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Hiroro
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僕が国語と付き合い始めてから、はや何十年という月日が流れたわけだけれども、ふと僕とこんなに長く連れ添ってくれた教科は国語だけではないかと思った。小学生のころ覚えた算数や理科、社会といった様々な教科は、生活をしていてたまに顔を合わすことがあるものの、毎日顔を合わせるというものではない。場合によっては、テレビのクイズ番組を見ていて、久しぶりに開かれた同窓会くらいに懐かしく再会する教科もあったりする。それに比べて、国語は言葉を使うことでとにかく毎日顔を合わせることになる、いや数分に一度といってもいい。
Hiroro

そんな国語も、毎日使っているとだんだんと少しづつではあるが、確実に変化しているのではないだろうかと思う。たまに僕が書いた昔の文章を見返すと、これは僕が書いた文章じゃないと思うことが多々ある。地球が太陽の周りを律義に回るたびに、僕の年齢が上がり、僕の使う国語も少しづつ変わるのだ。今では僕の国語がどこにむかっているのだろうと思うことがある。できれば、着実にいい方向に変わっていってもらいたいものだ。そういう意味では本書を読んで、僕の国語がまた少し変わったなと思うことが将来あるのかもしれない。

04/17 19:11
0255文字
Hiroro
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空の窓から見下ろす街灯は、ぽつりと佇むものもあれば、ひしと寄り添ってささやかな賑わいを見せるものもあった。いずれにしろ、夜の地上は点在する光が漂流した孤独のようにわずかに見えるばかりで、飛行機の中もひっそりと暗い夢の中にあった。「人は夜に救われるよね」隣の男が話しかけてきた。「人の精神は本当は白いんだ。でも昼間に何か失敗してさ黒い染みを作る。染みは中々消えないけれど、夜の闇が洗い流してくれている。人は夜、漂流するために眠るんだ」精神に夜を与える、それで救われる人はどれほどいるのだろうか、私はそうも思った。
0255文字
Hiroro
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空は海の向こうまで続いていた。僕は波の音を聞きながら、空に浮かぶ雲をぼんやりと眺めていた。雲は柔らかい曲線で優しく、誰かが助けてやらないと消えいりそうなほど霞んでいた。僕はその雲を辛抱強く、時間を掛けて眺め続けていた。その雲には消えてほしくなかった。けれど、雲はやがて耐え切れなくなったようになって空に溶け込み、跡形もなくなって空から消えた。「どっちにするの?」彼女が尋ねてきた。国籍は二つが重なり合って僕を形作ってきたけれど、二つは反しあって一つは消えようとしていた。それは長く深い海の底のような喪失だった。
0255文字
Hiroro
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流れ星の一筋の光が、少年の瞳の奥のセンチメンタルで幸福な神経に優しく触れた。やがて少年が星を夢見る少年となり、幾歳月も掛けて宇宙に辿り着いた時に、その光は一粒の涙となって少年の瞳から出て行った。選抜試験で「君はどうしてここにいるんだい?」と、問われた受験者のおおかたの答えは、こうしたことだったのかもしれない。夢は作られたり、誰かに教えられたりするものではなく、静かにその人に宿ったのだ。もしかすると、本書で合格となった宇宙飛行士も、願いを叶える流れ星を瞳に宿して、子供の頃から空を見上げていたのかもしれない。
0255文字
Hiroro
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私は昔、電車の中でマエストロのように手を振りながら音楽を聴いているお爺さんを見かけたことがあった。そのお爺さんはヘッドフォンをして、うっとりとした表情を浮かべながら音楽に聴き入っており、その時私はああこの人はクラシックを聴いているんだなと、そう思ったものだった。本書によるとクラシックがクラシックたる理由として、音楽理論に裏打ちされた音の設計がなされている点にあるという。その意味では、やはりあのお爺さんが聞いていたのはクラシックで、厳格な指揮者のようになって音を設計していたんだなと、そう確信できる本でした。
0255文字
Hiroro
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仔馬は背にそよぐ風の匂いを感じていた。もう走ることはないと思っていたけれど、つい体が動いてしまっていた。そうだあそこまでは走ろう、仔馬はなだらかな丘の上にある樫の木を見つめた。ゆっくりと走ろうとする仔馬の意識に反して、体は加速を始めていた。風が次第に白くなっていくことを感じていた。芝生を駆ける蹄の音が次第に聞こえなくなっていった。樫の木にたどり着くための最短のラインができあがっていた。仔馬の感覚が白い風とラインだけになった時、どこからか仔馬に風の詩が聞こえてきた。その詩は父と母から継いだ競走馬の詩だった。
0255文字
Hiroro
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私は小瓶にしまわれた小さな時間が、静かに流れ落ちていくのを見つめた。砂時計の砂は小瓶の中央を抜けると、吹き込まれた星の屑のように少しの間迸り、やがて動かなくなった。「私達はこの小瓶の砂のようね」隣にいた少女が話しかけてきた。「私達はいつもどこだか分からない小瓶に詰め込まれて、どこだか分からない向こう側に放り出されるの。それをいったりきたり、永遠と繰り返しているわ」私はしばし考えてから少女に話した。「向こう側はいつも同じ場所なのかもしれないし、全く別の場所なのかもしれないね」私は手術室の向こう側を見つめた。
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Hiroro
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いつも夢を見ている人々が、浜辺の砂を両手一杯に掬うと、砂はサラサラと手の間から零れ落ちていった。その砂の粒は、ラジウムだったかもしれないし、アメリシウムだったのかもしれない。砂は波にさらわれ、日の光を浴びながら海の底に沈んでゆき、やがて見えなくなった。「海のスープになるんだ」人々の一人が、私に話しかけてきた。「ああやって続けていると、また形が変わって浜辺に打ち上げられる。何十年かに一度新しい奴が見つかることだってあるんだ」私も砂を手に取って見てみると、六角形をした美しい粒だった。人々は、まだ夢を見ている。
0255文字

読んだ本
1236

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読書データ

プロフィール

登録日
2016/11/12(3061日経過)
記録初日
2016/11/12(3061日経過)
読んだ本
1236冊(1日平均0.40冊)
読んだページ
354669ページ(1日平均115ページ)
感想・レビュー
39件(投稿率3.2%)
本棚
0棚
性別
血液型
A型
職業
IT関係
現住所
東京都
自己紹介

とにかく多読で本を読んでいます。色々な本を読んで、世の中のことをもっと知りたいなぁ。そんな好奇心で本を読んでいます。小説やミステリーも好きなのですが、積ん読が溜まって、中々手が出せない・・。そちらは初心者なので、皆さんのレビュー見て、おもしろそうな本をストック中です。

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