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2024年8月の読書メーターまとめ

ひるお
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2024年8月に読んだ本
94

2024年8月のお気に入られ登録
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  • 轟直人

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ひるお
言わずと知れた宮沢賢治の代表作。表題作のほか、「どんぐりと山猫」「水仙月の四日」「なめとこ山の熊」などを収録。冒頭の「序」を読んでもう、宮沢賢治という人の才、感性の鋭さと強さを痛感する。そして「どんぐりと山猫」以下、そこにあるのは、地図上では日本ということになっているがそんな風には思えない、自分が生きている今ここと繋がっているとは信じがたいワンダーランドだ。かつてこんな風に、自然と人間とが地続きであると信じられた時代があり、場所があり、感性があった。グリムやアンデルセンと並べてほしい一級品の童話。
轟直人
2024/08/04 13:51

初めまして。元中学国語教師轟直人です。宮沢賢治の童話の深さはグリムやアンデルセンと並べるレベルではなくもっと高いところにあると思うのですがいかがでしょうか?芥川龍之介の童話ともレベルが違いますよね。「蜘蛛の糸」なんてすぐ切れて当然の蜘蛛の糸から自分以外を蹴落とそうとするのは今の法律だったら緊急避難で自己中の醜さ愚かさを訴える意図は失敗していると思います。「注文の多い料理店」は同じ自己中の醜さ愚かさを訴えるにしても扱い方が段違いだと思うのです。

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2024年8月にナイスが最も多かったつぶやき

ひるお

2024年7月の読書メーター 読んだ本の数:44冊 読んだページ数:9862ページ ナイス数:59ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/684547/summary/monthly/2024/7

