業後、すぐに就職していく労働者階級の少年たち。その中でも教師や体制に反抗し、“反学校の文化”を形成する〈野郎ども〉の生活をたどり、彼らが鋭い洞察力と既存の体制を脱臼させる可能性を持ちながらも、自ら進んで既存の体制を選び取ってしまう仕組みを分析する。古典と言っていい重要な一冊だが、ブルシットジョブなど、近年話題の概念をも射程に捉えた、今なお刺激的な著作だと感じた。主要文化と周縁文化の関係という点ではやおい論とも関連する。さらには、少年漫画や青年漫画を分析する上でも必読だろう。
ひるお
2024/09/20 20:19

後半の分析にも頷かされたが、やはり前半の聞き書きが抜群に面白い。ここだけでも読む価値あり。

ひるお
ネタバレ女子校日常漫画第3巻。派手な出来事が描かれるわけではないのに(例えば今回の収録作は、星先生の発熱欠勤、会食恐怖症の生徒、期末テスト、三者面談、大掃除)面白い。ビビッドな世界、知らない賑々しさ、でも慕わしい空気感。すぐに読み終わってしまうので、めちゃくちゃおいしいけどちょっとしか入ってないお菓子、という印象を受ける。ああもう空だよ。
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ひるお
女子校の日常漫画第2巻。教員も生徒も、一人一人のキャラが濃く、日常と呼ぶには不可思議なのに、でも自分もこういう高校時代を過ごした、こういう空気を確かに吸った、と錯覚してしまう。反抗しているわけではないけれど、従うわけでもない。何となく『ハマータウンの野郎ども』を想起した。
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ひるお
購入・再読。一度読んだはずの内容なのに変わらず新鮮。まずさもおいしさも五感六感も込みで、味わうということの本質に触れたように感じられる。それはある種グロテスクでもあり、武田百合子が書くエッセイの中の食の手触りにも似ている。ただ部屋にいるのがもったいなく思えてくるとともに、ただ冷蔵庫を開け、昨日と同じように食べ慣れたものを食べることにも、やはりきらめきがあるのだと気づくことができる。
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ひるお
2周目だが、何と完全な漫画なんだ、と思う。複数の恨みが収斂していく、その流れが見事だ。
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ひるお
「ヤンキー的なもの」が、日本でこれほどまでにもてはやされるのはなぜなのか? ジャニーズ、相田みつを、白洲次郎、坂本龍馬。一見普遍的な人気を誇る人々に「ヤンキー性」を見いだし、精神分析の視点からその構造を考察する。個人的に唸ったのは、ヤンキーと母性との関係についての章。難波功士の書で物足りなさを感じた部分が、本書でほぼ全てカバーされている! ホモソーシャルやマッチョイズムこそ“女性的”という指摘も鋭い。もっと早く読みたかったと思うと同時に、今本書を正しく選び取れたことを嬉しく思う。
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ひるお
ネタバレ加茂が火をつけられるシーンには不思議な美しさがある。そしてこのシーンは後の悲劇を暗示するものだ、と、再読してやっと気づいた。
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ひるお
この手の、原作者とは別の描き手による外伝をどう位置づければよいのかよくわからないのだが、本編において「食」が重要なポイントであることは確か。(福田里香『まんがキッチン』で取り上げてほしいくらい)関係性の希求とうまくいかなさ、というのも、本編に通底する哀しみの一因だったように思うが、グルメ漫画の体をとる本作にも、その哀しみは静かに響いている気がする。この外伝での中心がラーメンであることもおそらく重要で、それを考えるために斎藤環『世界が土曜の夜の夢なら』と清水健朗『ラーメンと愛国』を読みます
ひるお
再読。新たに/もう一度勉強しなおそうと思うとき、ひとまず本書を読み直している。今回再読してみて、その読みやすさに驚いた。一日あれば十分すぎるほどで、とにかくザーッと読める。これもまたフロイト-ラカン派精神分析と自分との相性を吟味するための本で、わかる/わからないではなく自分にとってリアリティがあるか、面白いと思えるか、というところにこそ力点を置くべきである。索引もありがたい。
ひるお
『闇金ウシジマくん』を例に取り、リスク社会論、都市社会学、家族社会学、メディア論、ジェンダー論など、社会学の各サブカテゴリの視点をおおまかにインストールできる一冊。人社系で(あるいは漫画を題材に)卒論を書かなければいけない大学生、社会学に入門したい(が、関心分野が決まりきっていない)人におすすめ。私個人はジェンダー論の部分を参照するために読んだのだが、やや物足りなさを感じた。単にホモソーシャル、の一言で終わる話ではないと思うのだが。とはいえ、自分がどこに(何に)引っかかるのか、は十分見つかる。
ひるお
2024/09/07 17:14

取り上げられているのは「洗脳くん」の途中までなのだが、最終巻まで分析されていたらまた違う内容も出てきたのでは。

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ひるお
ネタバレ引き続き鹿島戦。負ければリーグ戦が終わってしまうわけで、リーグ優勝を目指すETUとしてはもちろん、長期連載漫画作品としても、どう展開するか難しい局面だと思う。現役選手時代の達海が予想以上にドライかつ飄々としていて、感性と理性を両立させて戦うその姿を、改めて眩しく感じる。石神の底の見えない感じ、きちっと絶妙に仕事するところもかなり好き。
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ひるお
荻原朔太郎、池波正太郎、向田邦子、内田百閒ーーいわゆる“文豪”から現代の作家まで、様々な時代と視点から酒と酒場を描いた作品のアンソロジー。向田邦子「「ままや」繁昌記」は、これまでに数回、別の作品集で読んでいるものだが、読むたびにうまいと思わされる。起承転結があり、緩急があり、収まりがいい。いきいきとした動きがある。作家ごとの特徴、文体の味、自分の好みを再認識するのに、こうしたアンソロジーはちょうどいいと思う。
が「ナイス!」と言っています。
ひるお
話題の小説はもちろん、古典のアダプテーションからグラフィック・ノベル、アニメ、ビデオゲーム、手話翻訳された詩まで、日々生起する“現代アメリカ文学”を、様々な角度から追ったウェブ連載書籍版。アメリカ現代文学に詳しくなくても、その空気を感じ、読みたい本を見つけられる。一歩立ち止まって“多様性”とは? を考え直す必要があるのでは、という問題意識も、自身の立ち位置と共鳴するところがあった。読みたくなったのは、パトリック・デヴィットとティリー・ウォルデン。
ひるお
2024/09/05 17:49

「作者の意図や想定された鑑賞態度を離れて、およそ全てのアートは拷問に使えるのではないかとも考えさせられる。」(:180)

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読書データ

プロフィール

登録日
2016/06/12(3113日経過)
記録初日
2016/01/13(3264日経過)
読んだ本
4026冊(1日平均1.23冊)
読んだページ
916490ページ(1日平均280ページ)
感想・レビュー
1494件(投稿率37.1%)
本棚
8棚
自己紹介

割と何でも読む。お気に入りの本を「365冊」本棚に入れています(自分にとって大切な本、すごく面白かった本などを、蠱毒みたいに365冊集めようという計画)。「参考文献」は研究関係(ジェンダー、セクシュアリティ、BL、ファンダム、精神分析、現代思想などなど)。感想・レビューはコメント欄に続きを書くことがあります。

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