傑作。これで満点を付けない選考委員がいたら嘘だ。ストーリー、キャラクター、タイトル、文章力、すべてがベスト（雪下まゆさんの装画も）。まるで本物の戦争をその目でみてきたかのような生々しい筆致で、臨場感とスリルが半端じゃない。スナイパーライフルの銃声、銃弾を再装填する音、戦闘機の機銃掃射音、砲弾が空を裂く音、そして大地を揺るがす凄まじい轟音、怒号、悲鳴……。戦争のあらゆる恐ろしい音がページをめくるたびに聞こえた。『戦争は女の顔をしていない』を去年たまたま読んでいたのは幸運だった。この作品を倍は楽しめたと思う。

恋愛や結婚の暗黒面を書かせたら金原ひとみの右に出る者はいないんじゃないかと思う。

植物の観点から人類の歴史をたどれる本。思わず誰かに話したくなるような興味深い話が、非常にわかりやすく、ユーモラスに書かれている。ジャガイモが火あぶりの刑にあったという話と、人間はトウモロコシから作られたという話が好き。

海外ミステリーなんてアガサの『アクロイド殺し』くらいしか読んだことのない僕でさえ楽しめたのだから、みんなはもっと楽しんだのだろうな。羨ましい。『TIME』の【史上最高のミステリー＆スリラー本】オールタイム・ベスト100に選ばれたのすごすぎるね。

「ニューヨーク三部作」の二作目。探偵が主人公なのに、この物語のなかでは恐ろしいほどに何も起こらない。事件を次々に解決して、自分の知恵一つで世間の荒海を渡って、女を口説いて、悪党どもにばんばん拳銃を撃って……、なんてものは一切ない。何かが起こりそうな予感はある。ただ、それだけだ。実際には何一つとして起こらない。それなのにとんでもなく面白い。

傑作。これで満点を付けない選考委員がいたら嘘だ。ストーリー、キャラクター、タイトル、文章力、すべてがベスト（雪下まゆさんの装画も）。まるで本物の戦争をその目でみてきたかのような生々しい筆致で、臨場感とスリルが半端じゃない。スナイパーライフルの銃声、銃弾を再装填する音、戦闘機の機銃掃射音、砲弾が空を裂く音、そして大地を揺るがす凄まじい轟音、怒号、悲鳴……。戦争のあらゆる恐ろしい音がページをめくるたびに聞こえた。『戦争は女の顔をしていない』を去年たまたま読んでいたのは幸運だった。この作品を倍は楽しめたと思う。