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2024年8月の感想・レビュー一覧
21

ひるお
近藤聡乃によるニューヨーク生活エッセイ漫画第4巻。コロナ禍、大統領選挙、オリンピック。描かれる時代が現在に近づき、自分自身もリアルタイムで過ごしたあのとき/あの時間を否応なく思い起こす。ウイルスや政治での動揺と、猫の親子を迎えつつ再開した自宅での生活。世界がどんなに揺らいでも、生活は止まらない。花は咲き、鳥は飛来し、店頭の野菜の種類が変わる。日々のディテールはもちろん、そうしたディテールを愛おしむ感覚が心に迫る。フェンネルの料理、作って食べてみたい。
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ひるお
堀江敏幸によるエッセイ集。このところ立て続けに堀江作品を読んだが、いずれも読みづらさを感じた。氏の関心分野について、私が持ち合わせている知識が不足していることもあるが、一文(特に作品の第一文)の長さにも理由があるのかもしれない。
ひるお
路面電車の走る下町を舞台に、時間給講師の「私」と印鑑職人、書店の主人、居酒屋の女将といった人々との交流を描く長編小説。文庫の裏表紙には「長編小説」とあるし、確かにフィクションなのだろうが、エッセイや書評のような雰囲気も漂う。物語の流れに文学作品が混ざり、登場人物の中にその作者の背中までが見えるようだ。彼我と虚実が入り混じる作風が堀江敏幸の持ち味で、一種の東京町案内としても機能している。
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ひるお
筆者に届いた、一通の謎めいたメール。長々とした時候の挨拶を伴ったそれは、これまた謎めいた攻防への入口だった。送り手を特定できないメールに対し、連載小説を送りつけることで対抗する筆者。『攻殻機動隊』や『パンとサーカス』を思わせる小説内小説。いとうせいこう作品は初読だが、実験的な側面が強く、個人的には楽しめなかった。それこそ初出時は新しかったのかも。
ひるお
ネタバレ作者ロングインタビューと全エピソード振り返りを目的に。リアルな背景、一定のテンポで見開きや大ゴマを入れる印象的な構成は、読者にインパクトを与えるために意図的に組み込まれたものだった。それを踏まえて本編を読み直すと、やはり漫画がうまい、と唸らされる。そしてやはり絵がうまい。第一話のネームが収録されているが、ネームの時点でこんなにピタッと決まった線が引けるものなのか、と思わされるコマがいくつもある。
ひるお
作家ゆかりの地や作品の舞台を巡る旅、書店を周り掘り出し物を手に入れるための旅、本を読むための旅。本にまつわる旅を特集したアンソロジー。本の楽しみ方はさまざまだが、電車の中だと読書が捗るというのはよくわかる。本を読む時間と空間を生み出すために、あえて鈍行で遠出する人々。読書をするためだけの、それ以外に何もしない旅に、私もいつか出てみたい。
ひるお
主としてフランス・パリを舞台に、日常と文学作品が交錯するさまを描いた作品集。「日常と文学作品が交錯する」と書いたが、本作自体、エッセイなのか小説なのか(つまり事実なのか創作なのか)判然としないところがある。仏文学に明るくないため、余計に非現実的な世界観に思えた。数年前に読んだ『河岸忘日抄』は好みだったのだが、本作はやや読みづらい印象。
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ひるお
写真家・画家・文筆家・料理研究家など、何足もの草鞋を履く西川治の食エッセイ集。ところどころミソジニーが気になるものの、骨太の文体は魅力的。マスタード、フィッシュ・アンド・チップス、ウスターソース、マカロニ、オニオングラタンスープ。十分に知っていて、馴染みさえしているつもりの料理や調味料だが、本書に登場するのはそれとは少しずれた、特別で洒落たにおいのただよう食べ物だ。無頼な松浦弥太郎というか、片岡義男というか。「ギャラハー(ギャラガーズ)」の肉が食べたくなる。
ひるお
ネタバレ丑嶋と柄崎がマサルを殴った後、3人で並んでマンゴー食べるシーン、最高に熱い
ひるお
意外と(でもないのか?)、時代劇に似ている気がする。金、性、仕事、人生、ある意味ものすごく伝統的で普遍的なテーマを扱った作品。些細なことでどん底に落ちたり、ひょんなことから光ある場所に這い上がったり。もちろん報われるとかどうとかもあるだろうが、運もまた大きいのだ。そして、本作の大きな魅力は、なんといっても絵のうまさ! 元々画力が高いと思っていたが、どんどん絵が上手くなる。唇の描き方がいい。
ひるお
バングラデシュにいるという流浪の詩人〈バウル〉。数々のルール、謎めいた詩の言葉、捉えどころのないその正体。筆者は旧知の写真家・中川彰氏とともにバングラデシュへ飛ぶ。そこから始まったのは、予想だにしない運と縁に恵まれた2週間の旅だった。なんといっても、中川氏の写真がいい。濃い霧、鮮やかな色、人々の目の強さ。バウルにだけでなく、バングラデシュという国自体に興味がわく。
ひるお
ネタバレ上巻で「ホモ」という言葉を使っていた青鬼が、今巻では「ゲイ」という言葉を使っているところが興味深い。連載当時の時代背景によるものかもしれないが、天獄への感情の変化が当事者意識として表れているようにもとれる。単純に「ホモ」という言葉を排除するのが正義というわけではなく、こういう形の表現もありうるのだ。
ひるお
ここに至って、非常にオーソドックスなBLだなという感が改めて強まる。恋敵(当て馬?)キャラ、二人の関係に対して“理解”のある腐女子キャラ、実家への挨拶(的な何か)、親との和解、結婚を暗示する何か。続編があるようだが、BLすごろく的にはこの後いったいどう展開するのか…。日常漫画でない以上、もうかなり上がりな気がするのだが…。
ひるお
ネタバレ絵柄、カップリングの見た目と年齢差も好みではあるのだが、公の場で無理矢理行為に及ぶところ、その結果互いに特別な感情を抱きはじめるという流れには、時代にそぐわないという感を覚えた。一方で、トラウマとその癒しにフォーカスした内容はBLの古典的(というか、伝統的)なテーマとも言える。学校という公の場にありながら半ば閉じた空間である保健室で、性的なカウンセリングが行われる、というストーリーは、それこそ精神分析のパロディのようで興味深い。
ひるお
臨床心理士・カウンセラーの筆者がクリニックでの職を辞して始めたのは、沖縄で人々を癒す様々な“野の医者”たちのフィールドワークだった。手当たり次第に治療を受け、インタビューをし、果ては自らもスクールで資格を取る! そんな中で見えてきた“癒し”のありかたとは? いわゆる“医学”の範疇には入らず、宗教やおまじないにも近似するセラピーの数々を追い、癒しとは何かを追及する意欲作。アカデミアで生きていくことが伴う煩雑さも扱われており、その点でも興味深い。
ひるお
2024/08/13 13:17

「野の医者たちは誰かを癒やす機会を欲している。そのことで自分自身が癒やされるからだ。」(:178)「私たちは今、軽薄でないと息苦しい時代に生きている。だから、軽薄なものが癒やしになる。」(:312)

ひるお
2024/08/13 13:18

「早い、安い、効果がある。そういう時代に傷ついた人が、そういう治療法に癒やされる。」(:315-316)

ひるお
目的(地)を決めず、ルートを決めず、食べるものを決めず、することを決めず、ただ気が向くままに道をたどり時間を過ごす旅。観光しない観光で気ままに旅する、リンボウ先生流「どこへも行かない」旅のすすめ。正直なところ文章の方には特に心惹かれなかったのだが、本書の魅力は収録されている写真。2006年刊行ということだが、その当時、日本にまだこんな風景があったのか、と思うような、鄙びた、かつ慕わしい風景が並ぶ。ここの空気を吸ってみたい、と思うような景色。どこへも行かず、しかし結果、こんなところに行けるなら素敵だ。
ひるお
ニューヨーク近代美術館所蔵作品から350を紹介するハイライト集。近藤聡乃や四方田犬彦のニューヨーク関連書を読んでいて興味がわいたので。もともと近現代の美術が好きな私としては大変楽しめた。自分が好きな作品の傾向、どんなところを見ているのか、ということに気づけるのもいい。ただ、鑑賞するときに解説は不要だと思った。まずは作品そのものと対峙し、それがもつ力に殴られてから解説を読む。解説を読まないと惹かれないなら、その作品は自分にとって効力をもたないということだ。
ひるお
2024/08/04 14:03

好きな作品。ムンク《嵐》《マドンナ》、スタイケン《月の出》、クビーン《無題(永遠の炎)》、ピカソ《アヴィニヨンの娘たち》、マティス《ダンス(第一ヴァージョン)》《スイミング・プール》、マレーヴィチ《シュプレマティズムのコンポジション》、モネ《睡蓮》、ミロ《世界の誕生》、エイブリー《海辺の草原と青い海》。

ひるお
言わずと知れた宮沢賢治の代表作。表題作のほか、「どんぐりと山猫」「水仙月の四日」「なめとこ山の熊」などを収録。冒頭の「序」を読んでもう、宮沢賢治という人の才、感性の鋭さと強さを痛感する。そして「どんぐりと山猫」以下、そこにあるのは、地図上では日本ということになっているがそんな風には思えない、自分が生きている今ここと繋がっているとは信じがたいワンダーランドだ。かつてこんな風に、自然と人間とが地続きであると信じられた時代があり、場所があり、感性があった。グリムやアンデルセンと並べてほしい一級品の童話。
轟直人
2024/08/04 13:51

初めまして。元中学国語教師轟直人です。宮沢賢治の童話の深さはグリムやアンデルセンと並べるレベルではなくもっと高いところにあると思うのですがいかがでしょうか?芥川龍之介の童話ともレベルが違いますよね。「蜘蛛の糸」なんてすぐ切れて当然の蜘蛛の糸から自分以外を蹴落とそうとするのは今の法律だったら緊急避難で自己中の醜さ愚かさを訴える意図は失敗していると思います。「注文の多い料理店」は同じ自己中の醜さ愚かさを訴えるにしても扱い方が段違いだと思うのです。

が「ナイス!」と言っています。
ひるお
これまでに触れてきたあらゆる作品のキャラクターから選ぶランキングを作るとしたら、達海猛は必ずランクインすると思う。オールタイムベストキャラ。達海の凄さとは言葉と想像力とを尽くすことの凄さなのだと、何度でも思う。
が「ナイス!」と言っています。
ひるお
昼ごはんや夜ごはん、夜食やおやつ、それらと比べて段違いの輝きを放つ食事、それが朝ごはん。しようと思えばどれだけでも贅沢できる、しかしなぜかシンプルなものに落ち着いたり、同じものばかりを食べ続けたり。昼食よりも夕食よりも私的で、だからこそ皆何か書きたくなるのかもしれない。向田邦子はやっぱり文章が抜群にうまい。言葉選び、エピソードの強さ、内容の緩急、ちょっとうますぎると言っていいほど。佐野洋子は漫然としているようでオチが圧倒的。そして、立原正秋、こわすぎませんか…?
ひるお
2024/08/03 21:27

「「戦争から戻った兄は、医師になることをやめました。食糧を自給自足出来るか出来ないかが、これからの日本の課題になると思う。ぼくはいのちながらえて帰ってきた以上、一介の百姓となって、米をつくる。これから決してひもじいものをつくらないためにーー兄はそういっています」」(:155-156, 増田れい子「さくらごはんを炊いた朝」より)

ひるお
2024/08/03 21:32

「突然母がぼんやり云った。「夏はね、発見されるのを待つだけなの」私はしーんとしてしまった。「母さん、私しゃ疲れてしまったよ。母さんも九十年生きたら疲れたよね。天国に行きたいね。一緒に行こうか。どこにあるんだろうね。天国は」「あら、わりとそのへんにあるらしいわよ」」(;198-199, 佐野洋子「二〇〇五年冬」より)

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/06/12(3113日経過)
記録初日
2016/01/13(3264日経過)
読んだ本
4026冊(1日平均1.23冊)
読んだページ
916490ページ(1日平均280ページ)
感想・レビュー
1494件(投稿率37.1%)
本棚
8棚
自己紹介

割と何でも読む。お気に入りの本を「365冊」本棚に入れています(自分にとって大切な本、すごく面白かった本などを、蠱毒みたいに365冊集めようという計画)。「参考文献」は研究関係(ジェンダー、セクシュアリティ、BL、ファンダム、精神分析、現代思想などなど)。感想・レビューはコメント欄に続きを書くことがあります。

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